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またまた猫又、以下潜り。  作者: ねこぬっこ


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第十九話

続き書きました



 今日も1日が終わって、家路へとつく。


 朝に連絡した件は、おじいちゃんから作っておくという旨の返事が返ってきていた。


 端的な返事だったのがちょっと怖いけど。


 なんとなく量が多そうだなと内心苦笑いしつつ、沈む夕日を眺めながらゆっくり歩く。


 なんだかこうしていると、ゆっくり歩くのも久しぶりに感じる。


 土曜日からずっと駆け回ってたし、色々起こってたし。


 ふと隣を歩く彩奈を見る。その目はどこを見ているのか、どこか遠くを見ているように見えた。


 しかし私の視線に気づくと、どうしたの?とでもいうようにこちらを向いて首を傾げた。


 そして、しばらく思案したのちに何を思ったのかニヤニヤし始める。


「海莉ちゃ〜ん、もしかしなくてもボクに見惚れちゃってた感じ?ね、ね?」


「はいはい、違うから。ここ何日がずっと忙しかったなってだけ。巻き込んでごめんね?」


「ううん、むしろ海莉ちゃんと少しでも長くいられてボクは嬉しいよ。」


 ニコニコと人懐っこい笑みを浮かべてそんな言葉を返す。


 でもやっぱり、それは私に向けられていない気がして。


 どことなく、昨日一昨日辺りから距離を感じてしまう。


 何故だろう、こんなことはあまり感じなかったのに。互いにあの日のことを思い出したせいかもしれない。


 彩奈が私に向けてる行為は本来…あの子に向いてるはずで……


「…りちゃん!海莉ちゃん!信号赤だよ!」


 肩を掴まれ、ハッと気がつく。考え事をしすぎて道路に飛び出すところだったらしい。


「ごめん、ちょっと考え事してて…」


「ほんとだよ!全く、ボクがいたからいいものの……」


「次から気をつける。心配させないように。」


「安心して。ボクは常に海莉ちゃんのこと考えて心配してるから!」


 それはそれで安心できる要素ではない気が……


「ほら、青になったよ、行こう?」


 彩奈が私の手を引く。久しぶりに感じる彩奈の手の温もり。


 やっぱり、リード持つよりも手を持ってくれたほうが安心するかも。


「えへへ、やっぱり海莉ちゃんの手ってスベスベだねっ!ずっとスリスリしてたいよ〜。」


 前言撤回。やっぱりリード持ってるほうがいいかも。




「ただいま〜おじいちゃん。」


「ただいまでぇす。」


「いや彩奈、なんであんた普通についてきてるの。」


「海莉ちゃんのいる場所がボクの帰る場所だよ?」


 何をおかしなことを、とでもいうかのように首を傾げて見せる彩奈。


 もはや当たり前になってきているこの状況をどう捉えればいいのか……


 よく考えなくても、いつもベランダから侵入されてるし今更かもしれない。むしろ、正面から入ってきているだけいいかもしれない。


 そんな正常性バイアスを抱えつつ、甘酸っぱくて、お出汁のいい香りのするリビングへと入る。


 そこでは、机の上に山になるほど積み上げられたいなり寿司だった。その側には唐揚げや手巻き寿司などもある。


「おじいちゃん…これまたすごい量だね。」


「おぉ、海莉か。彩奈ちゃんもいらっしゃい。あやつが来るとなれば、これくらい作っても足りんのじゃ。」


 すこし絶望した顔をしている。


 ただまぁ、作ること自体は楽しそうなので、嫌というわけではないらしい。


「私も何か手伝おうか?」


「いや、雪愛が手伝ってくれたおかげでもうすぐできる。」


 そういって、おじいちゃんは山のいなり寿司の向こうを顎でさす。


 そこでは、ご飯粒をほっぺたにつけてモグモグしながらも、油揚げに酢飯を詰めてる雪愛の姿が。


 雪愛が作ったものは酢飯が入りすぎてパンッパンなのだが。


「あ!ご主人様、お帰りなさい〜。昨日は寂しかったですよぉ〜。」


