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第二十六話 見舞い

5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


本日も読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の★から評価をいただけると励みになります。




カイゼルは――


エーデル男爵家へ向かう途中で花を買った。


小さな花束。


赤茶色の髪。

琥珀色の瞳。


ロゼッタを思い浮かべて選んだ花束だった。


九歳の少年が持つには、少し大人びたものだった。



エーデル男爵家。


玄関。


カイゼルが立っていた。


爺やが出迎える。


カイゼルは言った。


「突然すまない、

 

 ロゼッタが襲われたと聞いて見舞いに来た」


爺やは少し困った顔をした。


「怪我はされておりませんが」


カイゼルは首を振った。


「襲われたんだ、

 

 心は傷ついているだろう」


そして続ける。


「会わせてくれ、


 それから――」


少し間を置く。


「いつもの小間使い、


 彼女とも話がしたい」


爺やは一礼した。


「承知いたしました」



エーデル男爵家。


応接室。


ロゼッタとカイゼルが向かい合って座っている。


ロゼッタの後ろには


小間使いのセリア。


カイゼルは青黒い髪に銀色の瞳を持つ、美しい少年だった。


ロゼッタの婚約者。


そして――


転生者。


ライクラのことを相談できる唯一の人物だ。


ただ、自分に関係するエピソード以外はほとんど知らない。


カイゼルは花をロゼッタに渡した。


「ロゼッタ


 ティアナに襲われたと聞いた


 大丈夫か」


ロゼッタは微笑んだ。


「カイゼル様


 心配してくださってありがとうございます」


しかしすぐに身を乗り出した。


「それより相談したいことがあるの!」


カイゼルは少し眉を上げた。


ロゼッタは言った。


「ティアナは転生者なの!


 しかもライクラ知ってるの!


 バッドエンド回避できたこと知らないの!


 かわいそうなの!」


カイゼルは手を上げた。


「待て、


 順序立てて話せ」


そして視線をセリアに向ける。


「お前、


 説明しろ」


セリアは一歩前に出た。


「ティアナはライクラの攻略対象者の婚約者です。


 主人公に攻略されると」


少し間を置く。


「“最愛の生け贄エンド”になります」


カイゼルは黙って聞く。


セリアは続けた。


「レーヴェン侯爵が傾倒しているカルト教祖に生け贄として差し出され、


 脂ぎったおっさん教祖にいいようにされるエンドです」


ロゼッタが頷く。


「CGなのにティアナの絶望感すごかった」


セリアはさらに言う。


「おそらく、


 死んだ方がマシだと思ったんでしょう、


 ロゼッタお嬢様を攻撃して魔力暴走を起こさせ、


 それに巻き込まれて死ぬつもりだったようです」


カイゼルは腕を組んだ。


「なぜそんな回りくどいことを」


セリアは答える。


「令嬢は一人になる時間がありません、


 ロゼッタお嬢様もそうですが、


 自殺は簡単ではないんです、


 魔法実験も監督付き、


 危険な薬物にも触れられないでしょう」


カイゼルは小さく息を吐いた。


「それでロゼッタを巻き込んだと」


そしてロゼッタを見る。


「本当にいい迷惑だ」


少し優しい声になる。


「ロゼッタ、


 本当に大丈夫か」


ロゼッタは頷いた。


「はい、


 爺やが守ってくれました。


 怪我をしたのはティアナの方です」


セリアが補足する。


「ティアナの怪我は私が治しました。


 その後、聞き込みをしました」


カイゼルは言った。


「続けろ」


セリアは説明した。


「婚約者のエヴァルトが光魔法研究に傾倒しています。


 魔導学園に入れば主人公に攻略される可能性が高い。


 それでティアナは自暴自棄になったようです」


そして言った。


「確認のためブラフを打ちました」


カイゼル


「何だ」


セリア


「豚骨ラーメン」


カイゼル


「……」


セリアは続ける。


「メモを渡したところ


 味噌ラーメンと返ってきました


 転生者確定です


 それもライクラを知っています」


カイゼルはこめかみを押さえた。


「一つ言う」


セリア


「はい」


カイゼル


「豚骨ラーメンをブラフに使うな」


セリア


「え」


カイゼル


「訳が分からなくなる、


 ライクラでいいだろ、


 今回のブラフは」


セリア


「……気づきませんでした」


カイゼルはため息をついた。


そして言った。


「今回の問題は、


 エヴァルトとティアナが結婚しても解決しない」


二人は黙る。


カイゼルは続けた。


「レーヴェン侯爵家がカルト教団に傾倒する、


 これは大問題だ」


少し声が低くなる。


「あの家は大きすぎる、


 国家が損害を受ける」


そして結論を言った。


「カルト教団の方を潰す」


ロゼッタが目を丸くした。


「え」


カイゼルは静かに言った。


「時間はかかる。


 年単位だろう。


 だが、


 任せてくれ」


その銀色の瞳は


本気だった。



5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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