第三章 capter-1 「アメイジング・ライダー」
「先鋒がイフットなのはともかく、中堅が順で大将が俺……?」
控え室の中。大会の当日の朝に言われた言葉に対して、須賀谷は意外だという顔をする。
「勝ち抜き戦なら正直お前は戦わせたくないからな。まぁイフット一人で十分だろうが万が一の時は私が前を止めればいいだけだ」
順は困惑する須賀谷に向かいそう説明してくる。
「いやでも、だからと言って俺が消耗しないってのはアレかと思うが」
「お前は秘密兵器にもなり得るからな。腹の中を正直に言えばタマチルツルギの科学力をこの学校に見せたくないというのもあるのだ。真似されると嫌だしな」
すると順は首を振り、そう丁寧に説明してきた。
「あぁ、技術が絡む話なのか。因みに篝火は?」
「セコンドの扱いだ」
「タオル投げなら任せてください。濡れタオルを時速200で投げられますからね、私は」
「下手に当たったら死ぬだろそれは……」
「気合で避けてください」
敵のつもりかお前は、と突っ込んでいると、控え室のドアが開く。
「ちょいんす。元気そうだな、4人とも。差し入れのトリンカーアーマムだ」
その顔は藪崎だ。なんだか顔を見るのも久しぶりに感じる。片手には菓子を持ってきていた。
「薮崎会長、おはようございます」
「あぁ、おはよっす。現状報告と行くが俺は一応来賓扱いで来ているが、既に現場には何人かを滑り込ませてある。調査は任せておけ。それと……篝火。ちょっときな」
「はい」
薮崎はにかっと歯を見せて笑うと、何事かを篝火に耳打ちした。
「……承知です」
「頼むぞ。……まぁ後はどうなるかだが……大会自体の結果はどちらが勝とうと構わん。俺は気にしないから存分にやって戦闘経験をつむといい」
耳打ちを終えた藪崎はぐるりと振り返りそう言い、また後でなと言って菓子を置いて部屋を出た。
「……何かを会長はするつもりなんでしょうか?」
「さぁな。私にはわからんよ」
探りを入れるように軽く聞いてみると順は肩をすくめてみせた。
その目は嘘は言っていない。本当に何も知らないといった様子だった……。
気軽に出来れば、よいのだがなぁ。
「……先鋒、稲隅風海。 中堅、天月院トラムトリスト朱音。大将、レオカディオ・アロンソ・ムラクモか。プロが3人とは、面白いカードになりそうだな」
一方部屋から出た藪崎は早速運営からパンフレットを受け取り、興味深そうにしてみせた。
「……おはよう。私もそのパンフを見たけど……大丈夫なんかねぇ」
その後ろでちょうど今遅れてやってきたダリゼルディスが心配そうに言う。
「おはようございます。正直に言えばここはアウェーだから不利でしょう。何の仕掛けがあるのかもわからない。でも、彼らには……可能性を感じるのですよ。何より貴女の自慢の生徒じゃないですか。その実力は信用してますよ」
薮崎はその声を受け、胸を張ってそう答えた。




