〜名前〜
手を合わせ、ごちそうさまと言い食べ終わる。朝から若干重かったが、良いものを食べれた。
リュコスは食べ終わった皿をお盆に載せると立ち上がりキッチンへもって行く。
「あ、そうだ、嬢ちゃん。昨日の今日で悪いんだが、名前思い出せるか?」
皿を置いて戻ってきたリュコスは思い出したかのように聞いてくる。
俺は目を瞑り、思い出そうとするが、日本人だった頃の名前も、今の名前もどちらとも全く思い出せない。
「名前………う〜ん…思い出せない。」
するとリュコスも唸り、目を伏せ再度口を開く。
「思い出せないか……いや嬢ちゃんが悪い訳じゃ無いんだけどさ。
今日街へ買い物行くって言っただろ?その街がある国に入る時に名前言わなきゃ行けないの思い出してな。」
あ〜そう言うことか……まぁどのみち名前は入用だしここで決めといた方がいいよな、でも俺、この世界の一般的な名前なんて知らないし…
あ、いい事考えた
「じゃあ、リュコスが俺に名前つけてよ?」
そう俺は口に出し、リュコスへ丸投げする。楽だし実際の所最善の手だろう。
一人称は俺のだけどたぶん大丈夫だよね?。この見た目だから不自然だろうけど別にバレても問題ないだろうし…なんかネカマやってる気分。
「えぇ…俺名前なんかつけたことないぞ!?」
焦りをあらわにしながら、挙動不審になっているリュコスに期待の眼差しを送り追い詰めてみる。
俺から目をそらし頭を抱え唸り続ける事5分、なぜか申し訳なそうに細々と口を開いた
「えっと…ククラってのはどうだ?この辺の森に稀に生える白くて珍しい花の名前なんだが…」
白くて、珍しくて、森にある花か…名は体をあらわすってか。
俺は関心して頷くとリュコスは安堵のため息を漏らす。結構プレッシャーかけちゃったぽい。
しかしこの狼、料理出来て、看病も出来て、挙句の果てには花の名前を知っているとか…女子力高すぎだろ…
「気に入ってくれたならよかったよ。
あと問題があるとすれば…目だな。入国とかには問題無いんだが珍しいからな。イノセンス」
あ、そっか。客寄せパンダ状態になることは間違いないか…
カラコンなんか無いだろうしどうしたもんか…
「まぁ嬢ちゃん…もといククラ身長小っさいしなんか被ればバレなそうだけどな。」
ん〜確かに背小さいから下向いてればバレないかも…
「でもリュコスのじゃ大き過ぎるでしょ?私サイズの帽子なんてこの家あるの?」
俺がそう言うとリュコスは片手を頭の上に置きながら椅子から立ち上がり、俺が寝ていた寝室に入る。そしてその部屋にあったタンスの下段をガサガサと漁る。
「うーんと…確か…ここら辺に…………あった!」
そう言って取り出したのは、若干大きいが殆ど問題がないサイズのつばが長いストローハットだった。
なんでそんなものがあるのか疑問だがとりあえず手渡されたので、かぶる。
やっぱりちょっと大きいが飛ばされる事はない位にはフィットした。
「大きさ、大丈夫っぽいな。
うん。上から見れば目も見えん。」
リュコスは帽子を被った俺の前に立ち、こちらを見下ろしてくる。
ストローハットなので内側からも視界が利く。深くかぶってるせいでぶつかる見たいな事も無いだろう。
人の過去なぞあまり詮索しない方が良いだろうから言いはしないが、ホントにコレ誰の帽子なのだろうか?




