第2話 深夜の遭遇
え? やだ、何これ?
中間ゾーンの張り詰める黒い霧の中、魑魅魍魎たちが迫ってくる。
魑魅魍魎たちが女の子=女子大生の水崎泉の腕を鋭い爪でぐいっと掴む。
だが。
「止めて!」
そう叫んだ瞬間、水崎泉の腕を掴んだ魑魅魍魎は黒い煙をあげて消えていく。
「え? なにこれ? ちょっとどう言うこと?」
水崎泉は目の前で起きたことに驚いていた。
そこ光景を見た黒スーツで身を固めた男=澤崎。
今自分の目で見たことに驚きを覚える。
ここは魑魅魍魎が跋扈する彼岸と現世の中間ゾーン。
なぜ彼女は中間ゾーンに入って来れた?
それに今の力は何だ?
女の子の身体に触れようとした魑魅魍魎を無効化した。
澤崎はすぐに悟った。
彼女=水崎泉は何かの力を持っていると。
「おい、そこの君!」
ちょっと距離がある関係で、澤崎は力強く声をかける。
その声量でビクッと驚く水崎泉。
でもそのおかげで、周りの他の魑魅魍魎の注目を集めてしまう。
水崎泉は驚いた。
え? ちょっと待って。ちょっとヤバいて、これ。
周りは魑魅魍魎。これは百鬼夜行。
なのに別方向の先から自分に呼びかける声がする。
見るともうもうと立ち込める霧の中を近づいてくるひとつの人影。
え? 誰?
なんか男の人。
ロン毛で長身細身の男の人。
まあ体格のシルエットは悪くない。
だけどこんな状況でスーツ姿?
気のせいかなんかどこかで見たことあるような見た目。
そうだ! あれよ! ホストよ、ホスト。
てかなんでこんな状況でホストがいるの?
それによくよく見れば、結構イケメンのお兄さん。
首筋や服の袖部分から、それはそれは見事なイラストが見え隠れ。
彫り物、って言ったと思う。
たぶんおそらく確実に闇世界の男。
捕まったら絶対、借金返済売春強要自分は夜の街にお立ち台。
と言うよりも、自分がいる場所すでに闇世界のよう。
まずいわ、絶対これ!
前門の虎VS後門の狼ならぬ、前門の魑魅魍魎VS後門のイケメンホスト。
自分って例え上手いなと思ったけど、今はそんな余裕はない。
魑魅魍魎物の怪に捕まったら、あんな事やこんな事されちゃう。
イケメンホストに捕まったら、あんな事やこんな事されちゃう。
どうしよう? どうする?
逃げたほうがいい? 逃げたほうがいいわ。
水崎泉の意思は決まった。
とにかく両方から逃げる全力ダッシュ!
え? ちょっと待ってよ。
俺は悪者じゃないぜ。
どちらかと言うと、君を助ける正義の味方だ。
なのにどうして逃げるんだ?




