第10話 夜中はお腹がすきますね
その日の夜。
魔王城。
ぐぅぅぅ……
炎の四天王、ガルドは飛び起きた。
「腹減った……。」
昼間に見た、あの肉まん。
頭から離れない。
「寝よう。」
目を閉じる。
「肉まん……。」
目を開ける。
「ダメだ。」
ガチャ。
部屋を出る。
すると。
「……。」
毒の四天王、ヴェノが立っていた。
「お前もか。」
「寝れない。」
「腹減った。」
「実は僕も。」
二人が小さくため息をつく。
すると。
ガチャ。
竜王ドラグが部屋から出てきた。
「みんな。」
「寝れない?」
ガルドが驚く。
「お前もか!」
「うん。」
「肉まん。」
「夢に出てきた。」
「そこまで!?」
さらに。
ガチャ。
死霊の四天王レイスも出てきた。
「……。」
「眠れない。」
「羊数えた?」
ガルドが聞く。
「数えた。」
「どうだった?」
「千五百匹で飽きた。」
「多いな。」
レイスは真顔だった。
「羊。」
「途中から数えるの面倒だから。」
「途中で牛も混ぜた。」
「混ぜるな。」
ヴェノが腕を組む。
「原因は一つ。」
「肉まん。」
全員頷く。
「「「そう。」」」
ドラグが窓を見る。
「あ。」
みんなつられて見る。
遠くに光るコンビニ。
ドラグが嬉しそうに言う。
「まだ開いてる。」
ガルドが目を輝かせた。
「本当に二十四時間営業なんだ。」
レイス。
「すごい。」
ヴェノ。
「じゃあ行こう。」
ガルド。
「待て。」
三人。
「?」
ガルドは真剣だった。
「夜中に勝手に城を出たら怒られる。」
「……。」
「……。」
「……。」
三人とも頷く。
「確かに。」
数秒後。
ドラグが手を挙げた。
「じゃあ。」
「魔王様起こす?」
「却下。」
ヴェノ。
「内緒で行けばバレない。」
ガルド。
「どうやって?」
ヴェノ。
「変装。」
レイス。
「いい。」
「魔物ってバレない。」
ガルド。
「何に変装する。」
レイス。
「木。」
「木?」
「動かなければ。」
「木。」
「却下。」
ドラグ。
「じゃあ。」
「羊。」
「却下。」
ヴェノ。
「透明になる薬。」
「あるのか?」
「ない。」
「ないのか。」
レイスが真顔で提案した。
「魔王様を。」
「担いで行く。」
「なんでだ。」
「起きたら怒られる。」
「最初から連れて行けば怒られない。」
ガルドは頭を抱えた。
「お前……。」
「天才なのか。」
「バカなのか。」
レイスは真顔だった。
「たぶん。」
「後者。」
「自覚あるのか。」
ドラグが突然立ち上がる。
「よし!」
「お腹空いたから行こう!」
ガルド。
「作戦は?」
「行けば何とかなる!」
ヴェノ。
「それ毎回失敗してる。」
「今回は大丈夫!」
「根拠は?」
「お腹空いた!」
ガルドは空を見上げた。
「……。」
「なんで俺が一番まともなんだ。」
その時だった。
ぐぅぅぅ……
四人のお腹が同時に鳴った。
「「「「……。」」」」
ガルドが静かに言う。
「……行こう。」
「「「「うん。」」」」
誰一人まともな作戦を立てることなく、
魔王軍最強の四天王は、
「お腹が空いた」
ただそれだけの理由で魔王様の部屋に行くのだった。




