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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
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第27話 覚醒する凛

凛は決心した。

凛の目的、それは澤崎の救出。

作戦が成功しようが失敗しようが関係ない。

霊園が敵の手に落ちたままでもそれは関係ない。


凛は澤崎の救出のみを優先した。

ではどうする?

通常の攻撃で勝てるのか?

凛自身の能力のみで勝てるのか?


それを試す時間はない。

試したところで負ければ全滅だ。

この時点での最善策。

凛はそれを知っていた。


凛は認めざるを得なかった。

今、凛は手にした邪剣に視線を送る。

澤崎から凛に託された邪剣。

澤崎家に伝わる封印されし邪剣。


それは諸刃の剣と呼べるモノであろう。

凛に果たしてそれを制御できるかどうかはわからない。

攻撃展開中に、凛が邪険に飲み込まれてしまうかもしれない。

だが躊躇している余裕はない。


凛は自身があった。

凛に邪悪なるモノの力を制御できる自身があった。

なぜなら、今まで生きてきて、何も異変は起きていなかった。

なぜなら、凛は人と怪異のハイブリッドであったからだ。


「風よ! 光よ!」

凛は手にした『封印さえし古き邪剣』を正面に掲げる。

「ここに命ずる。我に従えと!」

その命と共に封印されていた鎖が弾ける。


「あああ。今度の使い手はそなたなのか。」

邪剣が喋る。

「そうだ! 我と共に、眼前の敵を殲滅せよ!」

凛が鞘から邪剣を抜刀し構える。


それと同時に散切りショートボブの髪が風に吹かれて流れる。

顔を覆っていた包帯が風になびかれ飛んでいく。

凛の顔が全面開示されていく。

それは。


「そなた、身体に呪文を彫っているのか? 面妖な。」

邪剣を握る手の包帯も風になびかれ解けていく。

その手にも呪文が彫られている。

「それで我に飲み込まれるのを防ぐつもりか? 面白い。」


見た目は散切りショートボブの女性。

全身に彫られた呪文。

すらっとした身体。だが鍛えられた筋肉。

凛の姿は、まさに勇者と言えよう。


「邪剣よ! 我に力を貸せ! そして目の前の敵を真っ二つに切り裂くが良い。」

邪剣を一振り渦巻きの風を巻き起こす凛。

「滅破粉砕! 衝撃降臨!」

凛と邪剣の意識が一つとなり暗い霊園に強い光で輝き出す。


暗黒の夜空の雲が渦を巻き出す。

その真下、邪剣と凛の身体が強く光出す。

凛の散切りショートボブの髪の毛が銀髪へと変化する。

凛の身体全身が銀光の発色となる。


驚く水崎泉とチャラ男。

驚く澤崎とギャルJDの合体要塞獣。

そして喜び興奮する鬼公子。

「おおっ! すごいすごいぞ!」


銀光の輝きを放つ凛が邪剣を構える。

「行くぞ、邪剣よ! 我とともに!」

強く発光する邪剣がそれに答える。

「良かろう。行うが良い。」


荒れ狂う双頭の合体要塞獣。

「何よ何よ何よ! 私と澤崎さんの愛を邪魔しないで!」

蛇女と化したギャルJDが怒り狂い、その口から強力な火炎を放つ。

暗闇の中、その炎は一直線に凛へと向かう。


「ムダだ!」

凛の一振りの邪剣がギャルJDが放った火炎を四散させる。

凛の身体が変化していく。

右半分が銀光の発光、そして左側が黒光りする身体へと変色する。


黒竜と化し、ギャルJDと合体したもう片方の澤崎。

唸り声を上げて、口から火炎と長き尻尾をハイパー化した凛へとお見舞いする。

白と黒の姿となった凛と邪剣は、その双方を見事に交わす。

「先生! 今お救いします!」


凛の身体がまた変化していく。

左側の黒光りする黒色が凛の身体全体を覆っていく。

同時に手に持つ邪剣もドス黒き輝きを放ち出す。

凛と邪剣がまるでブラックホールの如く、強く黒光りする。


同時に霊園の至る所から残留思念を渦巻きのように吸い上げていく。

強力な『邪念』を発動する凛と邪剣。

それを見て、黒き邪竜と化した澤崎がおののく。

凛と邪剣の発動を恐れ、同時に喜んでいるかのように。


その光景を見て、鬼公子興奮のるつぼと化す。

目を爛々と輝かせ、狂気する。

「すごい! すごい! すごい! この怨念は僕なんかよりも強い。

欲しい! その怨念の力こそが何よりも僕に必要だ。」


「一挙終末波動!」

凛はそう叫んだ。

凛はそう叫んだように聞こえた。

だがその声は迎え打つ黒き邪竜・澤崎の咆哮でかき消された。


閃光が走る。天空より電撃雷鳴が降臨する。

その力を受けて蓄えた邪剣を構える凛がジャンプする。

一刀両断、振り下ろされた凛の邪剣が、

双頭の合体要塞獣を真っ二つに切り裂く。


「おおお!」

感動のあまり興奮する鬼公子。

真っ二つに分離した澤崎とギャルJDは元の姿に戻り、

それぞれ左右に分かれ地に落ちる。


「兄貴!」

「澤崎さん!」

それまで呆然と行方を見ていた水崎泉とチャラ男。

二人はあわてて地面に伏せた澤崎の元へと走る。


解放された澤崎の衣服はもうなかった。

だが、澤崎は無事であった。

水崎泉とチャラ男は澤崎を抱き抱え、

安全のため距離を取る。


目を覚ましたギャルJD。

「あ! ああ! 私の、私の澤崎さんが!」

衣服もなく全裸のギャルJDは涙して訴えた。

「許さない! あの女! 許さないからね! 私の澤崎さんを返して!」


邪剣と合体し、強烈な技を披露した凛。

だがまだその発動は収まっていなかった。

黒い姿となった凛は、その発動を抑えることができていない。

凛は邪剣に飲み込まれて暴走していた。


凛が自身の限界点に達し、暴走が解けてその場に伏せていく。

「凛クン!」

「凛!」

水崎泉やチャラ男の声は届かなかった。


地面に伏せて意識を失った凛の元へ歩み寄る鬼公子。

「これ、僕が貰っていくね。いいよね?」

そう言って、身体中から触手を伸ばした鬼公子。

発動が解け全裸になった凛を、大切そうに取り込んでいく。


「り、凛。」

自我の意識を取り戻した全裸の澤崎。

その目に、鬼公子に攫われていく凛の姿が飛び込んでくる。

だが、今の澤崎には何もすることができなかった。


第2部 完


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