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またまた猫又、以下潜り。  作者: ねこぬっこ


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22/23

第二十二話

続きです。ぜひ読んでいってください


 しばらくして。おじいちゃんが片手にビニール袋をぶら下げて帰ってきた。


「お~い、みんな戻ったぞ......って、なんじゃこりゃ!?」


 おじいちゃんが目を見開き、驚いた拍子で袋を床に落とす。


 驚くのも無理はないよ。だって今の状況......


「ストップ!彩奈ストップ!いい加減にしないともう遊ばないよ?」


「えぇぇ、嫌だ!ほぅら、ボクを捕まえてみて?」


 私の部屋から持ち出してきた小学校の時の卒業アルバムを手に、私から逃げるようにリビングを駆け回る。


 そのそばでは、真剣に中学の時の卒業アルバムを見ている雪愛が。鼻歌を歌いながら見ている。


 犯人は言わずもがな。狐火先生がいつの間にか持ってきて、私の昔話で彩奈とともに盛り上がっていたのだ。


 そして当の本人......狐火先生は現在、なぜかボロ泣きしていた。


「ぐっ......ひっく.....いつかの愛弟子もいなくなって......あの時に守ってやれれば......ひっぐ......」


 その顔は真っ赤で、明らかに酔いが回りすぎている。狐火先生って、完全に酔うと泣き上戸になるらしい。別に知らなくてもいい情報が増えた。


 私も私で、隙を見ては彩奈に脱がされそうになり、今はシャツとスカート一枚しかない。なんとかボタンはしめたけどね!


 おじいちゃんが買ってきたらしい、おつまみやらおやつやらが、おじいちゃんの手によって拾われていくのを見つつ、もう彩奈を止めるのをあきらめて盛大なため息をつく。


「はぁぁぁ.......もう疲れた......」


 彩奈の手には、中学の時、修学旅行ではしゃいでて、猫耳と尻尾を出したまま木刀を持って、カッコつけた表情で変なポーズをとりながら写真に収められた黒歴史が挟まっているのだ。


 それがこの卒アルに乗っていることが嫌になってくるが、よく考えたら、彩奈の家にもあるものだし、取り返さないで回収してもらって、忘れるのが一番なのではと思えてきた。


 椅子にドカッと座りこみ、机に体を伏せる。


 その様子を見て、泣いている狐火先生の背中をさすりながら、何かを察したのか一言。


「これから大変そうじゃな......」


 うんうんとうなずき、自分も昔は苦労したぞみたいな雰囲気を出してくる。え、もしかしてこれ以上は助けてくれなかったりする?


 後ろから雪愛と彩奈がキャッキャッとはしゃぐ声が聞こえてくる。


 ......まぁ、二人が仲よくなるきっかけになったんだったらよかったよ。


「おじいちゃん、結局、十年前の話の続きって......」


 おじいちゃんが帰ってきたので、一応確認する。まぁ、答えを聞くまでもなく......


「すまんな、その話はまた今度じゃ。なんせ、ワシもいくつか記憶が抜けておるからの。ちゃんと覚えておるのは狐火くらいじゃろうて。」


 まぁ、だとは思った。おじいちゃんが覚えているのなら、狐火先生はわざわざ待たなかっただろうし。


「わかった。片付けはしとくよ。」


 そう言って立ち上がると、おじいちゃんがそれを止める。


「いや、片付けはワシがしておくから、海莉は狐火を部屋まで連れて行ってくれ。明日の弁当の仕込みもせなならんのでな。」


 おじいちゃんは空になった皿を重ね始める。まぁ、なんかここでずっと泣いてるってのもなんだし、狐火先生連れていくか。


 狐火先生を立ち上がらせて、肩を支えながらリビングを出る。


 あれ、誰の部屋に運べば......私の部屋には二人が来るだろうからもう窮屈だし......ほかの部屋も物置やらおじちゃんの趣味(意味深)の部屋で埋まってるから......おじいちゃんの部屋しかないよね。よし、そこに連れて行こうっと。


 ふらふらで今にも倒れてしまいそうな狐火先生をなんとか支えておじいちゃんの部屋までこれた。そして、ベッドにそっと座らせる。


「ふぅ、助かったぞ海莉。」


 一呼吸おいて、なぜか普通に話し始める狐火先生。


「え?さっきまで酔って......えっ?」


「あれは演技......ではないが......説明するのが面倒じゃから、我の能力で酔いを消しただけと言っておく。」


 いやそれ通るなら何してもありでしょこの人。


「それじゃあ、どうして今ここで酔いを醒ましたの?」


「無論、貴様にのみ話しておきたいことがあるからじゃ。」


「話したいこと?」


 なにも心当たりはない。となると、子供のころの話の続きとか?


「ほれ、3日前装備をもらったじゃろう?あれの感想を聞きたくてな。」


 ......装備?あ~なるほど。狐火先生があの装備を作ったってことでいいのかな?だからその使用感を聞きたいと。


「まだうまく使いこなせてはないんですけど、使ってる感じは便利ですよ。ただ、相手が悪かったというかなんというか......」


 帰って確認すると、パーカーがあちこち破れていたのを思い出す。後ろめたいですとても。


「言い淀むということは、どこか汚したか破れてしまったのじゃな?持ってくるといい。すぐに直せる。」


 狐火先生は、安心したような、嬉しいような表情をして、私にパーカーを持ってくるように言う。


 お言葉に甘えて、一度私の部屋に戻ってパーカーを取っておじいちゃんの部屋に戻る。


 渡すと、パーカーを観察したのち、目をつむって何かに集中する。すると、ほんのりとパーカーが光だし、3日前渡されたときの新品つやつやへと逆戻りした。


「よし、これで直ったな。にしても、こんな傷ができるほどとは......ちょっとやそっとじゃ破れないもののはずじゃが......」


「ええとそのぉ......3日前、彩奈と雪愛が攫われて......」




 三日前に起こった出来事を覚えている限りで話すと、狐火先生は軽いため息をついた。


「......そうじゃのぉ、我が聞いていた話よりも大変じゃったな。」


 狐火先生がねぎらいの言葉をかけてくる。そして、懐から20枚入りくらいのせんべいの袋を取り出し、それを食べ始める。さっきおじいちゃんが買ってきてたやつじゃん。いつの間に。


