表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/38

とある王女の咆哮

これくらいの悪女くらいだったらこてんぱんにやっても心も傷まないかなぁ・・・と。←え。

「どうしてエルンハルト陛下はわたしを見てくださらないのよ!!」

手元にあった報告書をビリビリに破く。



忌々しい。

エルロッドウェイなんて小国の皇女に出し抜かれてしまった。

ドゥーゼットに召し抱えられたなんて一体どうやってその地位を手にしたんだろうか。

一年は間を空けられたがわたくしの国だってきちんとドゥーゼットの夜会に招待されるように

根回しのための資金は潤沢に支払っているはずだ。

ただ気になるのは最近ドゥーゼットとの交易が減ってきているとお父様がおっしゃっていた。

なんだか潮が引くみたいに最近取引が減っているらしい。

それに伴いわたくしに対するお父様の態度も少しぞんざいになってきたような気がしている。



媚薬を一番使いこなしているのはこのわたくしよ。

お父様よりお母様よりも一番うまく使えているはずなのに、どうして一番聞いて欲しい人にだけは

一度としてうまく行ったことがない。



一度目は飲み物に混ぜた。

王女からの差し出された杯をエルンハルト陛下は断ることはなさらなかった。

その中には即効性の媚薬を混ぜておいた。

すぐに効果が現れるだろう。そして目の前のわたしを連れてドアをくぐってどこか空き部屋にでも

入るだろう。

エルンハルト様はわたくしをお召しになる。そしてわたくしを求めるのだ。


そう思っていた。



でも表情も変えずに、本来だったら目が潤んで顔が紅潮するはずが。

どう考えても真っ青になり吐きそうになった顔をして、レオルド近衛騎士団長に連れ出されてそのまま

エルンハルト陛下はお帰りにならなかった。

わたくしは新調したドレスも下着も全て無駄になったということだった。

わたくしは17歳の女盛りであちらも24歳という歳のことなのよ?媚薬をもられたらどうこうなるでしょうよ。

陛下がお戻りにならなかったことにより実害がなかったとされたということなのか。

飲み物を他にも口にしていたことを目にしていたからわたくしはシードルに媚薬を入れてエルンハルト陛下にお渡しした。

わざわざ同じシードルを選んでまで混ぜたのに。



その後にわたしの腹違いの姉がレオルド様に一目惚れして同じく媚薬を盛ったのだ。


確かに黒髪の美丈夫であることは認めるわ。

わたくしの大好きなエルンハルト陛下と並ぶと金と黒の色味でなんともゴージャスだわ。

ただわたくしの姉は第一王女だったのだけど、お父様の第四側室の方からお生まれになった方だったし

少しだけ正妃の娘であるわたくしよりも身分が下の方だった。

レオルド様には奥様がいると知っていたのに、その上ドゥーゼットには一夫一妻制であり漬け込むに

してもかなり手を入れてからじゃないと奪えないとあれほど教えてあげたのに。



あれ程に情けないほどにレオルド様と踊りたがってしまったらなにか変化が起きた時に自分が何かを

しましたよって教えているようなものだったわ。

我が国の宰相にも頼み込まれて仕方なく踊りだしたレオルド様と手を重ねた時に、指輪に仕込んでいた

針から媚薬をかすめて刺したなどと。

体調が急変を起こしたレオルド様はエドガルド様のもとに去っていかれてしまうし。

なんならレオルド様が起こした殺気で意識を一時失うなど王女としても情けない限りだわ。

自分が仕掛けているのに殺気にやられるなんて本当にどうしようもない。



意識を取り戻したあとも、レオルド様にすがりついて自分と一緒じゃなきゃ苦しむから!だなんて

そんな自分が一服盛りましたと白状しているようなものじゃないの。

うちの宰相たちも本当にあれには呆れていたわね。

うまく行けばこの国の近衛隊長を奪うことが出来るかもと、軽く考えていた宰相たちも痛い目にあえば

いいと思うわ。

わたくしのドレスの発注が多すぎるなんて貧乏くさいことを言うような者たちはいらないわ。



大体その後に現れたレオルド様の奥方にささっと髪を撫でられ、あまつさえ手を取られそのままその

男らしい手に口づけを落とされたレオルド様のその時の顔といえば・・・。

あれは確かに後ろの方で何人か倒れるほどの威力をもった人の命を奪えるほどの壮絶な色気だったわ。

