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第二十五話 味噌ラーメン

お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが

魔力令嬢の実験室

六番目の花嫁

以上、2篇の短編あげました。婚約者を奪われたらおこる悪役令嬢のバッドエンドをお楽しみください



5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


本日も読んでいただきありがとうございます。

もし楽しんでいただけましたら、ブックマークや下の★から評価をいただけると励みになります。




子供の手紙は――検閲される。


レーヴェン侯爵家でも。


そしてエーデル男爵家でも。


当然のことだった。



エーデル男爵家の廊下。


セリアは爺やに呼び止められた。


「セリア」


爺やは一通の手紙を差し出した。


「これを」


セリアは受け取る。


封には確かに書かれている。


セリア宛。


差出人は――


レーヴェン侯爵家。


ティアナ。


爺やは淡々と続けた。


「内容は確認しております。

 

 “どっちかと言うと味噌ラーメン派”と書いてありました」


少しだけ眉を寄せる。


「何か、わかりますか?


 他家のお嬢様からこのような手紙をもらう心当たりは?」


セリアは即答した。


「全くわかりません」


セリアはシラを切った。


爺やはしばらくセリアを見ていたが、追及はしなかった。


「何か思い出したら、私に知らせるんですよ」


それだけ言って歩き去る。


爺やは忙しい。


ロゼッタの魔法の家庭教師をしている。


エーデル男爵家の家政にも関わっている。


宰相家からの資金をちょっとだけ男爵家に流用したりしている。


一日は常に時間との戦いだ。


セリアは廊下に一人残った。


そして。


小さく呟く。


「味噌ラーメン……」


そしてニヤリと笑った。


「当たりだ」



ロゼッタの部屋。


セリアとロゼッタは二人きりのタイミングを待って話し始めた。


セリアは手紙を見せた。


「ティアナお嬢様の返事は」


少し声を落とす。


「味噌ラーメンでした」


ロゼッタは即答した。


「転生者確定ね」


セリアは頷いた。


ロゼッタは少し顔を曇らせる。


「あの子……自暴自棄なのよね」


そして言う。


「ライクラの主人公がここにいるって教えてあげれば、


気が楽になるんじゃない?」


セリアは首を傾げた。


「どうやって?」


ロゼッタは言う。


「販売員よ、


 前のルートを使えばいいの」


セリアはすぐ首を振った。


「販売員に嫌がられます。


 見つかって奥さんがクビになるかもしれない、


 秘密の手紙なんて」


さらに続ける。


「それに販売員は二人、


 次に来る人が口の硬い方の人とは限りません。


 初めての人が来る可能性だってあります」


ロゼッタは眉を吊り上げた。


「なによ!


 否定ばっかり」


そして机を叩く。


「社会人なら代案を出しなさいよ!


 代案を!」


セリアは少し考えた。


そして言った。


「またかと思われるでしょうけど、


 カイゼル様を頼りましょう」


ロゼッタは顔をしかめた。


「また?」


腕を組む。


「手紙には書けないわよ」


そして低い声で言う。


「『最愛の生け贄』エンド、


 レーヴェン侯爵がカルトにハマるとか、


 ティアナが将来捧げ物にされるとか」


セリアは苦笑した。


ロゼッタは続ける。


「かと言って、


親睦会を待つのもかわいそうじゃない?」


少しだけ声が弱くなる。


「すぐに……


助かってるって教えてあげたい、


かわいそうなんだもん」


セリアは少し考えた。


「じゃあ、


ロゼッタお嬢様がティアナ様をお茶会に誘うとか」


ロゼッタは目を逸らした。


「……ごめん」


セリア


「?」


ロゼッタは小さく言った。


「私、


 出禁にした」


セリア


「え」


ロゼッタは言う。


「登場人物だって思わなかったから、


 ティアナが帰ってすぐ、


 爺やに言っちゃった」


真顔で言う。


「二度と敷居を跨がせないでって」


沈黙。


セリアは遠い目になった。


「私たち、


 無力ですね」


ロゼッタもため息をついた。


「結局、


 カイゼル様との親睦会待ちよね」



男爵の執務室。


男爵は首を傾げていた。


「味噌ラーメン?


 なにそれ」


爺やは首を振る。


「わかりません」


男爵は机の書類をめくる。


「それより、


 レーヴェン侯爵家から正式な謝罪文が届いた。


 それに――」


書類を叩く。


「百科事典型魔力制御装置を新調してくれるって」


爺やは言う。


「三冊壊れましたから」


男爵は笑った。


「三冊だけ新しくなってもカッコ悪いし、


 助かるよ」


爺やは静かに聞いた。


「それで……お手打ちですか」


男爵は頷いた。


「男爵家と侯爵家では家格が違いすぎる、


 それに」


少し真面目な顔になる。


「侯爵家は魔導具で実権を握っている」


そして言った。


「欲をかきすぎるのは良くない」


少し間を置いて。


男爵は優しく言った。


「爺や、


 お前のおかげで、


 ロゼッタちゃんは無傷だった、


 ありがとう」


爺やは深く頭を下げた。


「ありがたきお言葉です」


こうして――


エーデル男爵家とレーヴェン侯爵家は


この事故をこれにて手打ちとした。



だが。


爺やはもう一つの顔を持っている。


宰相家の人間。


当然。


この事件は――


すべて報告された。


報告は簡潔だった。


ティアナによるロゼッタ襲撃。


百科事典型魔力制御装置による手打ち。


そして――


セリア宛の手紙。


内容は。


「どっちかと言うと味噌ラーメン派」



宰相家。


報告を聞いたカイゼルは。


一言だけ言った。


「味噌ラーメン?」


そして立ち上がる。


「馬車を出せ」


家臣が聞く。


「どちらへ?」


カイゼルは答えた。


「エーデル男爵家」


そして言った。


「ロゼッタの見舞いだ」


馬車の中で一人になるとつぶやいた。


「味噌ラーメンって。なんでラーメン?」






5時30分と17時の2回更新しています。

よろしくお願いします。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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