第三章 capter-2 「クイック・ライダー」(7)
「無暗に煽るような事は好きじゃねぇが……大丈夫か? あんた。何なら名誉ある負けにしてやってもいいんだぜ?」
フィールドに入るなりマシンの上で待機しているアロンソが、降伏を勧めてくる。
「お心遣いはありがたいですがね。生憎ですが俺は、そういう取引に応じる人間じゃ無いんですよ。姑息な取引で名誉ある負けというのは尚の事不名誉であるって、学則にもあるのでね」
須賀谷は言葉を跳ね除け、断言してみせる。
意地になっている訳じゃない。相手の方が明らかに上手だというのは分かる。でも、それでも諦めるわけにはいかないんだ。
「成程、順が見込んだだけの事はあるかい。男だな」
「無謀で無鉄砲と言ってほしいところですがね。さぁ、早くこちらを潰しにくりゃいいじゃないですか」
「ヘッ、言ってくれらぁ。それなら俺も……やっちまうぞ?」
アロンソは一笑すると、片腕が破損したままのティソーナの指をこちらに向け、指差して見せた。
「巨大機械と戦うってのも一度してみたかったんですよ。ペーパーゴーレムよりは遥かに強そうですがね……」
須賀谷は額に仄かに汗を流しつつも、隙を伺う。マシンが片腕を破損しているとはいえど、奴は素早い。
意図的に隙を作ってそこを突いてきたところを……やるしかないか。
「さぁきやがれ! 戦いを楽しもうぜ!」
「……やってやるさ!」
タマチルツルギを取り出し、構えてみせる。いきなりタキオンマグナムを使ったところで無駄だろう。
そう考えて走りだすと、コクピットを目掛けて跳躍をした……。




