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エピローグ 誰かの見た夕焼け


朝。


遊園地の入口。


大きなゲート。

カラフルな旗。


遠くから聞こえる音楽。

ジェットコースターの歓声。

ポップコーンの匂い。

人の波。


その中に。

境界堂メンバー。


ほんの少しだけ。

胸の奥が、重い。


マスター

ゲートを見上げる。


「おぉー」


少し笑う。


「思ったより大きいねぇ」


ファニー

両手を広げる。


「遊園地だぁぁ!!」


もうテンション全開。


カノン

きらきらした目。


「すごいです!」


シエル

周囲を見渡す。


「混雑率は中程度ですね」


クロード

腕組み。


「騒がしい場所だ」


ファニー

振り向く。


「よし!」


指差す。


「まず何行く!?」


マスター

考える。


「うーん」


その時。

目の前。


音楽。

くるくる回る。


白馬。

キラキラ。

メリーゴーランド。


マスター

指差す。


「まずはあれとか?」


ファニー

一瞬固まる。

そして。

にやり。


「いいじゃん!」


「穏当な選択ですね」


「平和だな」


「きれいですね!」


メリーゴーランド前。

音楽。

きらきら。

子供たち。


スタッフ

「どうぞー!」


五人。

乗り込む。


ファニー

白馬。


「これ速そう!」


カノン

隣の馬。


「ほんとだ!」


シエル

落ち着いた馬。


クロード

後ろの馬。


マスター

中央のベンチ。


「これ安全そう」


ファニー

振り向く。


「逃げた!」


「安全第一!」


音楽。

スタート。


ゆっくり回る。

マスター

笑う。


「おー」

「思ったより」

「楽しい」


一周。

二周。


「……あれ」


少し眉をひそめる。


三周。


「……ちょっと」


顔色が変わる。


「どうしたの?」


「なんか」


目を押さえる。


「目が回る」


一瞬、視界の焦点がズレる。


シエル

冷静。


「まだ三周目です」


四周。


「うわ」


クロード

横を見る。


「顔が白いぞ」


「だ、大丈夫ですか!?」


「ちょっと」


手を上げる。


「止めてほしい」


スタッフ

遠くから。


「あと一周でーす!」


「長いよぉぉ!!」


五周。

視界。

ぐるぐる。


「世界が回ってる」

「…うぇっ」


「回っています」


ファニー

笑う。


「弱っ!」


「戦闘より弱いな」


カノン

心配。


「マスターさん!」


停止。

ガタン。


マスター

降りる。


三歩。


ふらっ。

ベンチへ。


どさ。

マスター

天井を見る。


「あー……」

「気持ち悪い」


ファニー

腹抱えて笑う。


「メリーゴーランドでダウンした人初めて見た!」


シエル

眼鏡を押し上げる。


「三半規管が非常に弱いようですね」


クロード

腕組み。


「戦場では役に立たんな」


マスター

ぐったり。


「戦場は回らないもん」


カノン

ペットボトル差し出す。


「お水どうぞ!」


マスター

受け取る。


「ありがとう…」


一口。

深呼吸。


「遊園地って」


空を見上げる。


「過酷だねぇ」


ファニー

ニヤニヤ。


「まだ始まったばっかりだよ?」


マスター

固まる。


「……え」


ファニー

遠くを指差す。


巨大なレール。

高い。

ジェットコースター。


ファニー

満面の笑み。


「次あれ行こ!」


マスター

顔面蒼白。


「うそでしょ」


遠く。

巨大なレール。

ギザギザの鉄骨。


高い。

とても高い。


マスター

小声。


「……あれ?」


「そうだ」


カノン

少し不安そう。


「高いですね」


ファニー

ニヤニヤ。


「行こう!」


ジェットコースター入口。

看板。

創業45年

写真。

昔の白黒ポスター。


注意書き。

―定期的に整備されています―


横。

工具を持った整備士の写真。


レールを見る。

少し錆。

でも丁寧に塗装されている。


クロード

レールを見上げる。


「古いな」


シエル

頷く。


「しかし整備はされているようです」


その瞬間。

上空。

コースター通過。


ガタン!

ガタン!!


