第22話 ホストクラブの寮へと
時が流れていく。
ものすごい勢いで時が流れていく。
水崎泉は『輝エリミネーターズ』の事務室にいた。
というより、お店が閉まるまでこのホストクラブの事務室にいるしかなかった。
って、私はマネージャーか何かか?
と水崎泉は心でそう思った。
でもまあ、それも悪くないと思った。
イケメンが絶えず出入りする。
いろんなイケメンがいっぱいいする。
自分好みの者もいれば、そうでない者もいる。
だけどそれは悪いってわけではない。
やっぱりイケメンはイケメンだ。
ここのホストクラブに所属してるってことは、
みんな澤崎さんと同じように戦っているのかな?
チャラ男はチャラいし、凸凹は凸凹だし。
みんな特殊任務で戦ってるのかな?
男より女の方が怨念の力がある。
澤崎さんが以前そんなこと言ってたかな?
それっとどうよ? 男だって執念深いじゃん。
ストーカーとかいるし。
そうこうしてら、もう真夜中。
この事務室に水崎泉がいることがもはや当たり前になっている。
私を恨んでいるギャルJD、またお客としてきてるのかな?
どっちかというともう会いたくない。
ていうか、大学でどうしよう?
ギャルJDに会ったらどうしよう?
まあいいか。
無視すりゃいいや。友達じゃないし。
っていうか、え? 私これから寮に住むって?
どうしよう、私の下宿。
親に何って言おう。
あれこれ思って、まもなく店閉店。
* * * * * *
「はい、これに乗って。」
澤崎さんが水崎泉をエスコートする。
結構大きめの車。
後部座席のドアを開けてやさしくエスコートしてくれる。
周りは営業が終わった夜職の嬢がアフターで溢れている。
それらの視線が水崎泉に突き刺さる。
「何あの子?」
「素人の子が何で?」
普通だったらそれらの視線がとても嫌に感じた。
だが水崎泉はそれどころじゃない。
澤崎さんは割と無表情でドアを開けてくれてる。
それは周りに対してのアピールもあるのかな?
夜職嬢と澤崎さんの視線を気にして二歩三歩。
動きが鈍いところにチャラ男がやって来る。
「はい。渡り姫、さっさと乗って。道路が渋滞してるから。」
水崎泉はチャラ男から後部座席へと押し込まれていく。
いや、別に誘拐されてるわけじゃないからいいんだけど。
水崎泉が後部座席に座り直す。
運転席に澤崎さん。助手席にチャラ男。
まあ、そうなるよね。
この車はどっちかというと、とてもでかいSUV。
重厚な車内には、いろんな武器が積まれてる。
これから特攻にでもいくのか、ぐらいの勢い。
よく警察に咎められないな。
そう思っていたのをわかっていたかのようにチャラ男が振り返る。
「この車の装備見て、驚いた?」
水崎泉が無言でいるとチャラ男が自慢げに続ける。
「おれら、特殊公務員だから。おまわりさんのお仲間よ。」
「細かい説明は後だ。行くぞ。」
澤崎さんが前を向いて口を開く。
へいへい、という感じで助手席のチャラ男が前を見る。
馬力のあるエンジン音が車内に響き渡る。
これからどこへ連れて行かれるのだろう?
水崎泉は少し不安になりながら、流れる車窓を見つめる。
薄暗い夜空が開け、頭上の雲が白んでいく。
差し込む朝の光が目に眩しく滲みる。