「しかしまぁ......ングッ、ヒプターの奴がそんなことをやっておったとは。血も涙もないやつになったの。」


 せんべいをかじりながらヒプターに対してか、少し険しい顔をする。


 この言葉を聞く感じ、ヒプターは昔は全然ああいう風じゃなかったって感じに聞こえるんだけども。


「昔のヒプターはどんな感じだったんですか?」


 訊くと、私にせんべいを一枚差し出してからしゃべり始める。


「ヒプターは少なくとも十年前、最後に会った時だが。あやつは家族思いで、皆にも優しく、研究熱心じゃった。」


 研究......その言葉に少し反応してしまう。その様子をちらりと見てから狐火先生。


「当時の奴の研究はごく普通。よくわからんかったが、元素についての研究だったようじゃ。」


 元素......か。学校で習う範囲の先をさらに研究してたってことだよね?そりゃ、学校よりも詳しくってのは当然ではあるけどさ。


「じゃが、あの事件でヒプターの娘が忽然と姿を消し......それからじゃろうな、今のような形に狂っていってしまったのだろう。」


 そういう事情が......って、そんなの、あの二人にあんなひどいことをする理由にはならないよ!


「ただまぁ、我ら妖家が認知できない攻撃ともなると厄介極まりない。海莉の持つもう一つの力でしか対応できないということだからな。」


 確かに......いくら狐火先生やおじいちゃんが強かったとしても、認識ができないんじゃどうしようもない。


「早いうちに打開策は考えておく。認識の位相をズラしておるのか、はたまた独自に開発した未知の技術、物質なのか......なんにせよ、有効策を......」


 ブツブツとつぶやき始めて、自分の世界へと入ってしまったので、なんとなく気まずさを感じて部屋を出てリビングに戻る。


 そこでは、後片付けの洗い物をしているおじいちゃんと、アルバムを枕にして眠っている雪愛と彩奈の姿が。


「二人とも疲れ果てて眠ってしまったようじゃな。海莉、すまんが、二人を運んでもらってもいいか?海莉の好きなお菓子を買ってきたのでな。」


 くいッと机の上を顎で指す。そこには、死ぬほど酸っぱいレモン味のグミがあった。


「......おじいちゃん、何度も言ってるけど、あのとき好きって言ったのは強がってただけで、別に好きじゃないからね?」


 ......まぁ、嫌いでもないけどさ。


 すると、おじいちゃんはわざとらしくしまったという表情を浮かべて謝ってきた。


「いやぁ、すまんすまん、つい忘れておったわ。その袋の下にクッキーが置いてあるからそれで許しとくれ。」


 その言葉を聞いて、急いで机のビニール袋をどかす。そこには、バターの風味が濃厚で、上品な甘さをしている、私の大好きなクッキーがあった。


 ほらぁ、やっぱおじいちゃんわざとだったじゃん!


「ありがとっ!おじいちゃん♪」


「どういたしましてじゃ。」


 嬉しくなってつい跳ねた声でお礼を言った。おじいちゃんはニコニコと私を見ている。


 彩奈と雪愛をそれぞれ両脇に抱え、えっさほいさと私の部屋のベッドに寝かせる。


 二人とも、穏やかな寝息を立てていて、気持ちよさそうな表情をしている。私もそろそろ寝たいが、この後お菓子をちょっとだけ食べるからね、二人には内緒にしとこ。


 布団をかぶせると、雪愛が寝返りを打って彩奈に抱き着く。どうやら、毎朝抱き着かれていたのは、雪愛の寝相の問題だったらしい。彩奈と同じ理由なのかと思った。


 二人を起こさないように足音を殺して、リビングへと戻る。


 クッキーの袋を開け、二枚ずつ個包装になっている袋を破り、一つ口に放り込む。


 ん~♪この歯で噛むと一瞬サクッとした後に、口に広がるバターと香ばしい小麦の香り。少し噛むとしっとりとした食感と、ほんのりと甘すぎずくどくならない上品な甘さを感じることができる。


 やっぱりこのクッキーおいしさを実感しつつ、ふと我に返ると、もう4袋も食べていた。危ない危ない。これ以上食べると明日も食べれなくなる。今日はこれでおしまい。


 ......でもあと一袋だけ......一袋だけだから......


 我慢しきれずに取ったクッキーを二枚食べ、クッキーの大袋の口を巻いてもう中身を出さないようにする。


 そして、一個だけめちゃ酸っぱいグミを口に入れる。


 入れた瞬間に、酸っぱさで顔をしかめちゃった。



 続きかきました。前回の終わり方がアレだったもんで、どうつなげようか迷っていました。最近、雪愛の描写が少なく、気ままな子猫みたいな感じになってしまっているので、気をつけたいですね。

 それと、最近熱すぎて汗が止まんないです。代わりに猫のグデッとしている様子やおなかをたくさん見れるんですけど。

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