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第五十六話 神のお告げ

5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


本日も読んでいただきありがとうございます。

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新しい年が来た。


新年の初日。


王城では、宰相や侯爵たちが王家へ挨拶に訪れる。


そして二日目。


宰相家や侯爵家には、伯爵、子爵、男爵たちが挨拶に訪れるのが慣例だった。


グラディウス宰相家も、多くの客を迎えていた。


玄関ロビーには、新年の飾りが厳かに飾られている。


金と深紅の布。

魔導灯の柔らかな光。

王国の紋章を描いた旗。


その中央に、宰相と宰相夫人が並んで立っていた。


宰相夫人の隣には、長女クラウディアと次女マルティナ。


宰相の隣にはカイゼル。


そしてその隣には、ロゼッタが立っていた。


次々と訪れる客が挨拶をしていく。


貴族の挨拶は長くはない。


名前を名乗り、祝辞を述べ、少し言葉を交わす。


それだけだが、客の数が多い。


午後も遅くなり、ようやく客足が途絶えてきた。


子供達は下げられた。


応接間へ移る途中、カイゼルがロゼッタに声をかける。


「大丈夫か?」


ロゼッタは少し肩を回してから笑った。


「ありがとう。大丈夫です」


カイゼルは小さく頷いた。


「いつもありがとう」


それを聞いて、マルティナがくすっと笑った。


「仲がいいわね」


クラウディアも優しく笑う。


「あらあら」


ロゼッタは慌てた。


「からかわないでください」


カイゼルは少し顔をしかめる。


「姉上たちも、婚約者と仲がいいでしょう」


マルティナは楽しそうに言った。


「そうね。私もローガン様にお手紙書きましょう」


そして悪戯っぽく続ける。


「あなた達に負けないぐらい、お熱いのを書くわ」


クラウディアは苦笑した。


「私はそういうの無理だわ。仲は良いけど」


カイゼルは眉をひそめる。


「姉上達の恋愛なんて聞きたくない」


クラウディアが笑う。


「あら、ヤキモチ?」


「お姉さんが取られて辛い?」


カイゼルはすぐに否定した。


「違います」


姉たちの笑い声が廊下に響いた。



その数日後。


カイゼルは王太子から、個人的なお茶会に呼ばれた。


王太子の応接間は、豪華で明るかった。


大きな窓から光が差し込み、白い壁と金の装飾が輝いている。


王太子レオンハルトとカイゼルは、向かい合ってソファに座っていた。


レオンハルトが紅茶を置く。


「カイゼル


 君は転生者ってわかるかい?」


カイゼルは迷わず答えた。


「わかります」


レオンハルトは少しだけ笑う。


「君は転生者かい?」


カイゼルは少し黙った。


そして答える。


「……ええ


 まさか、レオンハルト殿下も転生者ですか?」


レオンハルトは頷いた。


「カイゼルが天才と聞いていたが


 転生知識を隠していなかったからか」


カイゼルは苦笑した。


「自分を大人だと思ってしまって


 それが周りに認められて、ついそのままにしていました」


レオンハルトは驚いた顔をした。


「え?周りの大人は転生者だって知らないのか?」


カイゼルは肩をすくめた。


「偉そうな子供だと思われています」


レオンハルトは思わず笑った。


「僕は父上に転生者だと告白しているよ」


カイゼルは少し驚いた。


「え、大丈夫ですか?


 未来視と混同されませんでしたか?」


レオンハルトは紅茶を一口飲む。


「少しね


 だが、異世界の知識を持っているだけだと分かると解放されたよ」


カイゼルはほっとした顔をした。


「よかったですね」


レオンハルトは少し真面目な顔になる。


「父が王になる時


 王冠を頭に乗せた瞬間、神のお告げがあったらしい」


カイゼルは目を細める。


「お告げ?」


レオンハルトは静かに言った。


「未来の憂いを払うため、未来を知る子供達を授けよう」


カイゼルは小さく呟く。


「それが転生者……?」


レオンハルトは肩をすくめた。


「多分ね


 お告げが短すぎてよく分からない」


カイゼルは少し考えてから言った。


「レオンハルト殿下はライクラというゲームをご存知ですか?」


レオンハルトは少し首を傾げた。


「よく知らない


 実況動画を見ていたから、笑ったのは覚えている


 だが登場人物は覚えていない」


そして続ける。


「ライクラの話をしてきたのは君で三人目だ」


カイゼルは驚いた。


「三人目?


 他にも転生者が?」


レオンハルトは指を折る。


「アデリーナ・ヴァルツェン公爵令嬢 


 そしてレオニード・ヘリオドール侯爵子息」


カイゼルは少し考える。


「ヴァルツェン公爵令嬢はゲームの登場人物です 


 ですがレオニードは……どうだったかな」


レオンハルトは笑った。


「アデリーナ嬢によれば 


 レオニードはゲームに登場しないそうだ」


そして少し空を見上げる。


「未来の憂いを払うため未来を知る子供達を授けよう


 その結果が


 ゲームを知っている転生者が何人も生まれただけだなんて」


レオンハルトは苦笑した。


「しょぼくて泣きそうだ」


カイゼルは静かに言った。


「幹部候補が心中や陰謀で消えるよりは


 未来を知って回避できるなら、大きいはずです」


レオンハルトは頷く。


「確かに」


カイゼルは少し身を乗り出した。


「僕が知っている転生者も話しましょうか?」


レオンハルトは楽しそうに言った。


「ぜひ教えてくれ」


カイゼルは指を折りながら話し始めた。


「エーデル男爵家のロゼッタ


 その侍女、セリア


 カミラ・ノルディア子爵令嬢


 ティアナ・レーヴェン侯爵令嬢


 イリス・ベルフォード伯爵令嬢


 エヴァルト・シュトラール伯爵嫡男


 ディルク・ヴァルグレイ伯爵子息」


そして少し間を置いた。


「それと――」


カイゼルは静かに言う。


「アルベルト・ラウレンツ男爵嫡男」


レオンハルトは納得した顔をした。


「なるほど、父が即位したのは僕が生まれた年だ。


その年前後の子供達に集中している


それにしてもずいぶん多い」



カイゼルは苦笑する。


「ええ


 どうやら、この国は」


カイゼルは窓の外を見た。


「転生者だらけのようです」


新年の光が、王太子の応接間を静かに照らしていた。


5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


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