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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
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第8話 会話できないもどかしさ2

澤崎が食堂を出ていく。

呆然と見つめる水崎泉。

しかし澤崎は特に水崎泉を気にはしていなかった。

水崎泉は必死に視線を送っていたのに。


他方、凛。

水崎泉が視線を送る。

すると凛の方もまだ席に残り、考え込んでいる風。

悲しげな表情を浮かべる凛の雰囲気がとても女性っぽい。


二人の会話の意味は何だったのか?

前後関係を知らない水崎泉は、当然わからない。

かわいそう?

ざまを見ろ?


複雑な思考が水崎泉の頭の中でうごめく。

凛が邪魔なのか?

凛と仲良くすべきか?

水崎泉は混乱していた。


その混乱から彼女を現実に引き戻す声があった。

「渡り姫さん。」

チャラ男である。

ハッと我に帰る水崎泉。


「今日は一日、この寮にいて欲しいな。ってもう夕方だけど。」

え? 何?

私には自由がないってこと?

それって軟禁?


でもまあ、魑魅魍魎に狙われてるのは事実だし。

一人でいると狙われる可能性もある。

ましてや、夜だけでなく、昼間だって『中間ゾーン』に

入り込んだら、自分の身が危険だ。


水崎泉が澤崎と凛のことを気にしていたのは、チャラ男もわかっていたようだ。

彼女本人は夢中で気が付かなかったが、隣に座るチャラ男にはさすがにわかる。

「凛もさ、今日は寮でお留守番だから、気になるなら声かけてみたら?」

水崎泉の悩みを悟ったかのようにしれっとその話題を出す。


「まあ、無理しなくても、いずれ話す機会はあると思うよ。

同じ場所に住んでいるんだし。」

チャラ男が気をつかっているのだろう。

だけど、同じ場所に住んでいるのは澤崎も同じだ。


チャラ男が気を使ってくれているのは水崎泉もわかっていた。

だが、当然納得はいかない。

「チャラ男さんは今日どうするの?」

少し怒りっぽい表情で問う水崎泉。


チャラ男はその表情もちょっとかわいいなとも思ったりした。

「俺は今日、捜索組なんだけど、どうして俺の班は俺一人だけなんだろ?」

その言葉に水崎泉が食いつく。

「じゃあ、私もチャラ男さんと同行しようかな?」


その言葉に、チャラ男は満更でもなかった。

一応水崎泉は女子大生、まだ未成年である。

「いやー、残念だけど、無理かなー? 澤崎さんに怒られる。」

水崎泉も決して本心で言ったわけではなかった。


「いいなあ、ずるいなあ。でも、まあ、仕方ないか。」

水崎泉は現実的な判断をした。

行ったところで、邪悪な魑魅魍魎に襲われるかもしれないし。

今はここに残るのが最善であった。


「じゃあ、俺は自分の担当の捜索エリアに行くから。凛と仲良くできたらいいね。」

そう言ってチャラ男は食堂を去っていった。

今、食堂に残るのは、水崎泉と凛の二人のみ。

どうする? どうしよう?


そう思って、しばし考えたあと、水崎泉は決心する。

凛と話しよう。

凛に話しかけよう。

そう思って動いた瞬間、皮肉なことが起きた。


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