第三章 capter-2 「クイック・ライダー」(4)
レバーを引いた瞬間、ティソーナというマシンのウィングが展開し、肩から砲塔が出現する。
「射撃兵装?」
「覚悟しろや!」
順が疑問を口にした瞬間、ティソーナの砲塔から赤黒い光が放射された。
「《雷帝の加護!》 《プロテクションハードスティール!》」
咄嗟に身を守る順だが、大火力の光にアーマーの表面がすぐに白熱していく。
「あれは何だ? 篝火!」
「分析中。まだわかりません」
「っく……!」
そして放射が終わった時には、辛うじて攻撃を防いだものの相当な反動を受けてしまった順がいた。
「緊急冷却システムが作動していなければ今ので危なかった……アロンソめ、やってくれる」
「こちらからすりゃマシンの兵装をフルパワーでぶっぱして倒れないそっちの方が異常なんだよ、何なんだよ今の攻撃を受けて立っていられるってよ、人間の体力を越えてるぜ。おかげでマシンの砲身が焼けちまって二射ができねぇ」
「フン、それは好都合だ。ならば私が、決めてやる……」
するとアロンソの言葉を聞くや否や順が走り出し、ティソーナの脚部に向けてワイヤーを射出する。
「てめぇ、まさかさっきの試合みたいに俺を引き摺り下ろす気か!?」
アロンソは慌てて上にマシンを飛び上がらせるが、順はそのような事など効かないかのような顔をして凧揚げかのようにじりじりと離陸しようとするティソーナをワイヤーで巻き取る。
「そんな真似はしないさ。……ただ、私にもやるべき仕事はあると、そう思ったのでな!」
順は口元に笑みを浮かべると右腕を振りかぶり、
「片翼をもがせてもらう……《パイルブレイカー!》」
飛び上がったまま、ティソーナの腕ごと片方の翼を粉砕したーー。
「ーー順!」
だが。順は、見誤っていた。
ティソーナの……さらなる武装、そしてアロンソの底力を。
「ここまでやるとはすげぇよ……でもなぁ、勝ち星はやらねぇぜ! 《サイクロン・ホイールッ!》」
「そんな、まだ、内臓火器がーー?」
「ぶっ飛びやがれぇぇぇぇッ!」
次の瞬間、ティソーナの胸部から竜巻が発生し、隙を作ってしまった順を上空へと吹き飛ばしたーー。
「場外! アロンソ選手の、勝ちです!」
仰向けに倒れた順が次に聞いたのは、その言葉だったーー。




