第三章 capter-3 「回天」(2)
『さぁ、群雲順を破ったアロンソ。それに対応するはヒオウのルーキー、須賀谷! 須賀谷君は果敢に攻めるものの、アロンソを捉えきれていない様子です!』
実況の声を無視しつつも、須賀谷はタマチルツルギを構えて飛び込む。
相手のアロンソが乗っているティソーナとかいうマシンは素早いのもあるが、近接能力も高い。
振り下ろされる一撃は黒岩田の大腕を思い出すかのような破壊力で、まともに受けては大怪我をするレベルであった。
「ちっ、ちょこまか避けるじゃねぇか!」
アロンソは鼻で笑いつつも、ティソーナを動かして腕で薙ぎ払ってくる。
相手の機体の片腕が無いのが幸いだが、連撃を受けては恐らくは一瞬で負けていただろう。
「緊急回避は出来るが……この速度差は辛いっ」
アロンソはこちらを見くびっているのか、あまり高く飛翔したりはしない。それならば、まだいける!
そう思ってた矢先、ティソーナの肩の砲塔が再び赤黒く光り始めた。
「なっ!?」
「チャージは完了だ! ダラダラ戦ってるのも嫌だから、ふっとばさせてもらうぜ!」
アロンソは笑いながらボタンを腕で叩くと、後部をホバーさせる。
「この距離でやる気か!」
須賀谷は歯軋りをしながら、瞬時に腰からタキオンマグナムを抜く。
「貫けよぉぁっ!」
そしてアロンソがボタン操作に入る瞬間、砲塔に向けてトリガーを引いた。
『ドォッ!』
瞬時に爆音とともに腕が曲がるかのような衝撃が走る。
「何だこれは!?」
発砲の反動で須賀谷は吹き飛びつつも、目をがっと見開く。こんな武器が……あっていいものか?
『だーかーらー両手で撃ってくださいと言ったんです』
拡声器を使った篝火の声が聞こえる。
ティソーナの方を見れば、肩のキャノン砲がごっそりと吹き飛ばされていた。
「……あ? な、なんじゃこりゃ!?」
アロンソも身の横が吹き飛んだという事に唖然とし、口をあんぐりと開く。
「てめぇ、それ個人で携帯するには威力あり過ぎだろ! いくらこの学校の医者が蘇生までできるからって……なんつー威力だ!? 正気かよ!?」
そして文句の嵐を受ける。
「そちらの攻撃をまともに受けた時点で俺も戦闘不能だ。いい対価だろ?」
だが須賀谷はそれに対し笑いつつも、銃を構えなおした。
ーーだが、この威力は洒落にならない。タキオンとかいうものを使っているだけのことはありそうだ。
使いどころを間違えては危険にもなる……。
「もう一発食らったらまじぃな……」
そんなこちらの意識を知らずかアロンソも額に冷や汗を出しつつ、こっちを睨み付けたが……トリガーを引こうとした瞬時に、
ゴゴゴゴゴゴゴと、すぐ傍の地面から地鳴りがしたのを察した。
「……何だ?」
二人して顔を見合わせる。




