第二十三話 侯爵夫人と娘
5時30分と17時の2回更新しています。
よろしくお願いします。
お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが
魔力令嬢の実験室
六番目の花嫁
以上、2篇の短編あげました。婚約者を奪われたらおこる悪役令嬢のバッドエンドをお楽しみください
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一週間後。
再び――
エーデル男爵家の応接室。
レーヴェン侯爵家から客が来ていた。
研究員。
前回の販売員。
そして――
なぜか。
レーヴェン侯爵夫人。
さらに。
娘を連れてきている。
金髪の編み込み。
瞳はエメラルドグリーン。
ティアナ・レーヴェン。
セリアは思わず目を見開いた。
(ティアナ・レーヴェン)
攻略対象者の婚約者。
魔導科首席エヴァルトとの政略婚約。
だが――
ゲームでは。
主人公に攻略されると。
レーヴェン侯爵はカルト宗教にハマっていることが判明する。
カルトの教祖が囁く。
「一番大切なものを差し出せ」
侯爵は恐れ慄く。
しかし。
信じる神を裏切れない。
そして――
一番可愛い末娘を差し出す。
ティアナは。
カルトの教祖に弄ばれる。
『最愛の生け贄』エンド。
セリアは遠い目になった。
(脂ぎったカルト教祖描くの大変だったなあ)
(絶望顔のティアナも大変だった)
(ボツのバッドエンドまで描かされた)
(本当に大変だった)
(本当に大変だった)
(本当に大変だった)
セリアの思考はそこまでだった。
目の前では――
爺やと侯爵夫人の攻防が始まっていた。
爺やは静かに言う。
「エーデル男爵、夫人はただいま外出中でございます。
侯爵夫人をおもてなし出来ません。
本日はお引き取り願えませんでしょうか」
侯爵夫人は柔らかく笑った。
「ごめんなさいね、
アポイントもなく来てしまって」
そしてティアナを見る。
「この子がどうしても四属性のロゼッタさんに会いたいって聞かないのよ」
そのとき。
ティアナが言った。
「あんたがロゼッタ?」
全員が止まる。
ティアナは興味津々の顔。
「四属性ってどんなの?
バーってなるの?
ボンって感じ?」
侯爵夫人が慌てる。
「こら、ティアナ!
挨拶してからでしょう!
淑女教育を受けるって約束は守ってもらいますからね!」
そして苦笑した。
「この調子なの、
言い出したら聞かなくって、
でも魔法の才能はすごいのよ、
魔導学園に行かなくてもいいくらい」
セリアは思った。
(甘い、
甘すぎる、
淑女教育が先でしょう、
魔法の天才って自慢したくて連れてきたのか?
四属性より努力の秀才を見せてやるって感じ?)
しかし。
セリアは別のことも考えていた。
(ティアナ、
本当に四属性に興味があるだけ?
転生者で接触しに来た?)
爺やは何度か穏便にお帰り願った。
しかし――
侯爵夫人は引かなかった。
侯爵夫人には逆らえない。
結局――
応接室での会談が始まった。
⸻
ロゼッタ。
侯爵夫人。
ティアナ。
三人が席に座る。
その後ろに
爺や
セリア
研究員
販売員
が立っていた。
研究員が説明する。
「手袋型の魔導具ですが、
肘までの長さを予定しております」
デザイン画がテーブルに置かれる。
「模様に見せかけた魔法陣、
飾りボタンに魔石を取り付け、
魔力制御装置とする構造です」
研究員は続けた。
「ロゼッタお嬢様の過去データを元にしますと、
片腕に四十個、
合計八十個の魔石ボタンで制御可能かと」
そのときだった。
ティアナが突然席を立った。
そして。
ロゼッタに近づく。
ティアナは言った。
「昔のデータでしょ?
今はもっと強くなってるかもしれない」
そして。
にやっと笑う。
「実際に魔力暴走してみて」
ロゼッタは胸を張った。
「ふふん、
魔力暴走なんて子供のすることしません、
私はもう九歳なのよ」
ティアナは言った。
「じゃあ」
一歩近づく。
「無理やりさせる」
次の瞬間。
ティアナはロゼッタの腕を掴んだ。
そして左手を――
ロゼッタの心臓に当てる。
ティアナは呟いた。
「我が魔導の道よ、
水の波動よ、
答えて、
氷となりてこの者を――」
ロゼッタが叫ぶ。
「いや!
助けて!」
次の瞬間。
ロゼッタの魔力が暴走した。
ドォォォン!!
ティアナが吹き飛ぶ。
同時に――
部屋の中で
火。
風。
水。
土。
四属性が暴れた。
炎が走る。
風が吹き荒れる。
床は水浸し。
家具が揺れる。
バン!!
百科事典が爆発した。
バン!!
もう一冊。
バン!!
さらに一冊。
研究員が叫ぶ。
「百科事典型の魔力制御装置を三冊も壊すなんて!
これは……!」
目を輝かせる。
「魔石ボタンは百二十個必要ですね!」
その頃。
ティアナは床に倒れていた。
腕が深く裂けている。
侯爵夫人が駆け寄る。
「いやー!
ティアナ!!」
爺やが叫ぶ。
「セリア!
治せるか!」
セリアは即答した。
「頭を打っていなければ大丈夫です!」
セリアは侯爵夫人を軽く押しのける。
「失礼します」
ティアナを床に寝かせた。
そして光魔法。
バッシュ。
強烈な光。
傷が塞がる。
セリアは聞いた。
「どこか痛いところありますか?」
ティアナはぼそっと言った。
「……楽に死にたかった」
セリアは止まった。
ティアナは続ける。
「このまま出血多量でもよかったのに」
セリア
「は?」
ティアナは冷たく言う。
「あんたには関係ない、
もう話しかけないで」
侯爵夫人が駆け寄る。
「ティアナちゃん!
大丈夫?!」
そしてセリアを見る。
「ありがとう」
セリアは一歩下がった。
その頃。
ロゼッタは怒っていた。
「四歳から!
魔力暴走なんてしたことないのに!」
爺やが言った。
「本日のは防御反応です。
暴走には数えません」
ロゼッタは言った。
「私、この子のこと嫌い」
ティアナは黙っていた。
暗い目で。
ただ。
自分の治った腕を見ていた。
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