第20話 水崎泉とギャルJD3
銃撃が響き渡る。
水崎泉は銃の音なんか知らない。
そんな音、映画でしか聞いたことがない。
だけどその銃声はどこか聞き覚えがある。
「澤崎さん!」
音がした方向を見ると、澤崎が銃を構えている。
ああ、そうだ。あれは怨念の銃弾とか言っていた銃だ。
その怨念の銃弾は例によって騒ぎながら黒い怨念を切り裂いていく。
「大丈夫か?」
澤崎が助けに来てくれた。
あの時と同じような澤崎の姿がそこにある。
そしてピンチの水崎泉を怨念の銃弾で助けに来てくれた。
「間に合いましたね! ギリギリで!」
いろんな武器を構えたチャラ男がいる。
助けに来てくれているチャラ男だが、相変わらずチャラい。
水崎泉は連絡先を交換したことが正解だったことに今気がついた。
「チャラ男! 中間ゾーンを破壊するぞ!」
「ほい、来た!」
え? チャラ男って、お名前チャラ男って言うの? 本当に?
澤崎とチャラ男が、鬼公子が生成し始めている領地の中間ゾーンの破壊を始める。
「陽光閃光を展開!」******
澤崎の言葉に合わせてチャラ男も光が入った瓶を取り出し、地面に投げつける。
ガラスの割れる音と同時に、まるで昼間のような明るさになる。
すると、鬼公子と黒い怨念が苦しみ出す。
続いてお札を宙に巻く。
すかさず聖水をあたりに降り注ぐ。
すると、どこだかわからない黒い空間がボロボロと穴が空き、
外の世界=普段の世界がパズルが崩壊するように見えてくる。
弱体化していく鬼公子と黒い怨念。
「呪怨弾で激射!」
澤崎とチャラ男が呪怨弾が入った銃で二つの目標を連射する。
黒い怨念がまるで薄まっていくかのように形が不安定になる。
何が?
何が起きてるの?
水崎泉は何が起きているのかわからなかった。
ただ、澤崎さんが自分を助けに来た事だけは理解していた。
鬼公子が苦しんでいる。
自身が領地にした闇結界が崩壊していく。
「まだまだ足りなかったか。悔しい!」
そう言って鬼公子は残された影の破片の中に消えていった。
ギャルJDが目を覚ます。
すると人気のない公園の片隅。
なぜかギャルJDは地面に倒れていた。
そしてギャルJDの視線の先は彼女にとって信じ難い光景となっていた。
差し込む夕陽。
その夕陽にシルエットになっている二人の人影。
澤崎が水崎泉の身体をやさしく支えている。
なんで? どうして?
近くにチャラ男がいる。
こいつのことなんかどうでもいい。
ギャルJDはそう思った。
だけど、そんなチャラ男が心配そうにギャルJDの顔をのぞいている。
「彼女、どうします?」
チャラ男の問いかけに澤崎は信じられない言葉を返してきた。
「いや、やめとこう。今うちに眷属を確保する余裕はない。」
澤崎が冷たくギャルJDの顔を見てそういった。
たとえ夕陽の逆光だったとしても澤崎の表情は見て取れる。
とてもまぶしい状況であったが、冷たいその表情はよくわかった。
なんで?
どうして?
あれだけお店に行ってあなたを指名したのに。
これまでどれだけお金を使ったと思ってるの?
なんであなたは、そんな女がいいの?
許せない!
呆然と途方にくれるギャルJDを見捨てて、
澤崎とチャラ男は去っていく。
水崎泉の身体をやさしく支えながら。
ギャルJDはこの光景を忘れまいと心に誓った。




