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閑話休題  ホワイト・クリスマス(ナディアレーヌ編)

ついに気が付きましたよ。そういうことですよ両片思い。

「わたくしの国では雪が降るんですわ。この国では珍しいのですか?」



そう、エル様に問うと、柔らかな笑顔が帰ってきた。

わたくしはこの国にエル様を治しに来たんです。

この方のご病気を治せば、きっとわたくしはこのまま自分の生まれ育ったエルロッドウェイに帰り、

そして修道院にでも入って料理と薬草をいじって暮らせていけたら。


そう思っていたのですが。



最近どうもおかしいのです。

エル様・・・エルンハルト陛下を見ると何故かソワソワした気分になるのです。

嬉しいようなちょっとだけ恥ずかしいような。

サラに相談してみたのですけれどもニヤニヤするだけでこの状態がなんなのかは教えてくれません。

仕方なくアーノルドにも同じ質問をしてみたのですが・・・。

それはそれは嬉しそうな顔で「姫様でお考えください!!」と敬礼されそうになってしまいました。

アンヌに相談するべきかとおもっていたのですが。

アーノルドが自分で考えろといったものですからそれもできません。



サラに相談したときにその場にいたロウは呆然として嘘だろ・・・。とつぶやいたっきり固まって

しまったのでそれ以降怖くて聞けておりませんの。

お兄様たちに相談するほどでもないので、ああ、それならと。



もう少し先の予定ですがエルローズ様たちとお茶会をすることにしまして。

そのときに相談してみようと思っておりますの。

アーノルドもその場にいるので(護衛ですもの)きっと渋い顔はすると思うけれど。


でも、エルローズ様そういえばカインお兄様との結婚が決まりました。

ということはわたくしのお義姉さまになるわけです。

相談しても構いませんわよね、だって身内ですもの!




陛下とお呼びしていましたが、この前エルと呼ぶようにと言われましたので恐れ多いことながら

エル様と呼ぶようにしましたら心がポカポカします。

わたくしはどうやら、エル様をお兄様たちと同じくらい大好きらしいのです。

最初からお美しい方だと思っておりましたし、あの低い声も好ましいと思います。

わたくしはでも、いずれエル様が治ればお側にいることはできなくなります。

だってわたくしは体を治すために来たのですから。

わたくしの役目が終わればここにいることはできないでしょう?

それくらいはわたくしにもわかっています。



ただ何故なのでしょう。

それがなんとなく悲しい気がしてしまうのは。

ここにはわたくしが知らない植物も薬草もたくさんあるから。

そういう事だと思うんですけれども・・・。


風が冷たくなってきたからもう中にはいろう。




そう、エル様はおっしゃいますが、わたくしはまだここにいたいのです。

せっかく二人でいれるのですもの。

寒いくらい・・・。



ふと。




何故二人でいたいのだろうと、ふと思うと。

エル様の好きと、お兄様たちの好きと、なんとなく違うような気もしてきました。

自分で考えろと言われてもどう違うか、まだ違いがどうなのか検証できていません。

わからないのです。



ふと見上げると、きれいなミルクティー色の金色の髪。

サラリと風に流れるその髪は灰色の空の中で柔らかな光を放ちます。

わたくしの冴え冴えとした銀の髪とは大違い。

柔らかな暖かさを感じます。



「エル様、髪は伸ばしませんの?この間もお聞きしましたけれど。とても美しい髪なのに。」

そういうと、目を細めて低い声で笑うエル様の声が耳に入ります。

「あなたはこの髪の色が気に入ったのか?しきりにそれを言うな。」

「も、申し訳ありません。ただ、この雪の降る銀色の世界でも暖かな色をしていると思って。」

「好ましい?この髪は。」

ふわっと笑うエル様の笑顔に、思わず見とれて返事が遅れてしまいました。

「え?」

「ナディアはこの髪が好きか?」

「・・・・はい。美しいと思いますわ。長い髪であれば髪を編んで遊びたいほどです。

わたくし、兄様の髪をいじらせてもらうのが大好きなんですの。

だから・・・。」



その話を聞いたエル様は、くくっと声を上げて笑うのでああ、子供っぽい返答をしてしまったわ

と、少し恥ずかしく思っていると・・・。



「あなたに髪を編んでもらえるのはいいな。やはり伸ばそう。

あの日からわたしの髪にはハサミを入れていないのだ。あなたが好きだと言ったその日から。」




ああ、だから少しだけ目にかかるほどに伸びているのだなと、ふと思い。

軽く目を伏せてわたくしを流し見たその視線を見て。




自分でも顔が赤くなったのがわかりましたの。

耳が。

耳が熱いです。





わたくし・・・。




今まで恋をしたことはありませんの。

恋をするよりもわたくしにはすることがたくさんありましたし、こなさなければならないことが

たくさんありましたから。



でもひょっとしてわたくしは。






この方を好き?




でも、この方に必要とされなければわたくしはここにいられないのに?

他の方を愛してしまうかもしれないこの方が、もし体が治っていなかったら。

そのままわたくしはここにいなければならないの?

この美しい、国王である尊き方はお兄様たちと同じく女性に一番に乞われる立場の人。

今までいなかったからと言って。

今から愛する人に出会わないとも言えない。

そして、わたくしはそれを見ているだけしかできない?




わたくしは・・・ただ望まれるのは体を治すこと。






自覚したときにはもう遅いのだと恋愛の本にはかいてありました。

私だって何冊かはそういった本を持っておりますし読んだこともありますわ。

ただ今まで一度たりともじぶんにそんなことが降りかかるなんて思ったこともなかっただけで。




ああ、わたくし・・・。




かなわないとしてもこの方をお救いしたいです。

今はそばにいられますが、そのままお側にいれなくなっても。

わたくしはこの方が好きなのでしょう。




柔らかく笑う、この笑顔が好きだと。

唐突に腑に落ちました。

だからこの方に触れられても、体が逃げないのだと。

この方にとってわたくしは体調を治すために来た神託の娘。

そう、わたくしはただの役割を持っているから優しくしてもらえるだけ。




「エル様、お部屋に入りましたらわたくしのとっておきの紅茶を入れますわね。はちみつに合うんです。

暖かくして、またよるお部屋に伺いますわね。今日は寒いからクコのお酒を少しだけ垂らして。

よく眠れますように。」



そう、それだけなのですわね。






手を差し伸べてくれる。その手を取るととても冷たくて温めてあげたくなります。

触れたい。触れてほしい。でも。

一定の距離からわたくしには近づかれません。

それはわたくしに興味がないからでしょう。




でも、わたくしは・・・。





好きなのだと思った途端、この人のために何でもしてやろうと思う気になりました。

この方にとってわたくしが取るに足らないものであったとしても。

わたくしはこの方が好きなのですもの。



初めての好きはどうやって示せばよいかわかりませあん。

わかりませんが、わたくしはお側にいたいと思ってしまいました。

だから、そうします。




小娘だからとあしらわれましょうけれど。

それでも良いのです。

わたくしはこの同じ瞳を持った、同じく神に振り回されている方を救いたいし側にいたい。

いつかいられなくなっても。



好きでいたい。






わたくしが見上げれば、エル様は笑ってくださいます。

そのイヤーカフに触れたいと思ってしまいました。

わたくしの髪留めに似た、そのイヤーカフに。



「エル様、わたくしグレープフルーツの研究をはじめましたのよ。」

「ほう、それは面白いな。」

そう言って笑うこの人のためにわたくしができること。





それを考えながらわたくしは過ごしていこうと思います。



少しでも側にいられますように。






やっとエルンハルトに追いついてきましたよナディアレーヌも!(笑)

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