媚薬にやられ顔が赤く、息も荒く、瞳も潤んでいる黒髪の美しい騎士。

しかも手を取られている上に奥方がこれまた壮絶に美しい微笑みを浮かべて髪を撫でたのだもの。



この後別室に行ってどうせ奥様が解呪してくれたのでしょうけれど。


あまりの鮮やかお手並みで自分がその場所を奪おうとしていたのに堂々と妻に嘲笑われた姉はそのあとも

レオルド様の名前を呼んでいましたわね。

エルンハルト陛下が睥睨されて、つまみ出されたあとにわたくしにも視線を向けてくださることはなく

そのその次の年までわたくしたちの国がドゥーゼットに呼ばれることはなかったなんて。



それから程なくして、姉は他国に嫁いでいったのだけど。

そこは島国からなるあまりにも小さな国の上に三人目の側室という立場で嫁いでいかれたわ。

自業自得よね。

その小さな島でもレオルド様に焦がれているという話だったけど、その国の王様にはもう正妃には

6人子供もいたらしいし、実際側室の方々には一度もお手を触れないらしい。

実際はその島国は体の良い各国の厄介者払いができる場所。ということかしらね。

その島国の王は小さな島の集まりというのを生かして、一人ひとり一つの島に側室の方を捨て置く

らしいの。

もちろん一度も会うこともなく、ただ厄介者の姫たちをお金をもらって島に置いてやる。ということ

なのよね。

そしてそれをもはやビジネス化しているらしいから小国で島国がたくさんあるというのもまあ考えように

よっては良い資本があるということなのかしら。



姉のように問題を起こした人もいれば第一番目の側室の方は自らお願いしてそこに娶ってもらった

という経緯もあるらしい。

ていの良い豪華な監獄でのびのびと暮らしたいほどの辛いことがあったということでしょうけども。

男性一人も付き添わないのがその島の決まりらしく、まあ確かに一度も手を触れていない側室が

身ごもったりしたらびっくりするでしょうしね。



まあ、姉はもう二度とレオルド様のお姿さえ見ることは出来ないし、姫として過ごすことも出来ない。

それに結婚したからといって夫に愛してもらうことも出来ない。

なんとも情けない限りだわ。

我が国は第一王女を娶るだけ娶り、自国に押し付けられるならと持参金を山ほど搾り取られたと聞いたわ。

それでもそうしなければドゥーゼットとの国交を断絶されてしまうと焦ったお父様はそれを断行。

もう二度とあのマヌケな姉と会うことはないと思うとすっとするわ。

それにともない第四側室のかたも離宮に行かれてしまったわ。

これまたわたくしのお母様が高笑いだった。



わたしのお父様は正妃であるわたくしの母との間に兄とわたくし。

あとは6人の側室、それから何人かわからないほどの愛妾をお持ちであって、実際側室との間には

11人の王子と姫がいる。

役に立てばお父様に近い場所に部屋をいただけるしそうでないなら離宮にやられる。

実際本当に庶子まで合わせたら何人兄妹がいるかわからない。

なんともお盛んなことだ。



お父様は賢王ではないと思うわ。

ただお仕事はしてらっしゃると思うけれど。

媚薬をどうして手に入れられやすいかというと、西の方の国との貿易を開始したあたりからだった。

媚薬の効果は多分お父様自身もお使いになってらっしゃると思う。

お母様にももちろん愛人がいるからお母様も使ってらっしゃる。

だったら、わたくしだって使ってもいいじゃないのって思って16歳の時に手を出したのが最初。

だからエルンハルト様を見て絶対に手に入れると決めて媚薬を用意したのも実際初めてじゃなかったし

なんのためらいもなかったわ。



その時一番気に入っていた護衛騎士に使ってみたわ。

金色の髪がエルンハルト陛下に似ていて気に入っていたのよね。

ほんのちょっとだけ仲良くした。ってだけだったのにその護衛騎士はわたくしの側を離れてしまった。

どうやら婚約者がいたみたいだけど、その後どうなったかはわからないわ。

護衛騎士なんてたくさんいるし、何回か同じことをしてみたけど何故かわたくしの周りはそれ以降

女性騎士が付くようになってしまって本当につまらなくなってしまったわ。



わたくしのそういった事情なんて。

媚薬を使って致してしまえば初めてか初めてじゃないかなんてエルンハルト陛下にはわかりっこないわ。