その音が。

なぜか少しだけ、“懐かしい”。


ギシィィィィ……


金属の悲鳴。


マスター

固まる。


「……今の音」


ファニー

笑う。


「味だよ味!」


カノン

不安。


「だ、大丈夫ですよね?」


「落ちなければな」


「やめて」


乗り場。

係員。


「次のお客様どうぞー!」


五人。

座る。


配置。


前列

ファニー&シエル

中央

カノン

後列

マスター&クロード


安全バー。

ガチャン。


マスター

バーを握る。


「これ外れないよね?」


「祈れ」


「祈るの!?」


カノン

前を見る。


「き、きますね」


ファニー

わくわく。


「最高じゃん」


発車。

ガタン。


ゆっくり進む。

レールを登る。


ガタン

ガタン

ガタン


チェーンの音。


上がる。

上がる。

上がる。


マスター

下を見る。


街。

小さい。

人。

点。


マスター

声が震える。


「高い」


「そうだな」


カノン

手を握る。


「きれい……」


シエル

冷静。


「景観は良いですね」


ファニー

振り向く。


「マスター顔やばい!」


マスター

青い。


「帰りたい」


頂上。

静寂。

一瞬。

止まる。


風。


遊園地が見渡せる。


マスター

小声。


「これ」


カノン

同時。


「落ちますよね」


ファニー

笑顔。


「うん!」


「落ちます」


「落ちる」


マスター&カノン

「やだぁぁぁぁぁ!!」


落下。

ガタァァァン!!

急降下。


風。

絶叫。


「うわああああああ!!」


「きゃあああああ!!」


「最高ーーーー!!」


「加速度が良いですね」


無表情。


「悪くない」


レール。

カーブ。

ギシギシギシィィ!!


「音やばい!!」


「壊れませんよね!?」


「知らん」


「理論上は問題ありません」


「風きもちいい!!」


急カーブ。

ガタン!!


「魂置いていかれた!!」


「腕取れそう!!」


「掴め」


「バーを握ってください」


ファニー

笑い声。


停止。

ブレーキ。

ギィィィ……


到着。

安全バー解除。


マスター

立つ。

ふらっ。


カノン

同時。

ふらっ。


二人。

同時にベンチへ。


どさ。


マスター

天を仰ぐ。


「……死ぬかと思った」


カノン

隣で。


「…同じくです」


ファニー

超笑ってる。


「二人とも叫びすぎ!」


シエル

眼鏡を押し上げる。


「騒がしい後列でした」


クロード

腕組み。


「悪くない乗り物だ」


マスター

遠い目。


「まだあるの?」


ファニー

満面の笑み。


指差す。

遊園地の奥。

暗い建物。

看板。

お化け屋敷


「次あれ!」


マスター

魂が抜けた顔。


「今日は帰っていい?」


ファニー

元気。


「ダメ!」


お化け屋敷。


「雰囲気ありますね…。こういうの、想像しちゃうから苦手で…」


「かなり古い施設のようです」


「作り物だろう」


ファニー

胸を張る。


「よし!私、幽霊とか全然平気だから!」


シエル

眼鏡を押し上げる。


「先日怪談を聞いて泣きましたよね」


「……あれは例外!」


マスター

ぼそり。


「嫌な予感しかしない」


入口。

木の扉。

きぃぃ……

薄暗い。


係員

「どうぞー」


五人。

入る。


中。

暗い通路。

古い床。

ギシ。

ギシ。


カノン

小声。


「暗いですね…」


「暗いねぇ…」


ファニー

先頭。


「余裕余裕!」


その瞬間。


壁。

ガタン!

骸骨が飛び出す。


「ひっ」


一瞬止まる。


「機械式ですね」


「人形だ」


ファニー

咳払い。


「……今のは」

「ちょっとびっくりしただけ!」


奥。

曲がり角。


天井から。

蜘蛛の模型。

スーッ。


マスター

固まる。


「蜘蛛…っ」


「偽物です」


クロード

棒でつつく。


「動かん」


「よかった」


「へへん」


余裕。

さらに進む。

暗さが増す。

遠くで音。


カラン……


「な、なんの音ですか?」


「演出でしょう」


突然。


横の扉。

バン!!

