第十二話 クソゲーへの愚痴
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セリアとロゼッタは、なんとなくライクラの話になった。
セリアはロゼッタお嬢様のそばに立っていた。
「ライクラって、なんで売れたんでしょうね」
ロゼッタは即答した。
「クソゲーだったからよ」
セリアはうなずいた。
「ですよね」
ロゼッタは懐かしそうに言う。
「主人公がすぐ死ぬじゃない、
それで実況動画で、クソゲープレイヤーに愛されちゃって、
私がプレイしたきっかけも実況動画見たからなの」
セリアは腕を組んだ。
「なるほど」
ロゼッタは少し声を弾ませた。
「でもね、
バッドエンドのCGが綺麗だったの」
セリアは胸を張った。
「えっへん!
私が描きました!!」
ロゼッタは目を輝かせた。
「すごいわ!
あんな絵が描けるなんて!
バッドエンドなのにご褒美なのよね」
セリアは少し照れた。
「まあ……仕事だったので」
ロゼッタは続ける。
「それで二次創作が盛り上がってね、
パソコン版から家庭用ハード、
スマホ版、
HDリマスター、
追加スチル版まで出たのよ」
セリアの表情が止まった。
「え?」
ロゼッタは当然のように言う。
「結構続いてるわよ」
セリアはゆっくり言った。
「二次創作も、
新ハード版も、
私のところにお金入ってきてません」
ロゼッタは一瞬黙った。
セリアは泣いたふりをした。
「わたしはパソコン版のお金しかもらってない」
ロゼッタは少し気まずそうに言った。
「通りで、
最後に出た新スチル追加版、
評判イマイチだったわ」
セリアは目を見開いた。
「なにそれ知らない、
わたし関わってない」
そしてふと考えた。
「……ていうか、
わたし、いつ死んだんだろう」
ロゼッタは肩をすくめた。
「私は会社帰りに車に轢かれた記憶があるわ」
そして少し真顔で言った。
「死に際の記憶なんて、
ない方がいいわよ」
セリアは少し黙った。
そして話を変えるように言った。
「それにしても、
ライクラって、
本当に売れる要素ないですよね」
ロゼッタは即答した。
「ないわね、
乙女ゲームなのに、
攻略対象全員に婚約者がいる」
セリアは頷く。
「寝取り乙女ゲーム」
ロゼッタは遠い目をした。
「誰に需要があるのよ」
セリアは指を折る。
「しかも、
ハッピーエンドでも、
王太子は侯爵家に降下」
ロゼッタが続ける。
「宰相の息子は従兄弟に家を譲って宮使い」
セリア。
「騎士は出世が絶対ない平騎士」
ロゼッタ。
「全然ハッピーじゃない」
セリアは続ける。
「しかも
ハッピーエンドの後に
悪役令嬢達の
バッドエンドも流れるし
ざまぁにならない陰惨なやつ」
ロゼッタはため息をついた。
「ハッピーエンドCGも、
キャラクター原案の人がCG描いてたから、
出来も微妙だったし」
ロゼッタは続けた。
「むしろ本当のバッドエンド扱いされてたわ」
セリアは少し同情した。
「あのキャラクター原案の人って、
キャラ絵しか、描かないから、
骨格わからないんですよ、
定番ポーズしか描けないんです、
かわいそうな人なんです」
ロゼッタは苦笑した。
「あと変だったのが、
ノーマルエンドがないことよ」
セリアは頷く。
「誰も攻略しないエンドなし」
ロゼッタ。
「そのくせ、
いじめエンドが二パターン」
セリアは少し首をかしげた。
「……あれ?」
ロゼッタ。
「なに?」
セリアは少し考えて言った。
「三パターン描いたんですけど」
ロゼッタは固まった。
「え?」
セリアは首を傾げる。
「悲壮すぎて、
ボツになったのかな」
ロゼッタは身を乗り出した。
「なにそれ!?
気になる!!」
そのときだった。
部屋の扉が開いた。
爺やが立っていた。
二人はまったく気づいていない。
話に夢中だったのだ。
爺やはしばらく黙って二人を見ていた。
そして思った。
(最近の子供って、
物騒な空想話をするんだな)
静かに扉を閉めた。
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