だって媚薬だもの。

ああ、わたくしは目を覚ましたエルンハルト陛下に泣きながらお慕いしています。とでも言えばいいだけ

だものね。



媚薬なんて使いようだと思うわ。

欲しい物を手に入れるために使うならこんなに効果的なものはないと思うの。



だいたいね。

あの姉の馬鹿なところはきちんと乾かす処理をしなかったため、滴状になっていたためきっと効果が

おもったよりも早く出てしまったのが敗因よ。

もう少し時間をかけて側にいたらどうにか出来たかもしれないし、奥方が着くより早く連れ出せていた

可能性だってあったのに。

本当に殺気でやられることさえなければね。どうしてあんなに間抜けだったのかしら。

大体ずさんだったから足がついたのじゃないかと思う。

まあそれほどに恐ろしいほどの美貌だったということねレオルド様が。

わたくしのエルンハルト陛下ほどじゃないけれども。



それにしても、二度目の媚薬のときも気をつけて手に持っていた扇子に仕込んでいたのに。

あのときもエルンハルト陛下は体調を崩された。

今度は鉄壁ほどの真顔のレオルド様に阻まれて、わたくしは近寄ることさえ出来なかったわ。

せっかくお言葉を交わせるほど近くに寄れたのに。

それに同じく扇子に仕込んだから近くにいたレオルド様にも少しは効いても良かったのに。

それはそれで楽しそうじゃない?でも、全くというほど顔が変わらなかった。

というよりも、全て知っているぞって顔をして不愉快さを隠しもしなかった。



一国の王女に対しての態度ではないと思ってエルンハルト陛下に抗議しようと思ったのに。

外務大臣に止められてしまった。

宰相は口うるさいけれどこの外務大臣は見た目もまあまあで、まあ仲良くするのにはちょうど良いのよね。

この間も奥様が怒るのでは?と聞いたけど、そんな事おっしゃらないでください。ってわたくしの手を

取るのですもの。

満更でもない気分になったわ。まあそれ相応に仲良くしているのだけれど。

ああ、仲良くは仲良くよ。知られる訳にはいけないような仲良く。だけれど。



まあ、わたくしにはエルンハルト陛下がいるからこちらも火遊び程度のものよ。



それにしてもレオルド様が全く平気だったという点よ。

一度媚薬を受けたから?と思ったのだけれど同じ成分ではなく改良版だったはずなんだけど

元はレオルド様が一度かかった媚薬だったのに。

二度目は受け付けないということなのか、もともと薬に対する耐性をつけるのが早いのかしら?

うん、多分そうよね。


ということで、この媚薬には耐性がついたのではないかとあの時思ったのだけれど。




三度目。

お側に寄ろうとするのをまず一度制された。

一国の王女よ?一応第二だけど形的には姉は嫁いだのだからわたくしが第一王女のポジションに居る。

わたくしの国とドゥーゼットならたしかにドゥーゼットのほうが大きいわ。

でもうちの国だって利益があるとおもうの。

うちの国で取れるレアアースは輸出量が少し減り始めているけれど、まだ需要があるわ。

その取引をしていたはずだもの。

わたくしとの縁ができればそういった部分でも得でしょう?そしてわたくしは美しいわ。



あまりにもエルンハルト陛下とお近づきになることが出来ないから取引するもののお話を持ちかけて

やっとお話することが出来たわ。

その時にわたくしはダンスに誘ったまでは良かったのだけれど陛下はけして踊ろうとしてくださらなかったわ。

穏やかな声で「相すまないが、踊ることは出来ない。」とそれだけ。

仕方ないから再び扇に仕込んだ媚薬をお側に寄せようとしたのだけれど・・・。

間にまたレオルド様が立たれたわ。

そのまま少し顔色が悪くなったエルンハルト陛下はそのまま下がって今回も戻ってこられなかった。

もちろん外務大臣も今年も来たのだけれど全くお話すら満足にできなかったという。



どういうことなの?レアアースはドゥーゼットの地層からはそんなに取れなかった記憶しかない。

そしてこの鉱物はほとんどドゥーゼットに輸出されている。

早く決めなければ我が国の資源が枯渇してしまうかもしれない。

それに、エルンハルト陛下のあの美貌は更に磨かれてわたくしの隣に相応しい。

あんなに美しい人見たことがないわ。

どうしても自分のものにしたいと思って何が悪いの?