ゾンビ人形。


「ひゃあっ!!」


一歩下がる。


「ファニー?」


ファニー

笑う。


「だ、大丈夫!」


でも。

歩く速度が

少し落ちる。


さらに奥。


狭い通路。

天井低い。

空気が重い。


音声。

かすれ声。


『この遊園地には……』


ファニー

足が止まる。


「……え」


音声。


『昔――』


照明。

チカチカ。


『事故で亡くなった――』


ファニー

震える。


「……あっ」


「ファニー?」


音声。


『その魂が――』


壁から

白い人影。

スッ。


「あっ」

「あっ」


「どうしたの?」


音声。


『今も――』


人影。

近づく。


『ここに――』


ファニー

目が見開く。


「あっ」

「あっ」


「…ファニー?」


「アイエエエエエエエエッ!!」


ダッシュ。

入口方向へ全力疾走。


「ファニーさん!?」


「速い!」


「発狂しましたね」


「うるさい」


出口。

扉。

バン!!


ファニー

飛び出す。

地面に座る。

肩で息。


「むり」

「むりむりむり」


マスター

出てくる。


「早すぎ」


「大丈夫ですか!?」


ファニー

涙目。


「幽霊いた」


「人形です」


「音声付きだな」


ファニー

指差す。


「怪談つけるのズルい!」


マスター

笑う。


「さっき余裕って」


「忘れて!」


「まだ遊園地半分も回ってないよ?」


カノン

心配。


「お水飲みます?」


シエル

遊園地マップを見る。


「この近くに」


指差す。

小さな建物。


「ミニ水族館があります」


ファニー

顔を上げる。


「水族館?」


「休憩には適しているでしょう」


「静かそうだ」


マスター

頷く。


「いいね」


ファニー

立ち上がる。


「行く!」


ミニ水族館。

小さな入口。


中。

暗い。

青い光。


水槽。

クラゲ。

小魚。

ゆっくり泳ぐ。


カノン

目を輝かせる。


「きれい…」


マスター

水槽を見る。


「落ち着くねぇ」


ファニー

さっきまでの恐怖が嘘みたい。


「さっきの怖さが浄化される」


「環境音の効果ですね」


クロード

静かに歩く。

腕組み。


その時。

大きな水槽。


丸い影。

ゆっくり泳ぐ。

マンボウ。


「あ!」


指差す。


「マンボウです!」


「でっか!」


マスター

水槽に顔近づける。


「のんびりしてるねぇ」


「実際かなり脆弱な魚です」


「そうなの?」


シエル

頷く。


「水流に当たるだけで死ぬこともあります」


「弱っ」


クロード

止まる。

水槽を見る。


沈黙。


マスター

振り向く。


「クロード?」


クロード

低い声。


「……あの魚」


全員見る。

クロード

腕組み。

水槽のマンボウを見る。


「知っている」


「え?」


クロード

静か。

少し遠い目。


「昔、浜辺で」


一拍。


「死んだやつと、目が合った」


沈黙。


「え」


「なにそれ怖い」


「興味深いですね」


クロード

マンボウを見る。

ぽつり。


「お前たちは」


少し眉をひそめる。


「何故すぐに死ぬんだ」


マンボウ。

ぽけーっと泳ぐ。


マスター

小声。


「答えなさそう」


「哲学してる」


カノン

くすっと笑う。


「でも」


水槽を見る。


「かわいいですね」


マンボウ。

ゆっくり方向転換。

マスター

腕組み。


「なんか親近感」


「どこがです」


「顔?」


「鈍い」


「ひどい」


みんな笑う。


青い光。

静かな水。

マンボウ。

のんびり泳ぐ。



ミニ水族館。

出口。


外。

夕方。

空がオレンジに染まっている。

遊園地の音も少し落ち着いている。


マスター

空を見る。


「もう夕方だねぇ」


「きれいですね」


ファニー

振り向く。


「あ!」


指差す。

大きな影。


観覧車。

ゆっくり回っている。

夕焼けの中。


ファニー

目を輝かせる。


「最後にあれ乗ろう!」


マスター

少し笑う。


「いいねぇ」


シエル

頷く。


「締めとしては妥当でしょう」


クロード

腕組み。


「高いな」


観覧車乗り場。


係員。

「どうぞー」


ゴンドラ。

扉。

五人。

