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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
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第13話 発動する封印されし邪剣

鬼公子の警告と中傷を聞き流し、澤崎は意を決する。

「風よ! 光よ! 我に従えよ、邪悪の禁忌封印殺戮剣! 解放!」

次の瞬間、封印されていた鎖が外れ、邪剣の刀身が姿を表す。

「うぬぬぬぬっ!」


それは澤崎が発した声ではなかった。

それは邪剣が発した雄叫びであった。

それは炎であり、光であり、付近の空気さえも溶解させる。

「誰なの? 私を起こすものは?」


それは邪剣が問うた声であった。

「邪剣よ、我に従うが良い!」

澤崎の命令に邪剣が脅す。

「いいの? 本当に。」


澤崎は邪剣の意思を無視するかのように刀身を振り下ろす。

「構わん! 我に力を貸せ!」

澤崎の意を感じた邪剣、高笑いで応対する。

「良かろう。大した自信よね。でも、いずれ其方を我が飲み込んでやるわ。」


「笑止! いくぞ!」

澤崎は邪剣を振り上げる。

付近を回遊し攻撃の機会を狙っていた青白い亡霊群を、一瞬で虚無の世界へと帰結させる。

「次は、お前だ!」


澤崎は邪剣を一振りし、鬼公子を見据えて構え直す。

鬼公子は感じた。

とてつもない恐怖を。

それは澤崎に対してではない。


何だ? 強い?

この怨念の力は僕よりも強い?

自分よりも強い怨念の力を持つ澤崎の邪剣。

子供である鬼公子はさすがに恐怖した。


「滅破行使! 邪念粉砕! 正義は我にあり!」

澤崎の持つ邪剣は、澤崎自身を取り巻く、

いや、

この場に存在する怨念全てを力として吸い尽くそうとしていた。


鬼公子は恐怖した。

邪剣の怨念の元の持ち主は何者なんだ?

一体どんな歴史があったのか?

どれほどの長年に渡る怨念なんだ?


この場の全ての負の力をかき集めた澤崎の邪剣。

澤崎はそれに押し流されそうになるも必死で耐える。

そして鬼公子目掛けて振り上げる。

「闇に帰りし邪のモノどもよ!」


振り下ろした澤崎の邪剣は輝き、怨念たちの絶叫と共に風圧の津波を起こす。

鬼公子のあげた悲鳴はその波に吹き飛ばされて聞こえない。

「ぐっ!」

小学生3~4年男児の風貌の鬼公子は耐えられず、飛ばされ複数の墓石を薙ぎ倒していく。


「時は来た! 喰らえ邪のモノよ!」

澤崎は歩を進め、諸悪の根源である鬼公子にトドメを打つため、

邪剣を構え直す。

鬼公子のピンチである。


その時!

「危ない!」

凶悪蛇女と化したギャルJDが澤崎に襲いかかる。

「いやーっ!」


澤崎の邪剣の刀身を自身の手でがっしりと掴むギャルJD。

だが、彼女の主である鬼公子ですら耐えられなかった。

眷属如きのギャルJDには、澤崎の邪剣に対抗できるはずもなかった。

苦悶の表情を上げるギャルJD。


だが。

「澤崎さんは私のモノ、澤崎さんは私のモノ!」

ギャルJDの苦悶の表情が、徐々に苦痛を乗り越えた物に変わりだす。

「あんな女なんかに負けない! 私がどれだけ澤崎さんに貢いだことか!」


世の中は理不尽だ。

不愉快なことがいっぱいある。

世の中は不思議だ。

理屈では通らないことがある。


「澤崎さんは、私のモノよ!」

澤崎のことを思うギャルJDの怨念は、周りの怨念を吸収しはじめる。

徐々に『弱っていく』澤崎と邪剣。

そして。


「あなたは私とひとつになるのよ!」

ギャルJDの願いは叶った。

邪剣を澤崎の手から跳ね除け、澤崎に抱きつくギャルJD。

その両腕はがっしりと澤崎の身体を掴んで離さない。


「ぐっ!」

邪剣を落とした澤崎は、ひとつになっていくギャルJDに抵抗する。

だが。

「私は、本当にあなたのことが大好きなの!」


愛の力には敵わなかった。

ギャルJD本人の愛の力。

周りの怨念の力をも借りて、

ギャルJDは今、最愛の澤崎と合体した。


薄れていく澤崎の意識。

彼はチャラ男に告げる。

「それを、その邪剣を持って逃げろ!

そして、その剣を凛に渡せ!」


澤崎の手を離れたことにより、再び鎖がつながり封印されている邪剣。

それを手に取るチャラ男。

「兄貴! 澤崎さん!」

一歩二歩、後退りする。


お互いの身体が全裸状態になったように見えるギャルJDと澤崎。

恍惚の幸せの表情を浮かべるギャルJD。

対極的に澤崎が苦悶の表情でチャラ男に告げる。

「その剣は、俺以外だと、凛にしか扱えない。ぐっ! うっ!」


驚愕するチャラ男の目の前で、全裸の二人が絡み合っていく。

しかし、今は澤崎の命に従うしかない。

「兄貴! 澤崎さん! わかりました! しばらく待っていてください。」

チャラ男と他のメンバーは霊園のトバリを乗り越えて、脱出していく。


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