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結晶の君は美しい

BL特殊設定です。

苦手な方はご注意ください。


「えっ……。」


「だから、俺が気付いてないとでも思ってたのかって話だよ。」



何気なしにポロッと口に出たものではない。それは確信を持って紡がれた言葉だった。



「なぁ、ソレいつからだ?」



俺だって分かんないさ、気が付けば背中は既に結晶化によってひび割れていて……。

もう触れば小さな欠片がサラサラと朽ちてゆく程進行していた。



「結晶化、だっけ?赤ん坊の時に何らかの原因によって、大人になるにつれて皮膚が硬化して、最終的に不透明な結晶から透明な結晶になって砕けて朽ちてく、って病気。」


「なんでそんな……」


「詳しいのか、って?当たり前じゃん。お前がその病気だから、って頑張って調べたんだよ。結局治す方法も、何も分かんなかった訳だけど。」



正直、そこまでコイツが勘のいいやつだとは思っていなかった。だから俺の演技力でもそこそこ誤魔化せてられていると思ってたんだ。

でも、違った。

コイツが''見て見ぬフリ''をしていてくれただけなんだって。



「なぁ、見せてくれよその結晶の部分。」


「嫌だ。」


「何でだよ、見せられねぇモンでもないんだし、それって綺麗なんだろ?」


「い・や・だ!見世物じゃないんだ。いくら綺麗でも俺にはこれは気持ち悪い、オマエにも見せたくなんてないんだ。え、ちょっ……だから止めろって!」



二人とも狭い部屋の床に座り込んで話していたから当然距離が近いわけで、嫌だ嫌だと抵抗するも虚しく、夏でもずっと捲りさえしなかったシャツをカーディガン諸共ズリ上げられた。



「つめた……ッ!」


「へぇ、触覚はあるんだ。痛覚は?」



背中から広がったひび割れは今は腹の方まで広がって、腕の中頃までを侵していた。

その結晶化が進んだ腹の方を体温の低い冷い手でペタペタとなぞられて、思わず背筋に刺激が生じた。



「痛くない、から……無いんだろッ!」


「あ、すまん。手、冷たかったな」


痛覚がない。

即ち、結晶化が進んでそこが削れても触るか見るまでは気づけないということだ。触られるのは分かるのに、痛みだけが無いことが不思議で仕方なかった。



「つるつるで、でもひび割れてて、んー。」


「ああ、もう!そんな軽く撫でるように触んなって!逆にこそばゆくって気持ち悪い!!」


「でもそうしないと割れんじゃん。」


「そう思うなら初めから触るな!」



パキッィン……。

あぁ、また割れた。



「………ぃ…だ。」


「おい、それ割る度に俺の寿命縮んでんの分かって……」


「お前、スッゲー綺麗だな。」


「はぁ?」



もうこの際、身体が割れるのは仕方ないとしよう。動けば割るんだし、仕方ない。

でもコイツ、なんて言った?



「とうとうオマエおかしくなったか?」


「んなっ、しつれーな。綺麗だと思ったモン綺麗と言って何が悪いんだよ。」


「いや、普通身体が欠けていくのなんて気持ち悪いだろ?それが綺麗なわけないって。」



止めてくれ、これを綺麗だと言わないでくれ。


キィン…。



「綺麗だっつってんだろ?お前こそいい加減聞き入れろよ。」


「見たくもないこんなの!!」



そうだ、こんなもの見たくない。

人と違うんだって余計に思わされる。



ピキッ、パキッ……。



「そうか、んじゃ見なけりゃいいだろ。」


「はぁ?オマエさっきから本当におかしいぞ。」


「おかしくて結構……ん、…チュッ。」


「っ!?」



コイツ、舐め……た?



「…く、ぅ……や、なにするんだよぉ!?」


「触るな、って言うんだし気持ち悪いからって言うから綺麗だって証明するために舐めてる。」


「っ、ぅ……。だとしても、どうしてそう極端な考えに行き着く!!止めろって!」



ぞわぞわとして、腰周りに嫌な感じがする。

丁度肋骨の下ら辺、横腹の所。俺が一番弱い所。

ベットがすぐ横にあったから、俺がそれに背をあずけて、コイツが俺の足に跨っているようなそんな体勢。

俺の気持ちを知ってか知らずか、コイツは分かっているのやら。



「ッ……え、待って本当に止めろよ!」


「あ、舌切れた。」


「だから止めろってあれほど!」


「えー、いいじゃんこのままで。……あ、なぁなぁ見てみろよ!お前、腹ん所透明だったからひびの所、いい感じに血が滲んで綺麗だぞ!」



この時、見なければ良かったと思った。不覚にもお前の血で赤に染まった水晶が、俺の身体が綺麗だと、そう思ってしまった。


パキンッ…!



「あっ……。」


「あーあ、せっかく綺麗だったのに。……う〜、目何か入った。」



今まで舐められていた所が割れた。

しかし、ただ割れただけではなかった。割れて小さくなった欠片がコイツの目に入ったようで、コイツはしきりに目を瞬いては涙を出そうとしているようだった。

俺が、コイツの中にいる。

なんだかそう思ってしまって、なにか黒いモノが胸に芽生えた気がした。



「……なぁ、俺の身体が全部結晶化した時。お前が最後に砕いてくれないか?こんな最後見られたくないんだ、頼む。」



そして、その時に俺の欠片が少しでもお前の中に入って一緒に居られればいい。



「……わかったいいぜ。でもその後俺がどうしようが俺の勝手だからな?」



なんとなく、オマエも俺と同じような事を考えているんだなって思った。



俺の寿命はオマエ次第だよ。


なぁ?




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