第15話 ここはどこだ。
魔王城へ戻る道中。
「せーの。」
「ゆっくり。」
「右。」
「左。」
「段差!」
「おっと!」
四天王は慎重にベッドを運んでいた。
すると。
「……ん。」
ベッドの上でゼノスが小さく動く。
ガルドが目を見開く。
「やばい。」
ヴェノも青ざめる。
「起きる。」
ドラグは慌てる。
「急げ!」
レイスは真顔だった。
「寝かせよう。」
四人は急に子守歌を歌い始めた。
「ねーんねーんころりよー。」
「魔王様ころりよー。」
「肉まんころりよー。」
「最後違う。」
「違った?」
「分からない。」
ゼノスの眉がぴくりと動く。
「……。」
ゆっくり目を開けた。
「……。」
夜空。
「……。」
見知らぬ天井ではなく、
夜空だった。
「……?」
体を起こそうとする。
ベッドが揺れる。
「うおっ。」
「魔王様!」
「起きた!」
四天王が一斉に笑顔になる。
ゼノスは辺りを見回した。
ガルド。
ヴェノ。
ドラグ。
レイス。
全員いる。
「……。」
「何をしている。」
ガルドが満面の笑みで答える。
「帰ってます!」
「何処からだ。」
「コンビニ!」
「……。」
ゼノスは止まった。
「今。」
「何と言った。」
ドラグが元気よく答える。
「コンビニ!」
「夜食買いました!」
ヴェノ。
「いっぱい。」
レイス。
「お土産も。」
ゼノスはゆっくり首だけ動かす。
ベッドの横には大量の袋。
肉まん。
アメリカンドッグ。
ハッシュポテト。
コロッケ。
春巻き。
お茶。
お菓子。
雑誌。
生活用品まである。
「……。」
「これは。」
ガルドが胸を張る。
「魔王様の分です!」
「……。」
「我の。」
「はい!」
「寝てたので。」
「好きそうなの全部買いました!」
ゼノスは静かに聞いた。
「待て。」
「我は。」
「いつコンビニへ行った。」
四天王は顔を見合わせる。
ガルド。
「寝ながら。」
ドラグ。
「行きました!」
ヴェノ。
「ぐっすり。」
レイス。
「気持ち良さそうだった。」
ゼノス。
「……。」
「我は。」
「寝ていたのだな。」
「はい!」
「では。」
「誰が許可した。」
四天王は再び顔を見合わせた。
数秒後。
全員同時にガルドを指差した。
「「「ガルドです。」」」
「えぇっ!?」
ガルドは飛び上がる。
「なんで俺ぇ!?」
ヴェノが真顔で言う。
「リーダーだから。」
ドラグ。
「まとめてた。」
レイス。
「責任者。」
ガルド。
「お前ら全員賛成しただろ!」
「しました!」
「しました!」
「しました!」
ゼノスは静かに空を見上げた。
「……。」
深いため息。
「我は。」
「部下に恵まれたのか。」
四天王は満面の笑みだった。
「はい!」
「違う。」
ゼノスは即答した。
「恵まれていない。」
その一言に、四天王は首をかしげる。
「え?」
「なんで?」
「仲良しなのに。」
「優しかったのに。」
ゼノスは心の底から思った。
(この世界で一番恐ろしいのは……。)
魔王軍…いやこのポンコツ四天王…いや死天脳だなと。




