第3話 出会う二人
水崎泉はどんどん闇の奥へと走っていく。
だめだ! そっちは、ゲートが近い。
とくかく今は彼女を助けよう。
イケメンホスト姿の澤崎は水崎泉を追いかけた。
走る。
走る。
息を切らしてとにかく逃げる。
でも水崎泉は走るの得意ではなかった。
体育の授業だっていつもさぼってた。
徒競走だっていつも手抜いてた。
だから体力に自信はない。
勉強にだって自信はない。
身体動かすことなんか得意じゃない。
痛い。
痛いじゃない!
必死に走る水崎泉の足に何かがぶつかる。
何よ、この道路、ちゃんと整備してよ!
走りにくいじゃない!
そう思って自分の走る足元も見て超愕然。
気が遠くなるほど驚きを覚えて足が震えてまじジャンプ。
手だ。手がいっぱい。
地面?から、ぼこぼこと、わらわらと手が湧き出ている。
それは手でできた、だだっ広い『草原』。
草だけだったらよかったのに、そこは『手』がいっぱい地面から湧き出ている大草原。
ぎゃー!
水崎泉は思わず大声を出した。
心の底から、お腹の底から叫び声を上げた。
大声を出して叫ぶのは気持ちいけど、今はとっても気持ち悪い。
ぎゃー!
地面から湧き出た手の大草原が水崎泉の足を掴み出す。
痛い! 邪魔!
取れない! 動けない!
水崎泉は大ピンチ。
地面から湧き出た手の大草原が彼女の足をガッツリ掴んで大ピンチ。
彼女のキレイなか細い白い肌に嫉妬するかの如く、草のように伸びてくる指の群れ。
それはそれは、長い長すぎる指の手がいっぱい絡んでくる。
「止めて!」
水崎泉がそう叫ぶ。
すると絡みついた草のような長い指の手が、発火する。
悲鳴をあげて、黒い煙となって消えていく。
幸運の束の間、あたりの地面から一斉に白く長い指が伸びてくる。
「ちょっと! もう止めてってば!」
水崎泉の言葉で黒い煙へと消失するものもあるが、
その大量に出現する数には間に合わなかった。
前後左右三百六十度全体から湧き出てくる長い白い指。
水崎泉の言葉よりも早く長く伸びてきて絡みつく。
白い長い指々が水崎泉の口を塞いでいく。
彼女の前に広がる、死人のような長い指の手の群れの大草原。
そんなピンチの水崎泉に走って追いついた澤崎。
彼がおもむろに何かを投げつける。
シュワッ! ビチャ! ジュワッ!
なんかそんな感じがした。
風が吹いた。
足元に一瞬吹く風。
液体が蒸発して起きる、風の流れのような。
澤崎が何かを水崎泉の足元に投げつけた。
え? 何?
水? 液体?
なんか変な白い液体。
私の身体にもその液体かかってるんですけど!
いやだなと思って見たら、自分の足に絡みついている
長い指の白い手の群れが悲鳴を上げ黒い煙とともに消えていく。
水崎泉は自由になった。
「え? なにこれ?」
水崎泉は驚いて動きが止まる。
思わず腰が抜けているのが自分でもわかる。
走り寄ってくる澤崎が水崎泉に声をかける。
「大丈夫ですか?」




