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特務機関はホストクラブ  作者: 宙美姫
第2部 澤崎と凛
25/51

第1話 プロローグ

負けた。

悔しい。

何もできなかった。

僕は何も、できなかった。


尊敬していた父親。

大好きだった母親。

優しかった姉。

みんな殺された。


生き残ったのは自分だけ。

なんで?

どうして?

自分が『魔族』だから?


魔族だったら成敗していいの?

悔しい。

必ず!

必ず復讐してやるんだ!


男の子は雨の中を歩いていた。

冷たい雨が男の子の身体に降り注ぐ。

とりあえず転移したこの世界に合わせた服。

以前来ていた服は、もうボロボロだった。


見た目小学校低学年。

半袖半ズボンの小学生の男の子。

雨に打たれ、見ず知らずの『転移したこの世界』の道を

ただ一人歩いていく。


「どうしたの? 僕。」

女性が声をかける。

少年よりかなり年上の女性。

『この世界』で言うたぶん『OL』というのだろう。


少年は倒れた。

疲れから来た物。

限界の中、自身の目の前に現れた『希望』。

それは正しかった。


少年は目を覚ました。

彼女が心配そうに自分を見つめている。

「僕、大丈夫?」

その目は、懐かしき母や姉のよう。


少年はベッドに寝かされていた。

大きめの女性の服を着ている。

たぶん一旦裸にされ、着替えさせてくれたのであろう。

少年はちょっと股間が疼いていた。


年上の女性に甘える少年。

母のよう姉のよう。

柔らかい胸に抱かれて寝る少年。

久々だ。とても懐かしい。


「あなた最近痩せてない?」

「ううん。そんなことないわ。」

OLとしての彼女の職場、仕事仲間が気に掛ける。

少年に精気を吸われた女性はやがてやつれていく。


自分にはない暖かい指。

魅力的な汗の香り。

全部私が受け止める。

その小さい身体。


髪を洗ってあげる。

小さくも華奢な身体。

自分と違う骨格。

湯気の中で抱きしめた日々。


人に知られてはいけない関係。

でもそれは甘い蜜。

助けを求める震える命。

全部私が受け入れる。


小さな気持ちがやがて膨らんでいく。

それは今まで見たことのない形。

口に含んで見る。

喜ぶ姿がまた、可愛い。


いいの。

これでいいの。

孤独な日々に悲しんでいた女性。

彼女には今、生きる希望が湧いていた。


今日も明日もこれからも。

自分の胸の中に小さな顔を埋めて眠る少年。

彼女は献身的に全身全霊で少年に尽くした。

それが彼女の生きる希望なのだから。


やがて彼女は少年の眷属になっていた。

そのことに彼女は気がついていた。

だが、彼女はそれを拒むことはしなかった。

毎日毎日、彼女は少年の甘い蜜に囚われていた。


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