 雪愛は私の姿に気がついた途端駆け寄ってくる。ちゃんと手を洗ってから。


 そして、私に向かって飛び込もうとした瞬間、彩奈の手がそれを遮る。


「泥猫ちゃん、抱きつくのはボクが許さないよ。抱きついていいのは海莉ちゃんから抱きついた人だけ。つまりボクのことだよ!」


 なんか知らないけど、彩奈は胸を張ってドヤ顔をかましてる。あと泥猫って何。


「勝手にルール決めないで〜。ワンちゃんには関係ない話でしょ〜?」


「ボクが一番海莉ちゃんの隣にいるから、決める権利はあるんですぅ〜。」


「大事なのは時間じゃなくて気持ちだよ〜。色褪せた気持ちじゃどうしようもないねぇ。」


「は?まだまだピッカピカの新車状態だけど?ボクのことをわかったように言わないでくれない?この泥棒猫ちゃん。」


「泥棒猫ってことは、認めてるってことだね〜。ご主人様の気持ちがあたしに固まってるってことが。」


「そんなことないけど???」


 耳と尻尾がピョコンと飛び出て、互いに牙をむき出しにして言い合っている。


 いや別に言い合うのはいいんだけどさ、普通に置いてかれてるよ?私。なんでどっちかのもの前提なの?どっちのでもないよ?


 グルグルと唸り合っている彩奈と雪愛が止まりそうにないので、一旦引き剥がすために、おじいちゃんに助けを求めようとしたら、おじいちゃんはものすごく穏やかな顔をしていた。仏顔だった。


「修羅場こそ青春じゃなぁ……羨ましいぞぉ。」


 ダメだこれ、助けてくれなさそう。


 というか、よくその昇天しそうな表情でいなり寿司作れるね。


 仕方ない。こうなったら間に入って押しのけるしか……!


"ピンポーン"


 突然と玄関のチャイムがなった。その瞬間、驚いた2人のいい争いが止まる。


 そして顔を見合わせて互いに首を捻る。実は仲良いだろこの2人。


 玄関からガチャっと音がしたかと思えば、鈴の音が鳴った。


 その瞬間におじいちゃんの顔が引きつる。


「お、思ってたより、早かった、じゃないか。狐火。」


「クックック、こうやって顔を合わせるのは久々じゃのう。雅爪?」


 ひょこっと顔を覗かせ、狐火先生はニコニコとこちらに手を振る。


「お主、臨時の教師になったのだろう?まだ定時ではないのではないか?」


「問題ない。必要分以上の仕事を終わらせてきた上、助手を代わりに置いてきておる。」


 いや助手て…部外者が勝手に仕事してたら気づくでしょ。


 とは思ったものの、この口ぶりからして、多分妖家の力かなにかで誤魔化しが効くのだろう。


 ゆったりとした足取りでリビングへと入ってくる。


「ほぉ、これまたすごい量を作ったのぉ。そんなに我と会うのが恋しかったか?」


「違うわ。お主が全て食わぬように量を多くしただけじゃ。それに……いや、何でもない。」


「大丈夫じゃ。足りなければお主を喰らう。」


 ニヤリと蠱惑的な笑みを浮かべて、いなり寿司に向けてなのか、それ以外の何かに向けてなのか、舌舐めずりをする。


「孫たちの前じゃ、自重せい。それに、ワシは既婚者じゃぞ?」


「あやつも、10年前にどこかに消えてしまったな…どうじゃ?今からでも乗り換えるつもりはないか?」


「断じてない!」


「そうか、なら仕方あるまい。こちらが乗り込むだけじゃ。のぅ?雅爪よ。」


 おじいちゃんが少し青くなったような気がしたが、その理由を考えるとグロい内容な気がしたので気にしない。


 しばらくして、おじいちゃんは作り終わって、席につく。作り終えて満足そうな顔をしている。


 ふと、狐火先生から温かい空気を感じた。


 狐火先生は目を閉じていて、何かに集中しているよう。


 そして、目を開けた瞬間狐の耳と……合計8本の狐の尻尾が生えた。


「さて、単刀直入に話を始めようかの。」


 真剣な眼差しをしていて、視線が鋭かった。


続き書きました。最近、ものすごい速度でインスピレーションが湧くので書くのが楽しいです

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