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〜Side Story 人狼、幼女に出会う。後編〜


「ふぅ…とりあえず寝かせとかねぇと…」


俺は急ぎで家に帰り、傷が開かないようにベットに少女を置き、手にはめられている枷を腕力で破壊する。

しかし一命は取り留めたがどうしようか…

こんな立地じゃ医者が来れるかわかったもんじゃ無いし、もし来れたとしてもそれまでこの子が持ちそうにも無い。

国の医療機関に任せるものいいが……ダメだな、イノセンスを受けもってくれる国医なんているわけ無いな…


「………しょうがない、使うか」


そう口に出し決意を固める。俺は自宅のキッチンに移動し、食料品や調味料を保管してある地下の貯蔵庫へ足を伸ばす。

そこは湖の地下水の影響で春夏秋冬いつでも気温が10度前後に保たれている部屋であった。

食料品などが整理された棚は部屋の壁、四方に並べられていた。

俺はそこの中の右側の壁の棚の最上段隅に置かれてある鉄製の堅牢な宝箱を手に取り床に下ろす。

マジックバックから鍵を取り出しその宝箱を開ける。

そこには最高額硬貨である白金貨20枚が入った袋と、伝説の金属オレイカルコス製のマジックナイフ、そして細長く、豪華な装飾がされた瓶に入っている、別名神の血とも言われるエクリサー3本が目に入る。

このアイテム達はいずれも、数十年前に俺が冒険者をやってた時に入手した最高峰のアイテムだ。

俺はその宝箱の中にあるエクリサーを1本取る。

現在では製造不可能と言われている古代の遺産、どんな怪我でも瞬時に治る真っ赤なポーションだ。


宝箱を元の位置に戻し鍵を閉めると俺は急ぎ足で少女の元に戻る。

そして少女の前に立つとエクリサーの封を開け、数滴口に流し込む。

すると少女は赤い光に包まれ小さい傷はみるみる塞がり跡1つ残さずキレイに治った。

しかし、大きな裂傷などの傷は数滴では消えない。

俺は少女の服を剥ぐ。血などによってニカワのように固くなってしまっていた為、キレイに脱がせようとしてもボロボロと崩れて行ってしまう。負担をかけない為にも破くような形で服を脱がせた。


少女の全身には鞭打ちのような拷問によって出来たであろう縦に伸びた裂傷や、重犯罪を犯した者のみに着く焼印。何かで刺されたのであろう深い刺傷などが無数にあった。

エクリサーをキレイなタオルに染み込ませ、その傷にひとつずつなぞるように塗っていく。

直接塗った事により大きな裂傷もキレイに完治していった。その作業を2時間ほど繰り返す頃にはエクリサーが切れ少女の傷も綺麗に治っていた。

湖から水を汲んで体を拭いてやると、血痕などは綺麗に落ち白い肌が見えた。

服を着せ暖かい格好をさせて寝かせようとするが、少女は発熱せいなのか未だ苦しそうに唸っていた。エクリサーと言えど病気までは完治できないようだ。

俺は薬学に関しては最低限度の知識しか持ってないので、薬草を煎じた簡単な物しか作れない。

まぁ何もないよりはマシだろうと言う事でつくって飲ませて見たが、案の定そこまでの効果はなく、酷く唸っていた。


日が落ちてもまだ一向に良くなる気配は無く、時折苦しそうに激しく息切らすと、少女は涙を零しながら何かを訴えるように唸っていた。そんな状態の子供から目が話せるわけもなく夜どうし看病をする事となった。

日が昇り2日目になっても一向に良くならず、再度日が落ちると、また苦しそうに唸り始める。

幸いなのか俺は獣人だったので体力には自信があったが、子供がこんなにも苦しんでいる状況を見せつけられ続けた為、精神的に辛くなって来てしまった。


しかし3日目になると一転して苦労が報われたのかだんだん熱はさがり、唸ることも少なくなって行った。

薬草が晩成型だったのだろうか、そんな事を考えていながらも、だんだんと落ち着いてゆく少女の顔を見ると俺の精神的負担も減っていった。

夜になると完全に熱はなくなり寝顔は穏やかな物となった。

一安心したせいなのか、たまっていた疲れと眠気が急に押し寄せてくる。


「ふぁ〜…流石に疲れがたまっていた来てたか」


そう独り言をつぶやき、俺は3日ぶりの睡眠を取った。ベットは少女に明け渡している為、リビングで机に突っ伏して仮眠を取る。


((そういやイノセンス保護してるんだから、国に報告しないとまずいよなぁ…))


そんな事を考えながらだんだんと眠りに落ちて行った。




座りっぱなしだったため、腰の痛さで目が覚める。

完全に疲れは取れていないが、少女の様子を確認するため伸びをしながら、部屋のドアノブに手をかけた。

すると中から幼い少女の楽しそうな声が聞こえた。


「うぉおお…超キレイ…」


俺は無事に目覚めてくれた事に心底安堵する。本当に一時はどうなる事かと思ったからな…

しかしこの景色の良さを分かってくれるとは…

意気揚々とドアノブを捻り俺は少女に一言声を掛ける。



「だろう?この世でこれ以上美しい場所はねーぞ」



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