一度わたくしを知っていただければお気に召していただけると思うの。

そこら編の小娘よりも楽しませてみせる自信があるのに。

王女として房事の嗜みは巧みな方が良いと思わないのかしら。



このままだとエルンハルト陛下との間は縮まらないわ。

そして今までは他国の王女が別に来ることもなかったからわたくしが一番地位が高いということで

エルンハルト陛下との面会もたやすくかなっていたけれど。



今回はあの皇女がいるのだ。


ナディアレーヌ・エミィ・オーウェン。

エルロッドウェイの第三子にして唯一の皇女。

銀の髪に紫の瞳を持つ、エルロッドウェイの珠玉の至宝と呼ばれる姫。



エルロッドウェイといえば医療国であり、小国なのに力を持つ。

そしてその皇は見目麗しく公平であり、皇国での皇国民の支持も高く自分たちの国の価値を最大限引当げ

いろんな多方面に影響力を持つ。

我が国にエルロッドウェイからの意見文が届いてはいたが、うちの方が国は大きい。

だいたいが媚薬の取り扱いの禁忌についての話など言語道断だわ。



それにしても使者となって訪れた皇太子は非常に見目麗しかった。

わたくしのエルンハルト陛下と同じくらい素敵だった。

穏やかで大人できちんとした王族としての振る舞いにわたくしはちょっとだけでもお近づきになろうかと

話しかけては見たけれど。

穏やかなはなし口でわたくしのことをお美しい王女様だと笑っていってくれたくせに。




ちょっと試しに媚薬を使ってみようかとも思ったんだけど、あの国には媚薬は効かないんじゃないのかしら?

どれくらいそばに寄ってもあの皇太子はちっとも変わらなかった。

その上わたくしにたいして不敬じゃない?美しいって行ったくせに笑顔でわたくしの誘いを袖にした。

その上体を寄せようとしたら腕で自分自身の体を囲い、わたくしに触れない意思を示した。

「婚約者がいるのでこれ以上近づかないでいただきたい。」だなんて。

本当に腹が立ったからなんとかその婚約者との間に亀裂でも入れてやろうかと思って滞在しているはずの

宮に行ってみたけれど、なんとわたくしにも知らせずに懇意にしている我が国の近衛騎士団長の邸宅に

居を移したっていうじゃない。



あの近衛騎士団長は本当に嫌い。

わたくしが一番最初に護衛騎士に媚薬を盛ってからというものわたくしにたいしての礼儀もなっていない。

あんな無骨な男などこちらから御免被るわよ。

まあ、本当に見目も良いし身体も良いのだけれどわたくしに目も向けないなんてそんなの許せない。

それからわたくしの護衛は女性騎士に変わったけれど。

本当に楽しくない。楽しくないわ。



それにしてもフレディ皇太子は本当にお美しかったわ。



銀色の髪はつややかだったし、そこまで背が高すぎるわけじゃなかったけれどバランスの取れた体型。

きちんと正装の衣装の胸元もきちんと張っていた。

ということはそれなりの筋肉がきちんとついていらっしゃるということよね。

本当に婚約者に操を立てるなんて男の風上にも置けないわ。

わたくしがお側に上がってもいいって言う意味でのあの媚薬だったのに。




その後に宰相に叱責されたのはなぜかわからないわ。

他国に出すのは恥ずかしいとか言うくせに、今回もわたくしを連れて行くのはわたくしのお願いを

無碍に出来ないから。

本当に媚薬様々だわ。




次こそ。

なんとしてもエルンハルト陛下を手に入れなければならないわ。

エルロッドウェイの皇女はあのフレディ皇太子の妹で珠玉の姫だと言われている。

その女が陛下のお側にはべっていると思うだけで腹が立つ。



そうだ。



媚薬はもちろんだけど、あの女の顔を焼いてやろうかしら。

その時にはわからなくても時間差で痛みが出てその後肌が焼けるようになるあの薬。

もともとは自白剤に含まれていたものだけれどもあまりにもきつくて同時に接種するのは危険って

そういった薬だった。

そうね、エルロッドウェイの皇女の顔にかけてやろう。




わたくしのエルンハルト陛下のお側にはわたくししかいらないわ。




わたくしが望むのだからあの方も応えてくれなければ。






それにしてもどうして胸騒ぎがするのかしら。

きっと気の所為よね。




そう、気の所為よ。




「もうすぐお側に参りますわ、愛おしいエルンハルト様。もう少しお待ちになってね。」


わたくしの隣で目を開けた時のあなたのその顔が楽しみだわ。







絶対に逃すものですか。




これくらいの悪女がこてんぱんにやられたら気持ちいいとは思うんだけど、なんだか書いていながら

この王女ってエルンハルトが許すはずないよなぁ・・・って思ってしまいました。

うん、多分エルンハルトそのうち激怒(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