第2話 遭遇
満月の夜は嫌いだ。
明るい。
明るすぎる。
夜は漆黒の闇であるべきだ。
新月の夜。
感じる。
特に力が湧き出てくるのを感じる。
僕は新月の夜が好きだ。
時は来た。
かなり改善した。
男の子は気がついていた。
数多くの『眷属』の女たちから活力を吸い取ってきたことを。
わずかだが魔力が復活していた男の子。
彼は夜の街に出て探す。
復讐のために必要な物。
再びゲートを開いて、自分を倒した敵に復讐するため。
男の子は夜の闇を駆け抜ける。
必要なモノ。
必要な力。
やがて夜の闇に、行方不明の事件が街に埋め尽くす。
新月の夜。
月明かりがない夜。
男の子は気がついた。
自身の魔力が激増することを。
今日も狩る。
今夜も探す。
自身の魔力を高めるため。
復讐のために必要な生贄を。
* * * * * * * *
「感じます。」
「俺もだ。」
夜の闇。
自分たちの存在を闇に隠すように歩む二人の影。
背の小さな人影が口を開く。
「こちらの方です。」
その言葉に一歩後ろに下がった大柄の人物が答える。
「よくわかるようになったな、凛。」
その言葉に、小さな人影=凛が顔を赤らめて答える。
「いえ、先生のおかげです。」
凛の言葉に特に表情を変えない先生と呼ばれる大柄の人物。
澤崎である。
凛のきれいな長い髪。
見た目は女の子のように見える。
隣に立つ澤崎。
彼もまだ、大人になったばかりの若さで溢れている。
風が吹く。
どこからか鈴の鳴る音がする。
あたりの空気がザワザワする。
前兆である。
凛、背中に背負っていた長刀を取り出す。
「来ていますね。」
その言葉に澤崎、引き締めた表情で答える。
「いや違う。我々が結界に取り込まれたんだ。」
小さな子どもの声。
飢えた野獣の咆哮。
誰とはわからない複数の笑い声。
凛と澤崎は邪悪な結界に取り込まれていた。
「いたぞ。」
澤崎が自身の前に立つ凛に伝える。
「え? 先生、本当に子どもなんですね。」
自分が見た物をやはり信じられない凛は手に持つ剣先を思わず緩める。
「何で僕の邪魔をするの?」
漆黒の闇の中、うっすらと男の子の姿が浮かんで来る。
年齢は小学校3~4年ぐらい。
とても悲しそうな顔を浮かべている。
悲しそうな男の子の表情を見て、怯む凛。
「先生!」
視線を男の子から逸らす事なく澤崎は凛に告げる。
「騙されるな。あいつが鬼公子だ。」
「僕は悪いことしてないよ。僕の邪魔をしないで欲しいな。」
漆黒の闇の中、地面から伝わるごとく鬼公子の声があたりに響く。
身長一メートルあるかないかのその姿。
鬼公子の周りの空気が歪んでいる。
「来るぞ!」
「はい! 先生!」
澤崎と凛が武器を手にこれから来るであろう衝撃に備える。
それは普通のものではなかった。




