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第九話 回避

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セリアの目から見て、


ロゼッタのバッドエンドは

カイゼルのプロポーズで回避されたと思われた。


乙女ゲームの攻略対象。


カイゼル・グラディウス。


見た目はいい。


前世では彼女がいた、非モテではなさそう。


仕事もできた男だったらしい。


そして今も勉強を怠らない。


そんな男が、ロゼッタにプロポーズしたのだ。


しかも。


ロゼッタの立場は不安定だった。


四属性持ち。


高魔力量。


その才能のせいで、借金だらけの男爵家から、

半ば売られる形で宰相家に嫁ぐことになる。


どんな扱いを受けるかも分からない。


不安でいっぱいだったはずだ。


それなのに。


カイゼルは、精一杯の誠意を見せた。


政略結婚。


愛はないかもしれない。


それでも大切にする。


そう言い切った。


セリアは思う。


(たぶん、


 あれを恋と勘違いしてる)


重圧から解放された安心感。


それを恋と錯覚しているのだろう。


だが。


ロゼッタは幸せそうだった。


それでいい。


それから二人は約束した。


これからのお茶会は、


本当に親睦を深めるために使う。


今までは違った。


ロゼッタの魔力暴走が怖くて、


護衛も爺やも、すぐ近くに張り付いていた。


しかし。


今日のように、


部屋の外へ下がらせる事ができる時はなるべく下がらせる。


そう決めたのだった。



それからしばらくして。


屋敷の空気が少し変わった。


ロゼッタとカイゼルは少しずつ打ち解けていった。


ロゼッタの不安が減る。


すると。


魔力も安定していった。


ある日、爺やが言った。


「ロゼッタお嬢様、


 最近、魔力が安定していますね」


そして穏やかに続けた。


「少しは一人のお時間を増やしてもよろしいかと思います」


セリアは少し驚いた。


(監視じゃなかったの?)


実際は違った。


爺やは監視役ではない。


魔力暴走の歯止め役だった。


爺やは魔力制御のエキスパートだったのだ。


幼い頃、魔力暴走を繰り返していたロゼッタを、

ずっと支えてきた。


爺やはロゼッタを心から愛していた。


そして知っている。


ロゼッタが一番幸せになるのは、


グラディウス家との結婚だと。


他の家に嫁げば、


最悪――


子供を産むための道具のように扱われる可能性もある。


だからこそ、


爺やはこの婚約を守ろうとしていた。


ロゼッタの笑い声が屋敷に響く。


作り笑いではない。


本当の笑顔だった。


それだけで、


屋敷の空気は明るくなった。



セリアは前世の記憶を取り戻してから今日までの日々を思い出していた。


孤児院で熱を出した日。


年長の子供たちのいじめ。


魔導学園の生徒を輩出することに執着する院長。


そして。


嵐のように現れたロゼッタお嬢様。


金貨三袋。


セリアは買われた。


そしてエーデル男爵家に来た。


さらに。


カイゼルとのお茶会。


いろいろあった。


本当にいろいろあった。


だが今。


セリアは安堵していた。


(私と、


 ロゼッタお嬢様の、


 バッドエンドは回避できた)


幸せだった。






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