あの子の行き先を
GL表現があります。ご注意ください。
私はずっと貴女のことが好きだった。
それこそ、意識しないくらい小さな頃からずっと隣に居たんだ。恋愛感情が生まれたのだっていつからだったか分からない。
二人一緒に高校に上がって、ダラダラと益があるようなないような、そんな話をしているのがどうしようも無く心地よかった。楽しかった。
そんな3年間を過ごして、大学は別々の道に進んだ。それでも私たちは連絡を絶やすことは無かった。
私はなんだかこの関係が、永遠に続くような気がしていた。いつしか話していた「ルームシェアして一緒に住むんだ。」という話もいよいよ現実味を帯びてきたんじゃないか、なんて思ったりもした。
大学1年の夏真っ盛りの夕暮れ時、あの子から連絡が来た。
「友達と行った花火大会で告白されちゃった!気になってた先輩からだったから即座にOKしちゃったよー!どうしよう〜♡♡」
思わずスマホを放り投げてしまった私は悪くないと思う。だって、色気のいの字も興味なかった子だったんだ。
私はあの子のふとした横顔、階段を駆け上がるときのほっそりとした脚、体育座りをしている時の自分を抱きしめているような華奢な姿を知っている。あの子の自然な体の色気を感じていたから、もしかするとその先輩とやらもそこに目がいったのかもしれないと思った。 ……色欲魔め。
自分を棚に上げに上げて、心の中で見知らぬ先輩を罵った。
大学2年の冬、もう耐えられない。あの人とは別れたとあの子から連絡が来た。真顔で慰めの言葉を入れた返信を打ちながら、心の中は仄暗い達成感で満たされていた。
ほらみてみろ、私よりもあの子を分かっている奴なんて居ないはずなんだ。何度もその別れたと書かれた文章を読み返しては内心でほくそ笑んでいた。
大学4年の春、就職先の内定が出た。第1志望だったから嬉しい!と字でも喜んでいるとわかる文面だった。私ももう少しで結果がわかるから、受かっていたら一緒に遠出でもしようと返信した。
そのあと見事に2人とも第1志望に受かって、運が良かった、旅行に行けて楽しかったと盛り上がった。私の恋心はこの時が1番穏やかで、1番愛情深くあったのかもしれない。私の隣にはあの子がいて、あの子の隣には私がいた。それだけで満足だった。
社会人1年目の冬、あの子に酷く震えた声で、それでもハッキリと伝えるんだという意思を持った声で、残酷な言葉を告げられた。
「聞いて、欲しいことがあるの。あのね、私、…どうやらバイだったらしいの。レズ寄りのバイ。それでね、いま女の子と付き合ってるの、同性の子。理解はされないかもしれないけど、貴女には知っていて欲しくて。」
言い終わったあとに隠しきれない嗚咽がスマホ越しに聞こえてきた。私はどうしようも無く、悔しかった。その後どうやって通話を切ったのか覚えていない。
社会人5年目、あの子が海外で籍を入れたいとパートナーと相談しているんだと言ってきた。私はその頃には未だに血を流すような痛みを訴える古傷を抱えながら、式には呼んで欲しい。私も貴女の幸せを祈りたいんだと話した。
昔のような仄暗い感情はもう浮かんでこないが、寂寥感には未だに苛まれ続けている。
さようなら、私の重い初恋。
でも、貴女の幸せを祈っているのは、それだけは確かだ。好きな子には幸せになってもらいたい。
パートナーさん、どうかあの子を幸せにしてあげてください。そしてお願いです。あの子の真横は貴方のものだ。でも、どうかあの子の親友の座は私から奪わないでほしい。恋愛感情はもう鎮まっていたとしても、私とあの子の友情は無かったことにはしたくないから。
未練がましい奴でごめんなさい。でも、これからもあの子の歩く道を、後ろから眺めていたいだけなんだ。




