第四十八話 漏えいの噂
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ヴァルグレイ騎士伯爵家の庭。
嫡男の婚約お披露目会は
相変わらず賑やかだった。
貴族たちの笑い声。
グラスの音。
軽やかな音楽。
その一角で――
三人の令嬢が
小さな輪を作って話していた。
ロゼッタ。
カミラ。
そしてイリス。
カミラが楽しそうに言う。
「イリス様はすごいのよ
もう三カ国語を話せるの」
イリスは少し照れたように笑う。
「日常会話程度よ」
少し首を傾げた。
「それより
後でご自慢の婚約者を
紹介してくださらない?」
カミラの頬が赤くなる。
「いいわよ
少し時間が空くけど
後で落ち合う予定なの」
ロゼッタは
二人の会話を聞きながら
小さく頷いていた。
「……」
そのとき。
一人の少女が
静かに近づいてきた。
セリアだった。
セリアは一礼した。
「お嬢様方
失礼します」
そして
さらりと言った。
「豚骨ラーメンって知ってます?」
ロゼッタは
絶望的な顔をした。
カミラとイリスは
目を丸くする。
カミラが小さく言う。
「……知ってます」
イリスも続いた。
「……私も」
ロゼッタは
二人の反応を見て
目を見開いた。
「え?」
セリアは
そのまま日本語で話しかけた。
『わたしはロゼッタお嬢様の侍女見習い
転生者のセリアです』
小さく周囲を見回す。
『ここからは日本語で話しましょう』
ロゼッタは
少し呆れた顔で言う。
『いいけど』
セリアは続けた。
『時間がないので
単刀直入に聞きます
ライトオブクラウン
と言うゲームを
知ってますか?』
ロゼッタが頷く。
『私はそこそこプレイしてたわ』
イリスが言う。
『私も知ってる
動画編集のバイトで
編集したことがある』
カミラは肩をすくめた。
『少しだけ
すぐ死ぬから
つまらなくて』
イリスは少し考えてから言った。
『転生者にしか相談できないから
今、いうは
ゲームの世界なのは
知っているけど』
視線を落とす。
『ゲームと違うことをしても
いいのかしら』
カミラが首を傾げる。
『どういうこと?』
イリスは少し勇気を出して言った。
『私
ゲームの通りなら
ディルク様と婚約するでしょう?』
小さく微笑む。
『でも私
お兄様のハルト様が好きなの』
少し不安そうに言う。
『ゲームと違うことをしても
いいと思う?』
ロゼッタはすぐに答えた。
『大丈夫!』
力強く言う。
『私は主人公を
孤児院から引き取ったけど
なんともないわ!』
セリアが横から言う。
『私のことです』
イリスは目を丸くした。
『まあ
素晴らしい』
嬉しそうに笑う。
『魔法学園に入っても
誰も攻略されないのね』
ロゼッタは胸を張った。
『好きな人と結ばれるのが一番!』
セリアは一歩前に出た。
『本題です』
三人を見る。
『私が話しかけた理由は
イリス様のバッドエンドです』
イリスの目が揺れる。
セリアは静かに続けた。
『秘密漏えいの噂が広がり
人が信じられなくなり
孤独に餓死する
悲しいエンドです』
セリアは声を重くして
『それを避けるために話しかけました』
カミラが顔をしかめた。
『そんな、酷い死に方』
ロゼッタは
すぐに言った。
『それなら』
三人を見回す。
『この四人で
絶対裏切らない』
手を差し出す。
『お友達連盟を作りましょう』
セリアが手を重ねる
『賛成!』
カミラも続けて、手を重ねる
『私も賛成』
イリスは少し驚いてから
手を重ねた。
『私も
あなたたちのピンチには
必ず助けると約束する』
その瞬間。
四人の間に
小さな同盟が生まれた。
セリアはふと思う。
(ティアナも
入れてあげたいな)
そのとき。
後ろから声がした。
「ロゼッタちゃん」
振り向く。
マルガレーテだった。
「話に夢中になりすぎて
離れては駄目よ」
ロゼッタは慌てて頭を下げる。
「はい」
そして
カミラとイリスに向き直った。
「ごめんなさい
またお話ししましょう」
カミラとイリスも頷く。
四人は
何事もなかったかのように
社交の場に戻った。
だが――
セリアは心の中で思った。
(中立派のカミラはともかく
女王派のイリスとは
もう簡単には会えない)
庭には
相変わらず笑い声が響いている。
その中で
セリアは
小さく祈った。
この友情が
どうか
儚く終わりませんように――。
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