第三十話 さらに不幸に
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懇親会は続いていた。
紅茶の香りが静かに部屋に漂う。
カイゼルがふと口を開いた。
「ティアナの話が出たから言っておく」
そう言うと、軽くため息をつく。
「セイント・サーキット教団の取り締まりは、簡単ではなくなった」
ロゼッタが首を傾げる。
カイゼルは続けた。
「女王派閥の資金源だった」
ロゼッタの目が丸くなる。
「女王派閥の資金源……?」
カイゼルは頷いた。
「それだけじゃない。
教団には未来視ができる魔法使いがいる」
セリアが思わず声を出す。
「未来視?」
カイゼルは苦い顔をする。
「何をしても先回りされて証拠が消される。
動くたびに必ず一歩先を行かれる」
ロゼッタが言った。
「未来視の魔法が使える人は……
王家の未来視部隊に強制入団のはずです」
カイゼルは頷いた。
「わかっている、
だからこそ問題なんだ」
彼は静かに続けた。
「未来視の魔法使いを隠している、
それだけで国家反逆罪だ」
セリアが小さく言う。
「そんなに重い罪なんですか」
カイゼルは真顔で答える。
「未来視は国家の武器だ、
それを私的に囲うということは、国家に牙を向けるのと同じだ」
ロゼッタが呟いた。
「そんな設定……
あのゲームにありました?」
セリアは首を傾げる。
「うーん……
ディレクターがそこまで考えていたとは思えないです」
ロゼッタが聞く。
「ディレクター?」
セリアは苦笑した。
「キャラクター原案者としょっちゅう喧嘩してました。
それしか印象にないです」
カイゼルが少し興味深そうに聞く。
「喧嘩?」
セリアは頷いた。
「喧嘩した後ですね。
原案者が気に入っていたティアナのバッドエンドが、
さらにひどくなったんです」
ロゼッタが目を瞬かせる。
「さらに?」
セリアは顔をしかめた。
「ロリコンのあぶらぎった教祖はサド設定追加だー、とか言い出して、
急なリテイクを、
完全に八つ当たりでした」
ロゼッタが引いた声を出す。
「サド……?
それは知らない……」
セリアは肩をすくめる。
「ボツになる前提のバッドエンドでしたし。
キャラクター原案者に見せる専用のやつです」
カイゼルが眉をひそめる。
「原案者に見せる専用?」
セリアはさらっと言った。
「青年に見学させながらサドプレーを楽しむ、
あぶらぎった教祖と、
絶望するティアナ、
そんな内容でした」
一瞬、沈黙。
ロゼッタが顔を押さえた。
「聞きたくない……
ひどい……
最低……」
セリアは続ける。
「結局、18禁CGになって没になりました、
でもディレクターは自慢してましたよ、
カルト教団の重要な隠し要素だって」
カイゼルが呟く。
「カルト教団の重要な隠し要素?」
セリアは頷いた。
「ええ、青年の名前まで教えてもらいました」
カイゼルは少し考え込む。
「……なんだかなあ」
ロゼッタが聞く。
「どうしたんですか?」
カイゼルは小さく笑った。
「いや、
ゲーム会社って、
ドロドロしてるんだな」
セリアは苦笑した。
「まあ……会社によるでしょう。
ライクラはクソゲーですから、
開発会社も荒れてたんじゃないですか?」
懇親会は、まだ続いていた。
しかしこの時、
三人はまだ気づいていない。
その「青年」が、
本当にこの世界に存在しているかもしれないことを。
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