乗り込む。


中。

小さなベンチ。

向かい合わせ。


ファニー

窓に張り付く。


「おぉー!」


カノン

隣。


「すごい…」


シエル

静かに座る。


クロード

腕組み。


マスター

少し落ち着く。


「これはゆっくりでいいねぇ」


ゴンドラ。

上昇。


街が小さくなる。

遊園地全体が見える。


ジェットコースター。

メリーゴーランド。

人。

光。


「きれい…なんか、安心しますね」


ファニー

外を見る。


「夕日すごい!」


窓の向こう。

大きな夕焼け。


その瞬間。

ファニー

叫ぶ。


「みんなこっち!」


「本当だ!」


「確かに良い景色です」


クロード以外。

全員。

夕日側のベンチへ移動。


ゴンドラ。

ぐらっ

傾く。


マスター

真ん中。

潰される。


「ぐぇ」


「夕日すごい!」


「オレンジ色ですね!」


「傾いていますね」


クロード

反対側で腕組み。


「当然だ」


マスター

下敷き。


「重い」 


誰も聞いてない。

ゴンドラ。

ゆっくり上昇。


頂点近く。

その時。

マスターの動きが

ふっと止まる。


「マスター?」


マスター

顔を上げる。


目。

いつもと違う。

でも

赤くはない。


静か。

遠くを見る目。


マスター

押し潰されながら。

呼吸が少し苦しいはずなのに。


穏やかな声。


「……綺麗だね」


シエル

一瞬気づく。


クロード

ちらりと見る。


ファニーとカノン

まだ夕日。


「でしょ!」


マスター

窓の外を見る。


夕焼け。

街。

遊園地。

笑い声。


静かに言う。


「こんな景色」


小さく息を吐く。


「昔も見た」


「え?」


マスター

遠い目。


「同じような夕日」


少し笑う。


「でも」


一瞬。

目を閉じる。


「その時は」

「隣に“まだ”誰もいなかった」


沈黙。


観覧車。

頂点。


マスター

ふっと笑う。


「今は」


ゴンドラを見る。

ファニー。

カノン。

シエル。

クロード。


全員。

そこにいる。


小さく。

本当に小さく。


少しだけ、間を置いて。


「……悪くない」


ほんのわずかに。

息が混じる。

どこか、安心したような。


その瞬間。

マスターの目。

いつもの感じに戻る。


周りを見る。


マスター

きょとん。


「……あれ」


自分の服を見る。

少し乱れている。


「なんでこんな密集してるの?」


一拍。


「……あれ、息切れてる?」


ファニー

夕日を指差す。


「夕日!」


マスター

下敷き。


「重い」


シエル

移動。


ファニー

離れる。


カノン

焦る。


「すみません!」


マスター

解放。

深呼吸。


「死ぬかと思った」


クロード

窓の外を見る。


「落ちなくてよかったな」


「やめて」


シエル

そのまま、少しだけ視線を細める。


「……マスター」


一拍。


「今の、覚えていますか」


「今の?」


首を傾げる。


「夕日見てたくらい?」


シエル

小さく息を吐く。


「やはり」


「え、なに?」


シエル

淡々と。


「今のあなた、“自分で喋っていません”でした」


沈黙。

マスター


「……え」


「どゆこと?」


「ど、どういうことですか?」


シエル

指で軽く示す。


「身体はここにあり、発話もしている」

「ですが“言葉の発生源”が、あなたの意識ではなかった」


「ちょっと待って、それ怖い」


「安心してください」


即答。


「あなた自身が消えたわけではありません」


「じゃあ何だ」


少しだけ間を置く。


「“通した”だけです」


「通した?」


「ええ」

「別の情報が、マスターの回路を借りて出力された」


「情報……」


「つまり僕の口で、誰かが喋ったってこと?」


「“誰か”と断定はしませんが」

「少なくとも、あなたの現在の記憶には存在しない内容でした」


「……あー」


少し考える。


「確かに、全然覚えてないや」


シエル

頷く。


「そのため記録されていないだけで、発話自体は成立しています」


「ログ残ってるみたいな言い方やめて」


「内容はどうだ」


「“昔も見た”」 「“隣に誰もいなかった”」


一拍。


「これはあなたの記憶ですか?」


マスター

