〜見送り〜
俺はリュコスに抱えあげられ外にでる。
見送りの為出ようとしたのだが、まだ腰が笑っていた為リュコスに抱えて貰ったのだ。
いつの間にか外はもう薄暗かった。月明かりがぼんやりと夜の湖を照らす。
「じゃあ私達帰るね。その子の事ちゃんと守るんだよ!」
カニーはリュコスを指さし、命令する。
ショボンしたリュコスを見上げていると、赤髪の獣人アルナブが近づいて来て、俺の手を握ってきた。
「じゃあな、お嬢さん。コレあげる。困った時はおもいっきりコレを叩き割るんだぞ」
アルナブが手を離すと、俺の手には丸い緑色の結晶があった。エメラルドとヒスイの中間のようなその輝きはなんとも幻想的なものであった。
お守りだろうか?いや魔法が存在するこの世界だ、おそらく魔道具の類だろう。大事にしようと決め両手でその結晶を握る。
「あの…いろいろありがとうございました…」
俺は声を上げ、お礼を言う。
アルナブは優しげな笑顔を浮かべ、俺の頭をポンと叩くと背を向け3人の元へ合流していった。
4人は来た時のように濃い緑のフードを深くかぶり、同じ方向を向きひし型に並ぶ。
「じゃあ行きます。リュコスさん、身構えてください。」
顔は見えないがおそらく声的にクローリクだろう。
しかし身構える?なんかあるのか?
そこまで考えた時突然横から、4人を押すような突風が吹く。
物凄い轟音と共に吹くその突風はリュコスが俺を掴んでなかったら間違いなく数十メートル先まで吹っ飛んでいたレベルであった。
俺は、リュコスにしっかりと捕まり、なびく自分の髪が視界を邪魔しながらも目を開け、4人の姿を捉ようとした。しかし、次第に風は竜巻のように渦を巻いていった姿になり、4人は見えなくなった。
どんどんと風は強まり、目すら開ける事が困難になった時、暴風のなか、大声で叫んでいるのだろう、カニーの声がうっすらと聞こえた。
「バイバイ!!今度はどこかで遊ぼうね!」
カニーの言葉を皮切りに、その風はピタッと止む。
俺は風が弱まったのを感じ目を開ける、しかしそこには4人の姿はなかった。
訳がわからず、リュコスを見あげると、察してくれたのか顎で方向を指し示してくれる。
指し示した先は暗い森の上、ぼんやりと光る月に影として映される4人の姿があった。
今のいままでここにいたのに、すでに米粒の様に小さくなっていた。魔法か何かを使い、音速クラスの速さで駆け抜けたのだろう、10秒もしないうちに4人の姿はもう完全に見えなくなってしまった。
その姿を見届けるリュコスの目はとても嬉しそうなうな目をしていた。




