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第二十九話 築き上げた努力

5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


本日も読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の★から評価をいただけると励みになります。




いつもの懇親会。


今日はエーデル男爵家で開かれていた。


ロゼッタ、カイゼル、セリアの三人がテーブルを囲む。


ロゼッタが少し嬉しそうに言った。


「従兄弟とお茶会をすることになりました」


カイゼルは頷いた。


「おめでとう。魔力制御を頑張ったからだな」


ロゼッタは両腕を上げて見せる。


「それと、このバングルのおかげです」


右腕に二つ、左腕に二つ。


魔力制御用のバングルが光っていた。


ロゼッタは少し誇らしそうだ。


カイゼルはそれを見て、静かに言った。


「それなら、社交知識として少しこの国の政治状況を説明しておこう、

 

 今この国は三つの勢力に分かれている、


 国王派、中立派、女王派だ」


ロゼッタは首を傾げる。


「国王様と女王様が仲が悪いんですか?」


カイゼルは淡々と言った。


「夫婦仲は仮面夫婦だ、


 女王は実家の言いなりだからな」


「うわー……」


セリアは思わず声を漏らした。


普段はゲームに関係ない時は口を挟まないようにしているが、つい反応してしまう。


カイゼルはちらりとセリアを見る。


「お前も聞いておけ、


 わかりやすく安土桃山時代で例える、   


 王家が足利将軍、


 地方領主が戦国大名、


 中立派が堺の商人、


 女王派が京の貴族」


ロゼッタは驚いた顔をする。


カイゼルは続けた。


「戦争していないだけで、地方の武力はかなり強い、


中央集権をしたがる女王派はわかっていない、


いつ戦争が起きてもおかしくないことを」


ロゼッタは小さく息を呑んだ。


「そんなに……?」


カイゼルは肩をすくめる。


「貴族社会は上澄みだ、


 上だけは綺麗だからな、


庶民の治安は終わっているぞ」


セリアが苦笑した。


「孤児院も終わってましたよ、


 あるだけマシって感じでした」


ロゼッタは少し震えた声で言う。


「私のバッドエンド……


 『魔力令嬢の実験室』、


 人権なんてない実験されてた、


 怖い」


カイゼルは即座に言った。


「そんな未来には絶対しない」


ロゼッタとカイゼルの視線がぶつかる。


一瞬、沈黙。


カイゼルは気まずそうに目を逸らした。


「……そういえば、


 残りの令嬢のバッドエンドは何があるんだ?」


セリアが答える。


「アデリーナ公爵令嬢の不慮の寵姫エンド、


 それとイリス伯爵令嬢の漏えいの噂エンドです」


カイゼルは顔をしかめた。


「ロクでもない題名だな」


ロゼッタが言う。


「カイゼル様は自分のルートしか知らないんですね」


カイゼルは少し困った顔になった。


「嫌な話かもしれないが……


 聞かれたから言う、


 元カノの推しが俺だった、


 俺を中心に男キャラの情報を仕入れて元カノと話していた」


ロゼッタは少ししゅんとした。


「そうなんですね……」


カイゼルは慌てて続ける。


「前世の話だ、


 しかも前世のうちに別れている、


 だから言いたくなかったんだ」


セリアが話を戻す。


「アデリーナ公爵令嬢の不慮の寵姫エンドは、


 王太子と婚約破棄すると王様の側妃になります、


 しかし女王様が許すはずもなく、


 事故死させられます」


カイゼルが呟く。


「妙にリアルだな」


セリアは続けた。


「イリス伯爵令嬢の漏えいの噂エンドは、


 婚約破棄の後、スパイが群がるんです、


 返り討ちにしたのに、


 情報漏洩したという噂が広まり、


 誰も信じられなくなって、


 餓死します」


カイゼルは少し考えて言った。


「イリス伯爵令嬢の家は外交を担っている、


 これもリアルだな」


セリアはさらに続けた。


「ついでに、カイゼル様のバッドエンド『築き上げた努力』エンドも説明しましょうか?」


カイゼルは顔をしかめた。


「いらない」


セリアは残念がって頭の中で解説した。


(冷徹なまでに積み上げた知性と国家の未来を無にしてまで、愛したゲームの主人公との心中。


 手を繋ぎ。身体をロープで結び、決して離れないと誓い。ダンスしながら水中へと沈んでいく二人・・・)



ロゼッタが明るく言う。


「でも大丈夫です、


 主人公のセリアがここにいます、


 それに、


 私、セリア、カイゼル様、カミラ様、ティアナ様。


 五人も転生者がいます。


 もういないでしょう?転生者」


セリアは少し笑った。


「それもそうですね」


懇親会は静かに続いていった。


5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

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