少し考えて。


「……いや、ピンとこない」


「でしょうね」


静かに。


「ではどこから来た言葉か」


「…“空白”です」


沈黙。


「うわ出た」


カノン

少し不安そうに。


「じゃあ…さっきの優しい感じも…?」


「マスターの感情ではありません」

「ただし」


少しだけ柔らかく。


「マスターを通ることで、“違和感のない形”に整えられていました」


「……僕フィルター?」


「都合のいい変換機だな」


「近いですね」


少しだけ間。


「重要なのはここです」


全員、視線を向ける。

シエル

はっきりと。


「マスターは“ズレていない”」

「ただ、“自分の外にあるものを一瞬だけ通した”」


沈黙。

マスター


「……そっか」


少しだけ笑う。


「じゃあ僕、貸しただけなんだ」


「ええ」


小さく。


「拒否はしていませんでしたが」


「それそれ、それ怖いやつ」


「でも…」


少しだけ安心した顔で。


「ちゃんとマスターさん、いましたよね」

「…少しだけ違いましたけど」


「はい」


即答。


「最初から最後まで」


「なら問題ない」


マスター

頭をかく。


「なんかよく分かんないけどさ」


少しだけ遠くを見る。


「……嫌じゃなかったな」


シエル

ほんのわずかに目を細める。


「でしょうね」


小さく。


「“異物ではなかった”ので」


「エモくまとめたなー」


マスター

苦笑い。


「なんか変な体験したねぇ」


観覧車。

ゆっくり降下。


夕焼けの中。

遊園地。

笑い声。


遠く。

観覧車の屋根。

小さな影。

亀。


「ほっほ」


観覧車を見る。


「良い観測じゃ」


小さく笑う。


「今回は」

「壊れなかった」


ぽひゅ。

消える。



遊園地。

夜。

入口ゲート。

ライトが灯っている。


人の波。

帰る人たち。

マスターたちも歩いている。


ファニー

伸び。


「はぁー」

「楽しかった!」


カノン

笑う。


「いっぱい遊びましたね!」


シエル

頷く。


「珍しく平和な一日でした」


クロード

腕組み。


「騒がしかったが」


少し間。


「悪くない」


マスター

笑う。


「また来たいねぇ」


ファニー

即答。


「来る!」


駅。

小さな遊園地駅。


ホーム。

電車待ち。


遠くにまだ観覧車が見える。

ゆっくり回っている。

マスター

それを見る。


「綺麗だねぇ」


カノン

頷く。


「夜の遊園地も素敵ですね」


電車。

ゴトン。

ゴトン。

ホームに入る。

ドアが開く。


車内。

空いている。


五人。

座席。

横並び。


電車。

動き出す。

ゴトン。

ゴトン。


少し沈黙。


ファニー

眠そう。


「……ねむ」


カノン

くすっと笑う。


「はしゃぎすぎですよ」


シエル

窓の外を見る。

街の灯りが流れる。


クロード

腕組み。

静か。


マスター

ぼんやり外を見る。


遠く。

遊園地の光。

少しずつ遠ざかる。


マスター

小さく言う。


「今日は」

「いい日だったねぇ」


ファニー

うとうとしながら。

「うん」


カノン。

「はい」


シエル。

「ええ」


クロード

小さく。

「……ああ」


電車。

夜の街を走る。


その時。


マスターの目。

ほんの一瞬。

遠くを見る。


静かな声。


「……よかった」


誰かの声みたいに聞こえた。

誰にも聞こえない。


次の瞬間。

マスター


「あれ?」


周りを見る。


「今なんか言った?」


「言ってない」


「言っていません」


「?」


「気のせいだ」


マスター

首を傾げる。


「そっか」


電車。

ゴトン。

ゴトン。

夜の街。


電車。

静かに走る。

境界堂へ。


鍵の音が、静かに鳴った。

——世界は、閉じたまま。




マスター「じゃあお土産開封していきまーす」「クッキー、マンボウジュース、遊園地マスコットのスキンヘッド人形」

ファニー「スキンヘッド!?ウサギとかじゃ無かった!?」

シエル「マンボウジュースは理論上安全なのでしょうか」

クロード「理論上はな」

カノン「飲んでみたいです!」

マスター「飲む前から不安なんだけど!?」

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