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これは夢なんだと強く願った。

気がつくと、真っ暗な暗闇の中だった。

気がついたのは確かなんだけれども、夢の中で、これは現実じゃないんだって気づいたくらいだった。

いつから寝ていたのかは分からない。

むしろ寝ていたかすらも分からない。

ただ、自分が宇宙のようなふわふわした空間のなかで、存在をしているんだということくらいしか分からなかった。


温かくも寒くもないこの空間は不思議なことに、初めて感じる感覚はなかった。

むしろ、懐かしさすら感じてしまっていた。

昔、どこかで味わったかのような懐かしさに似た安心があった。

見渡す限り真っ暗の空間だった。

周りが暗すぎて、自分の手や体すら見て確認することはできなかった。


この空間には、上とか下という概念が無いようだ。

上を見ても下を見ても重力のような引っ張られる感覚は感じられなかった。

回りには星のような無数の光があった。

近づいてみようとして、そばに行こうとしてみても、その光はずっと遠くにいるままだった。

まるで磁石のS極とN極が一生触れ合うことがないかよのうに、近づけば近づくほど、同じ距離を保って離れていっているような寂しさだった。

近づくときに、とくに歩いている訳ではない。

水のような無重力のような浮力のなかでただふわふわと前に進んでいるような感覚だった。

ここは、本当にどこなんだろう?

妙な安心感から、ずっとここに居続けもいいような気さえしてくる。


しばらくふらふらしていると、目の前に突然ガラスの板のようなものが現れた。

わたしの身長よりも遥かに大きいそのガラスの板は縦が二メートル、横が一メートル半くらいのものだった。

触れてみようとしたそのとき、ガラスの向こうでキラリと一瞬なにかが強く光った。

もう一度見てみようとガラスに近づき目を凝らしてみると、ガラスにわたしの顔が写っていたのに気がついた。

その写ったわたしは、わたしのようであり、わたしでなかった。

なぜならば、わたしが少し顔を傾けてみたのに対し、ガラスに写ったわたしは何一つ動作を見せなかったからだ。


少しガラスに写ったわたしと目を会わせていると、るいに後ろから名前を呼ばれた気がした。

「―――!」

反射で後ろを振り返ってみた。

そこには、なにもなかった。

気のせいではない。確実に名前を呼ばれたのだ。

なんだと、少し気を落とし、再びガラスに視線を戻した。


そこには、ガラスは無かった。


その瞬間、急にわたしは心細くなった。

さっきまでの安心感がどこかに消えてなくなってしまい、世界中で、この宇宙でわたししかいない、そんな気さえさせた。


わたしは思わず泣き出しそうな顔を覆いたくなり、そっと手を顔に当てようとした。


不思議なことに、わたしには手がなかった。


手も足も無かった。


これは夢なんだと、強く思った。

これは夢なんだと、強く願った。

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