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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
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第26話 走り回る走馬灯

凛は澤崎を師匠と慕って日々努力してきた。

凛にとって澤崎は自分の生き方の指標であった。

凛にとって澤崎は自分の目標であった。

澤崎のみ、凛の出生を理解してくれる兄であった。


凛の生まれは不幸そのものであった。

凛は男として生まれたが、それは望まれた形ではなかった。

亡き姉の身代わりとして。

亡き姉の人身御供として。


凛は強制的に『女』にされた。

それは生まれてしばらくして『処分』された。

男として生まれたのに、それが無いために不完全であった。

それを精神的に支えたのが澤崎であった。


凛の出生は忌み嫌われるモノであった。

凛は亡き姉から生まれた。

亡き姉に凛を孕んだのは、この世のモノではなかった。

凛は人間と異形のモノとのハイブリッドとしてこの世に生まれた。


* * * * * * * *


澤崎の家系は『防人』の家系であった。

先祖代々、護る一族。

その才能は通常の人を超え、その異能は超越し、

やがてはこの世のモノでない異形にも対抗成し得た。


時の権力や宗教からの加護もあり、

澤崎家はその能力の維持が切磋琢磨されていった。

『封印されし邪剣』はその過程で入手したと考えられる。

それは『敵の能力を有効活用』する武器だ。


澤崎家が切磋琢磨していく過程の中で、凛の家とも繋がるようになる。

凛の家に生まれし女子が巫女ととして世を護っていく。

澤崎と凛の出会いは運命的であった。

凛はその出生の理由から、なおさら澤崎を兄として慕っていた。


* * * * * * * *


その澤崎が異形のモノとして君臨している。

皮肉な事に異形のモノと化したギャルJDと融合合体している。

それは澤崎を愛するギャルJDの願いが叶うものとなっている。

愛すべき対象とひとつになったギャルJDは本望であった。


一方が黒き邪竜として具現化した澤崎の様相。

一方が怨念を形に変えたギャルJDの蛇女。

双方が絡み合って、一つの身体を構成している。

言わば『凶悪な双頭の要塞獣』と化していた。


「え? 兄貴? なんで?」

チャラ男の腰が引ける。

「澤崎さん? どうして?」

イケイケ状態の水崎泉が膠着する。


何が起きてどうなっているのか、凛は把握した。

まずはあの二つを分けないと。

『敵』の強力な攻撃もさることながら、

早く澤崎を分離して浄化しないと。


凛は焦っていた。

チャラ男も、水崎泉も焦っていた。

双頭の要塞獣の足元で鬼公子が笑みを浮かべる。

「さあみなさん。どうします?」


「あんたは邪魔なのよ!」

片方のギャルJD蛇女が水崎泉に向かって火炎を吐く。

「!」

水崎泉が何とか無効化するも、全ては排除しきれず一部火傷を負う。


「この、化け物め!」

チャラ男が二丁の怨念銃をギャルJD蛇女に向けて連射する。

だが当然、勝てるわけもない。

「そんなんじゃ効かないわ。大砲か何か、持ってきなさいよ!」


まずい。

勝てない。

という事は澤崎を救えない。

自分たちもやられてしまう。


凛は決心した。


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