第26話 走り回る走馬灯
凛は澤崎を師匠と慕って日々努力してきた。
凛にとって澤崎は自分の生き方の指標であった。
凛にとって澤崎は自分の目標であった。
澤崎のみ、凛の出生を理解してくれる兄であった。
凛の生まれは不幸そのものであった。
凛は男として生まれたが、それは望まれた形ではなかった。
亡き姉の身代わりとして。
亡き姉の人身御供として。
凛は強制的に『女』にされた。
それは生まれてしばらくして『処分』された。
男として生まれたのに、それが無いために不完全であった。
それを精神的に支えたのが澤崎であった。
凛の出生は忌み嫌われるモノであった。
凛は亡き姉から生まれた。
亡き姉に凛を孕んだのは、この世のモノではなかった。
凛は人間と異形のモノとのハイブリッドとしてこの世に生まれた。
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澤崎の家系は『防人』の家系であった。
先祖代々、護る一族。
その才能は通常の人を超え、その異能は超越し、
やがてはこの世のモノでない異形にも対抗成し得た。
時の権力や宗教からの加護もあり、
澤崎家はその能力の維持が切磋琢磨されていった。
『封印されし邪剣』はその過程で入手したと考えられる。
それは『敵の能力を有効活用』する武器だ。
澤崎家が切磋琢磨していく過程の中で、凛の家とも繋がるようになる。
凛の家に生まれし女子が巫女ととして世を護っていく。
澤崎と凛の出会いは運命的であった。
凛はその出生の理由から、なおさら澤崎を兄として慕っていた。
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その澤崎が異形のモノとして君臨している。
皮肉な事に異形のモノと化したギャルJDと融合合体している。
それは澤崎を愛するギャルJDの願いが叶うものとなっている。
愛すべき対象とひとつになったギャルJDは本望であった。
一方が黒き邪竜として具現化した澤崎の様相。
一方が怨念を形に変えたギャルJDの蛇女。
双方が絡み合って、一つの身体を構成している。
言わば『凶悪な双頭の要塞獣』と化していた。
「え? 兄貴? なんで?」
チャラ男の腰が引ける。
「澤崎さん? どうして?」
イケイケ状態の水崎泉が膠着する。
何が起きてどうなっているのか、凛は把握した。
まずはあの二つを分けないと。
『敵』の強力な攻撃もさることながら、
早く澤崎を分離して浄化しないと。
凛は焦っていた。
チャラ男も、水崎泉も焦っていた。
双頭の要塞獣の足元で鬼公子が笑みを浮かべる。
「さあみなさん。どうします?」
「あんたは邪魔なのよ!」
片方のギャルJD蛇女が水崎泉に向かって火炎を吐く。
「!」
水崎泉が何とか無効化するも、全ては排除しきれず一部火傷を負う。
「この、化け物め!」
チャラ男が二丁の怨念銃をギャルJD蛇女に向けて連射する。
だが当然、勝てるわけもない。
「そんなんじゃ効かないわ。大砲か何か、持ってきなさいよ!」
まずい。
勝てない。
という事は澤崎を救えない。
自分たちもやられてしまう。
凛は決心した。




