第二十二話 魔力制御装置
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エーデル男爵家の執務室。
男爵と爺やが向かい合って座っていた。
爺やが静かに言う。
「最近のロゼッタお嬢様の魔力は安定しております」
男爵は嬉しそうに笑った。
「ロゼッタちゃん、頑張ってるんだね」
爺やは頷いた。
「はい。しかし――」
少しだけ声を低くする。
「万が一ということがあります」
男爵は真剣な顔になった。
爺やは続ける。
「レーヴェン侯爵家の魔力制御装置。
腕輪型の最新機種を購入するべきかと」
男爵は苦笑した。
「あれは高いよね」
爺やは淡々と言った。
「お嬢様のためです」
そして少し間を置いて言う。
「費用は宰相家から出ます」
男爵は目を丸くした。
爺やは続ける。
「これ以上、お嬢様の社交を遅らせるのは情操教育上よくないと、あちらも考えておられます」
男爵は腕を組む。
「なるほど……」
そしてふと聞いた。
「でも腕輪型だろう?
一つで足りるのかな」
爺やは首を振った。
「火、水、風、土、
それぞれに特化した腕輪を四つ用意する必要があります」
男爵は思わず声を上げた。
「四つも?」
爺やは穏やかに言った。
「ロゼッタお嬢様は類まれな才能をお持ちです、
九歳であれほど魔力を制御できているのは、本来ありえないことです」
男爵はしばらく黙っていた。
そしてぽつりと言う。
「我が娘ながら……」
小さく笑った。
「ロゼッタちゃん、すごいんだな」
そして顔を上げる。
「分かった。その話、進めてくれ」
爺やは深く頭を下げた。
「かしこまりました」
⸻
ロゼッタの部屋。
ロゼッタはソファに座って休憩していた。
隣にはセリア。
ロゼッタは嬉しそうに言った。
「私ね、社交に出られるようになるの」
セリアは目を丸くする。
「本当ですか?」
ロゼッタは頷いた。
「腕輪型の魔力制御装置を買うんだって、
それをつければ、お茶会に出てもいいって!」
セリアは微笑んだ。
「おめでとうございます」
ロゼッタはワクワクしながら言った。
「どんな腕輪かな、
かわいい腕輪がいいな」
セリアは思った。
(お嬢様、淑女教育頑張ってるから
報われそうで良かった)
⸻
数日後。
エーデル男爵家の応接室。
レーヴェン侯爵家の魔導具販売店が訪れていた。
部屋には
ロゼッタ
爺や
セリア
そして販売員が二人。
販売員が丁寧に言った。
「こちらが腕輪型の魔力制御装置でございます」
テーブルの上に並べられた腕輪。
しかし――
どう見ても。
成人男性向け。
ごつい。
ロゼッタは一瞬で言った。
「全部いらない」
セリアは思った。
(わかるけど言い方!)
ロゼッタは腕を組む。
「かわいいのがいい」
爺やが穏やかに言う。
「かわいい彫刻を、
入れてもらいましょう」
ロゼッタは即答した。
「いやよ」
腕輪を指さす。
「こんなごついのにゴテゴテ彫刻しても全然かわいくない」
爺やは少し考えた。
そして言った。
「ロゼッタお嬢様」
「お嬢様が可愛いので、少しごつい腕輪でも損なわれません」
ロゼッタは少し考えた。
「……じゃあ一個だけなら」
爺やは言った。
「四属性です、つまり四つ必要です」
ロゼッタは即答した。
「ぜったい嫌」
爺やは静かに言う。
「お嬢様」
そのとき。
販売員たちが小声で話していた。
「……あれならごつくないけど」
「おい、まだ試作段階だ。言うな」
セリアの耳がぴくっと動いた。
「何かあるんですか?」
販売員が慌てる。
「い、いえ」
もう一人がぽろっと言った。
「手袋型の魔導具がありましてね、
肘まで面積があるので四属性をまとめて制御できる可能性があるんです」
もう一人が慌てる。
「おい!本家が研究してるだけだろ!
まだ販売するかも決まってない!」
ロゼッタが言った。
「聞こえちゃった」
販売員は青くなる。
「本当に研究段階でして……」
ロゼッタはにっこり笑った。
「それ作って」
沈黙。
爺やが静かに咳払いした。
「……まずは話を聞きましょう」
こうして――
ロゼッタのわがままにより。
レーヴェン侯爵家の研究者が
エーデル男爵家を訪れることになった。
それが――
後に大騒ぎを起こすことになるとは
この時、まだ誰も知らなかった。
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