第三十三話 王城のお茶会
21時に短編「築き上げた努力」を上げます。
カミラを虜にしたカイゼルの心中エンドを見てください
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カイゼルは王城の庭に来ていた。
今日は王太子のお茶会に呼ばれている。
王太子の側近候補たちが、派閥のバランスを考えて招かれていた。
王太子レオンハルト、九歳。
その弟ルードヴィヒ、七歳。
そして招かれた子供たち。
国王派
カイゼル・グラディウス、九歳。
宰相家の嫡男。
女王派
レオニード・ヘリオドール、九歳。宮廷侯爵家。
エヴァルト・シュトラール、十歳。王国魔導研究院幹部の嫡男。
中立派
フェリクス・レーヴェン、十歳。魔導具で有名な侯爵家。
ディルク・ヴァルグレイ、九歳。騎士伯爵家。
アルベルト・ラウレンツ、八歳。王国一の商家の嫡男。
庭の東屋では、母親たちが優雅に紅茶を飲んでいる。
一見楽しそうな会話。
だがその実――
腹の探り合いだった。
国王派は宮廷ではやや不利。
しかし地方領主の武力を背景にしている。
女王派は宮廷内では強い。
だが武力は弱い。
そのため女王派は、ヴァルグレイ家を取り込もうとしていた。
ディルクを養子に迎える計画まである。
カイゼルはそれを思い出し、うんざりした。
(子供の時から大人のわがままに付き合わされるのか)
結局、子供たちは遊ばされることになった。
王太子レオンハルトのそばから、弟のルードヴィヒは離れない。
人見知りらしい。
レオンハルトは困った顔で弟の頭を撫でている。
ルードヴィヒは王太子の袖を握って離さなかった。
そこへアルベルトが近づいた。
「殿下、そのお庭の噴水、王国一高いんですよね?」
商人の子らしく、好奇心か商売根性か。
負けじとレオニードも近づく。
「殿下、アルベルトは無礼です。宮廷作法書にも記されております」
レオンハルトは困ったように笑った。
「構わないよ」
レオンハルトは続ける
「アルベルトは商人の子だろう?
商人は好奇心がなければ務まらない」
アルベルトは目を丸くした。
レオニードも言葉を失う。
レオンハルトは続けた。
「それに噴水だけじゃ無い。
この庭は王国一だ」
レオンハルトは弟に袖をひかれる。優しく見つめて頭を撫でた。
その横で、
フェリクスとディルクは早くも騎士ごっこを始めていた。
「覚悟しろ!」
「受けて立つ!」
中立派は自由だ。
エヴァルトはというと。
少し離れた場所で本を読んでいた。
(こちらも自由だな)
カイゼルは庭全体を見ていた。
誰がどう動くか。
それを観察する。
すると。
エヴァルトが本を閉じ、こちらへ歩いてきた。
「婚約者のティアナが、君の婚約者ロゼッタ嬢に迷惑をかけてすまない」
カイゼルは静かに答えた。
「謝罪は受け取ろう、
だがもう家同士で結論は出ている。
あれは事故だ、
必要以上に気に病むな」
エヴァルトは小さく頷いた。
カイゼルは、ふと聞いた。
「ところで、
君はなぜ光魔法に傾倒している?」
エヴァルトは少し眉を上げる。
「趣味」
エヴァルトはさらりと続ける。
「……と、実用を兼ねてる、
人探しをしていてね」
カイゼルは黙って聞いていた。
エヴァルトは続ける。
「君にも聞いておこう。
光魔法を使える少女を知らないか?」
カイゼルは一瞬だけ動揺した。
(セリア……?)
「なぜ光魔法の少女を探す?」
エヴァルトは淡々と言う。
「魔法学園に入る予定の子だ」
「なら、知らないな」
だがカイゼルの頭の中では別の思考が動いていた。
(セリア……)
本来なら。
セリアは孤児院枠で魔法学園に入る予定だった。
孤児院枠で入学させられて、奨学金漬けにする。
そして、孤児院専属のシスターにする。奴隷システム。
今のセリアは孤児院にいない。男爵家の侍女見習いをしている。
このままでは魔法学園に入らない。
エヴァルトはじっとカイゼルを見ていた。
何かを見透かすように。
⸻
その日の夜。
カイゼルは母親と別れてエーデル男爵家へと来ていた。
いつもの親睦会が開かれていた。
応接室で三人が紅茶を飲んでいる。
カイゼル。
ロゼッタ。
セリアは侍女見習いなので後ろに立っている。
カイゼルは椅子に深くもたれた。
「王家のお茶会、腹の探り合いで疲れた。
ロゼッタに会いたかった」
ロゼッタは顔を赤くした。
「わ、私もです」
そして嬉しそうに言う。
「従兄弟たちとのお茶会がうまくいったので。
今度はお披露目会をするんです」
カイゼルは少し驚いた。
「ほう」
ロゼッタは照れながら言う。
「初めて友達ができたんです」
セリアは黙って立っていた。
(ゲームに関係ない時は黙る)
セリアはそう決めている。
ただ。
まえに、カイゼルが言った言葉が、少し引っかかっていた。
(未来視
教団
女王派)
セリアは思った。
(この世界
結構危ないんじゃない?)
だが今は。
ロゼッタが楽しそうに笑っている。
それで十分だった。
親睦会は静かに続いていた。
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