第11話 夜の霊園
澤崎はチャラ男の連絡に少し焦っていた。
「鬼公子とあの時の女子大生だって?」
ビンゴ!
確かにビンゴであった。
澤崎はチャラ男の連絡に少し焦っていた。
澤崎は輝エリミネーターズ担当で、連絡があった時ちょうどお店にいた。
澤崎は開店準備を放棄して事務所のドアを開ける。
一路、部屋の奥にある封印された金庫に向かう。
詠唱し、封印された金庫の鍵を解き、扉を開く。
「敵種の鬼公子が霊園を中間ゾーン領地にすると言うことは、まずい。
必ず阻止しなければ。そこが砦となり、要塞化してしまうかもしれない。」
息を呑み、金庫中央にある『古びた刀』を手に取る。
「さすがにこの刀を使うしかないか。」
金庫から取り出した『古びた刀』。
鎖で厳重に封印されている。
澤崎が手に取った刀が、まるで意思を持ったように微動する。
* * * * * * * *
陽が沈み暗くなった霊園を歩く鬼公子とギャルJD。
「僕、墓地とか霊園とか来たかったけど、行き方がわからなかったんだ。」
「私が君を案内してあげたんだから感謝しなさい。」
「めんどくさい眷属ですね、あなた。」
暗黒に包まれる霊園にはもう誰もいない。
「でも何でこんな時間にお墓に来るの? お化けでたら怖いじゃない。」
「いや、出てくれないと困る。」
「あ、そうね。確かに。」
暗闇の夜空にカラスの鳴き声が響く。
「でもゾンビとかだったら嫌じゃない? 腐ってて汚いし臭うだろうし。」
「いや、ここの霊園は火葬でしょ? ゾンビは無理です。」
「あ、そうね。じゃどうすんのよ?」
完全に暗闇に包まれた霊園の真ん中に着く二人。
「墓地には怨念がおんねん。」
「え? なんて?」
「いや、だから怨念を集めて実体化させるんだ。」
「実体化って、どんな?」
「恨み辛みの残留思念の怨念の集合体を実体化させるんだ。
そいつらを複数作って僕の眷属にする。
そして、ここを僕の復讐の領地へと砦へと変えるんだ。」
「いいわね。その壮大な企画。私ももちろん手伝うわ。
そして、あの女を排除して、澤崎さんを私一人だけの物にするのよ!」
暗闇の中、メラメラと燃え上がるギャルJDの怨念。
「いや、なんかすごいね、僕の眷属。気に入ったよ。」
暗闇の中、わずかに燃え上がるギャルJDの怨念の光を察し、
気づかれないように状況を見るチャラ男。
「なんか盛り上がってるな、あの二人。意外と仲良いんじゃね?」
そう呟きながら、自身の装備を確認し、援軍の連絡を待つ。
霊園の中心部、鬼公子が詠唱し出す。
「ベントラ ベントラ スペース ピーポー。」
「それってUFO宇宙人じゃ?」
「あ、ごめん、間違えた。」
霊園の中心部、鬼公子が気を取り直して詠唱し出す。
「エコエコアザラク、エコエコザメラク。」
「古っ! それ他者版権じゃないの?」
「あ、ごめん。」
霊園の中心部、鬼公子が気を取り直して再度詠唱し出す。
「エロイムエッサイム、我は求め訴えたり。」
「それ古すぎてもう誰もわからん。」
「そうなん? ごめんて。」
その状況を隠れ見るチャラ男。
「何やってんだ? あいつら。バカじゃねえの?」
新型装備を装着完了し、援軍の連絡を待つチャラ男。
手にしたスマホを取り出して確認する。
スマホに援軍報告の着信音が響く。
「あ? え? ウソ? サイレントモードじゃなかった? それに光っちゃってるし!」
その音で誰か侵入者に気づく鬼公子とギャルJD。
「誰だ? 誰がいる?」
次の瞬間、鬼公子によって召喚された怨念の集合体が具現化する。
それは青白い亡霊が集積化された異形の物体となる。
「ちょっと私が出張って相手してやるわ!」
恨みの力がこもるギャルJDとそれが合体し、凶悪化した様相に変化する。
「これが私の無敵のサイコアーマーよ!」
「それたぶん他社版権だって。」
「あ、ごめんね。」
ギャルJDは青白い亡霊群と一体化し蛇女へと変化する。
「いいね、僕の眷属。本当に気に入ったよ。その心構え、僕の革命に重要だ。」
そう言って、鬼公子は髪の毛をまるでメドゥサの蛇のようにザワザワさせる。
鬼公子とギャルJDが変化した蛇女の他に青白い亡霊が無数に当たりを遊泳している。
新型装甲と武器を手にしたチャラ男、最大のピンチである。




