表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
7/20

第7話 お店の案内はお任せ下さい

ゼノスは軽く咳払いをした。


「いや、案内は──」


「ではこちらからご案内します!」


「……断ったのだが。」


「まずはこちら、お弁当コーナーです!」


遠矢は聞こえていないかのように歩き出した。


「毎日違う商品が入荷します!」


「……。」


「こちらはおにぎりです。」


「定番商品ですね。」


「おすすめは鮭です。」


「……そうか。」


「でもツナマヨも人気です。」


「私は今、おにぎりの人気ランキングを聞きに来たわけでは──」


「続いてパンコーナーです!」


「聞け。」


遠矢は満面の笑みで棚を指さした。


「甘いパンがお好きでしたら、こちらがおすすめです!」


「私は──」


「食パンもございます!」


「……。」


ゼノスは諦めて後ろを歩くことにした。


(……話を聞かんな、この青年。)


遠矢は楽しそうに説明を続ける。


「こちらは飲み物です!」


「冷えております!」


「……。」


「コーヒー。」


「お茶。」


「ジュース。」


「お水。」


「全部冷えてます。」


「親切だな。」


「ありがとうございます!」


「褒めたつもりではない。」


「こちらはアイスです!」


「暑い日におすすめですよ!」


「この世界にも暑い日はあるだろうからな……。」


「あります!」


「良かったです!」


「何が良かったんだ。」


さらに歩く。


「こちら!」


遠矢が誇らしげに両手を広げた。


「ホットスナックです!」


「一番人気は唐揚げです!」


「揚げたてですよ!」


ゼノスは香ばしい匂いに思わず鼻をひくつかせた。


(……いい匂いだ。)


「それから肉まん!」


「冬になると特に人気です!」


「夏でも売れます!」


「…………。」


「あとアメリカンドッグ!」


「ケチャップとマスタードはお好みで!」


「…………。」


ゼノスは心の中で自分に言い聞かせた。


(落ち着け。)


(私は魔王だ。)


(敵地の調査に来た。)


(食欲に負けるな。)


その時。


ぐぅぅぅ……


静かな店内に、盛大な音が響いた。


「……。」


「……。」


遠矢はにっこり笑う。


「お腹、空いてます?」


ゼノスは少しだけ視線を逸らした。


「……朝から書類仕事でな。」


「まだ何も食べていない。」


「それは大変です!」


遠矢は即座にショーケースへ向かう。


「まずは腹ごしらえしましょう!」


「話はそれからです!」


「いや、私は視察に──」


「唐揚げにします?」


「肉まんにします?」


「それとも両方にします?」


「……なぜ選択肢が増えた。」


気づけばゼノスは、異世界初のコンビニで、


店員のおすすめメニューを真剣に聞かされていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