第三章 capter-1 「アメイジング・ライダー」(2)
「私はこの大会の総合運営を勤める清水道庵といいます。それではイフットさんの出番ですので、他の皆さんもベンチにどうぞ。」
暫くしてこの学校の先生が呼びに来て、外のフィールドに通される。
顔を見ると顎髭がテール状になっていて、ご丁寧にリボンすら結んでいる。
個性的にもこれは程があるといった感じだ。
(水道屋みたいな名だが……それにしても凄い格好だな。このエリアの流行にも興味がある、後で朝霞のファッション雑誌でも読んでみるか)
そんな感想を持ちつつも一行は連れられ、一番外側の一般客席よりかなり近く、バリアフィールド内の5人掛けのベンチに通される。
この位置はお互いの魔法が飛んでくる可能性があるから、気をつけねばならんな。
「……篝火、座らないのか?」
「そうしてもいいのですが……私が座ると壊れますから……」
突っ立っている篝火に聞くと、語気を下げつつも篝火は告げてくる。
おっと、まずいな。失言だった。
すると事情を察したのかいそいそと後ろの運営の生徒が下がると、二人がかりで丈夫そうなパイプ椅子を持ってくる。
「こ、こちらをどうぞ」
「大きな椅子だな……」
「半竜が乗っても大丈夫な設計です」
そういって椅子を置いてくれると篝火はそれにそっと腰を下ろし、
「この強度なら大丈夫ですね。ご迷惑かけました」
と機嫌を直し礼を言った。
「……しかしアロンソと昨日の女が出ているのは分かったが……あと一人は誰なんだ?」
そこへ唐突に、話題を変えるかのように割り込んでくる順。
「ん?」
「篝火は分かるか?」
「いえ、存じ上げません。ただ私的推論をさせていただくと、ただの人間を対抗試合に出すとは思えませんが」
「お前もそう思うか……それでは案外向こうの先鋒は大物かもしれないな。イフット、油断はするなよ」
「任せときなよって。私は負けないから!」
(信じてはいるが、本当に気をつけろよ)
須賀谷はなんとなく心の奥底で不安に思いつつも、イフットを送り出した。
落ち着いて観戦する暇もなくその3分後に一人目にイフットが勝ったという話を聞き、拍子抜けとなる……。




