第二十九話 築き上げた努力
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いつもの懇親会。
今日はエーデル男爵家で開かれていた。
ロゼッタ、カイゼル、セリアの三人がテーブルを囲む。
ロゼッタが少し嬉しそうに言った。
「従兄弟とお茶会をすることになりました」
カイゼルは頷いた。
「おめでとう。魔力制御を頑張ったからだな」
ロゼッタは両腕を上げて見せる。
「それと、このバングルのおかげです」
右腕に二つ、左腕に二つ。
魔力制御用のバングルが光っていた。
ロゼッタは少し誇らしそうだ。
カイゼルはそれを見て、静かに言った。
「それなら、社交知識として少しこの国の政治状況を説明しておこう、
今この国は三つの勢力に分かれている、
国王派、中立派、女王派だ」
ロゼッタは首を傾げる。
「国王様と女王様が仲が悪いんですか?」
カイゼルは淡々と言った。
「夫婦仲は仮面夫婦だ、
女王は実家の言いなりだからな」
「うわー……」
セリアは思わず声を漏らした。
普段はゲームに関係ない時は口を挟まないようにしているが、つい反応してしまう。
カイゼルはちらりとセリアを見る。
「お前も聞いておけ、
わかりやすく安土桃山時代で例える、
王家が足利将軍、
地方領主が戦国大名、
中立派が堺の商人、
女王派が京の貴族」
ロゼッタは驚いた顔をする。
カイゼルは続けた。
「戦争していないだけで、地方の武力はかなり強い、
中央集権をしたがる女王派はわかっていない、
いつ戦争が起きてもおかしくないことを」
ロゼッタは小さく息を呑んだ。
「そんなに……?」
カイゼルは肩をすくめる。
「貴族社会は上澄みだ、
上だけは綺麗だからな、
庶民の治安は終わっているぞ」
セリアが苦笑した。
「孤児院も終わってましたよ、
あるだけマシって感じでした」
ロゼッタは少し震えた声で言う。
「私のバッドエンド……
『魔力令嬢の実験室』、
人権なんてない実験されてた、
怖い」
カイゼルは即座に言った。
「そんな未来には絶対しない」
ロゼッタとカイゼルの視線がぶつかる。
一瞬、沈黙。
カイゼルは気まずそうに目を逸らした。
「……そういえば、
残りの令嬢のバッドエンドは何があるんだ?」
セリアが答える。
「アデリーナ公爵令嬢の不慮の寵姫エンド、
それとイリス伯爵令嬢の漏えいの噂エンドです」
カイゼルは顔をしかめた。
「ロクでもない題名だな」
ロゼッタが言う。
「カイゼル様は自分のルートしか知らないんですね」
カイゼルは少し困った顔になった。
「嫌な話かもしれないが……
聞かれたから言う、
元カノの推しが俺だった、
俺を中心に男キャラの情報を仕入れて元カノと話していた」
ロゼッタは少ししゅんとした。
「そうなんですね……」
カイゼルは慌てて続ける。
「前世の話だ、
しかも前世のうちに別れている、
だから言いたくなかったんだ」
セリアが話を戻す。
「アデリーナ公爵令嬢の不慮の寵姫エンドは、
王太子と婚約破棄すると王様の側妃になります、
しかし女王様が許すはずもなく、
事故死させられます」
カイゼルが呟く。
「妙にリアルだな」
セリアは続けた。
「イリス伯爵令嬢の漏えいの噂エンドは、
婚約破棄の後、スパイが群がるんです、
返り討ちにしたのに、
情報漏洩したという噂が広まり、
誰も信じられなくなって、
餓死します」
カイゼルは少し考えて言った。
「イリス伯爵令嬢の家は外交を担っている、
これもリアルだな」
セリアはさらに続けた。
「ついでに、カイゼル様のバッドエンド『築き上げた努力』エンドも説明しましょうか?」
カイゼルは顔をしかめた。
「いらない」
セリアは残念がって頭の中で解説した。
(冷徹なまでに積み上げた知性と国家の未来を無にしてまで、愛したゲームの主人公との心中。
手を繋ぎ。身体をロープで結び、決して離れないと誓い。ダンスしながら水中へと沈んでいく二人・・・)
ロゼッタが明るく言う。
「でも大丈夫です、
主人公のセリアがここにいます、
それに、
私、セリア、カイゼル様、カミラ様、ティアナ様。
五人も転生者がいます。
もういないでしょう?転生者」
セリアは少し笑った。
「それもそうですね」
懇親会は静かに続いていった。
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