第五十八話 神様っているんですね
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エーデル男爵家の応接間。
春は近いが、まだ空気は冷たい。
暖炉には火が焚かれ、静かな音を立てていた。
ソファにはカイゼルとロゼッタが座っている。
セリアは茶器のそばに立ち、紅茶の準備をしていた。
湯気の立つポットを傾け、ゆっくりとカップに茶を注ぐ。
その静かな空気の中で、カイゼルが言った。
「レオンハルト王太子殿下が転生者だった」
ロゼッタの目が丸くなる。
「ええ?!」
セリアの手も一瞬止まった。
カイゼルは続ける。
「それだけじゃない
アデリーナ・ヴァルツェン公爵令嬢
レオニード・ヘリオドール侯爵子息
この二人も転生者だった」
セリアは思わず振り向く。
「そうしたら……」
少し考えて言った。
「ゲームの攻略対象者と、その婚約者……
全員が転生者って事ですか?!」
ロゼッタは腕を組んだ。
「レオニード・ヘリオドール侯爵子息は知らないわ」
カイゼルは静かに言う。
「ヘリオドール侯爵家は女王様の実家だ」
ロゼッタの顔が少し引き締まる。
「女王派……」
カイゼルは頷いた。
「レオニードが王太子殿下に、自分が転生者でゲームの話を知っていると伝えた
学園での注意を促したらしい」
ロゼッタは少し考える。
「どうして?」
カイゼルは肩をすくめた。
「たまたま、近くにいたヴァルツェン公爵令嬢が
自分も知っていると明かした」
セリアは茶器を整えながら言った。
「レオニードは……
レオンハルト王太子に気に入られようとして、ゲームの話をしたのでしょうか」
ロゼッタは少し首を傾げた。
「純粋に心配したのかも」
カイゼルは暖炉の火を見ながら言う。
「女王派も、レオンハルト王太子殿下が攻略されてはたまらないからな」
セリアは紅茶を二人の前に置いた。
「この国……
転生者、多すぎません?」
ロゼッタは苦笑した。
「本当よね」
カイゼルはふと思い出したように言う。
「それから、お告げの話も聞いた」
ロゼッタが顔を上げる。
「お告げ?」
カイゼルは頷いた。
「国王が戴冠した時
王冠を頭に乗せた瞬間に、お告げがあったそうだ」
静かな声で言う。
「未来の憂いを払うため、未来を知る子供達を授けよう」
セリアは少し驚いた顔をした。
「神様っているんですね」
ロゼッタは紅茶を見つめながら言った。
「魔法がある世界だから
きっと神様もいるわ」
セリアは言った。
「未来の憂いってライクラのことでしょうか?
魔法学院でのバッドエンドを止めるんなら、
私がここにいるから止まってますよね?」
ロゼッタは頷いた。
「そうね」
カイゼルは言った。
「未来の憂いって、ライクラだけでいいのかな?」
三人はしばらく黙っていた。
暖炉の火が、静かに燃えている。
結局、議論を続けても――
答えは出なかった。
⸻
季節は変わった。
冬が終わり、王都に春が訪れる。
庭の木々は新しい芽を出し、風は柔らかくなった。
ロゼッタは十一歳になった。
そして――
王太子レオンハルトは、ある提案をした。
転生者を集めたお茶会。
未来を知る子供たちを、一度集めて話をする。
そんな会が開かれることになった。
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