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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
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第16話 チャラ男の帰還

チャラ男が息も絶え絶え、寮の入り口に雪崩れ込む。

チャラ男以外のイケメンホストたちも一緒だ。

霊園でのバトルから、澤崎の指示の元、全員寮に戻ってきた。

澤崎がいない。


水崎泉がそれに気がついた。

だが、澤崎のことを心配する人物は他にもいた。

凛である。

「先生は? 先生はどこに?」


凛の表情が悲痛であった。

おそらく水崎泉同様、良からぬ予感がしたのだろう?

その気持ちは水崎泉も同じであった。

二人の嫌な予感は見事に的中した。


凛が震えている。

彼?に出会ったのはつい最近だ。

本当についさっきと言ってもおかしくない。

なのに、凛のことが心配に思える程に震えている。


散切りショートボブの髪型。

解けた包帯の隙間から見える凛の表情。

こんな状況であるのに、この人は本当に男の子なのか?

不謹慎であるが水崎泉はそう思ってしまった。


ボロボロになったチャラ男が、手に握る封印された邪剣を凛に差し出す。

囚われた澤崎から託された邪剣は、再びがっしりと鎖で封印されていた。

「これを、兄貴が、澤崎さんが、これを凛に渡せと、そして。」

そう言ってチャラ男はその場に倒れる。


「とにかく、みんなの手当てを!」

思わず水崎泉がそう叫んでいた。

この寮の組織構成など知る由もない。

だが今は本能がそう叫んでいた。


「大丈夫ですか?」

水崎泉が肩を貸し、チャラ男の身を起こす。

「すまない、渡り姫。君はゲストなのに。」

「今はそんなこと言っている場合じゃないわ!」


別にチャラ男に対して特別の感情はない。

チャラ男はチャラ男。

同じ寮に住むホストだ。

だが今の水崎泉は、目の前の惨状を見てなんとかしたいと思った。


凛は、肩で息をするほど呆然としていた。

水崎泉や寮のスタッフが大広間や医務室で必死にケガ人の対応にあたる。

水崎泉もわからないなりに必死に対応している。

だが凛は一人、澤崎から託された『封印されし邪剣』を手にして呆然としている。


水崎泉の視線の隅にその光景が目に入る。

わかる!

あなたの今の気持ちは私もわかる。

でも!


水崎泉は視線を変えて、目の前のケガ人の手当てを続ける。

あの二人の間になにがあるのか、わからない。

凛の気持ちもなんとなくだけどわかる。

だが水崎泉は凛の態度への不満がたまっていった。


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