39ペットをつくろう!(1)
「うわぁぁぁ!」
今日もドカンボテボテボテボテッンパンと爆発音がする。
最近の私は、深夜に魔法の練習をするのが日課になっていた。
リリカの料理に対する情熱に感化されたのと、私もいざという時に力になれたら、という思いからだ。
もちろんこれはカルト君には内緒。それにこんな状況で夜中に外に出るのはさすがに非常識なのはわかっているので、リリカに頼んで教室ぐらいの空間を作ってもらい、そこを練習場にしている。
ちなみにさっきの派手な音は魔法が暴発して吹っ飛んで壁に打ち付けられた時に出た音。ここならば遠慮なく色気のない悲鳴も上げられるというものだ。
「いてて……」
しかし練習を始めてはや数日、魔法の練習はちっともうまくいかないでいた。もちろん予想はしていたことだけれど、私は尻餅をつきながら、ちょっぴりへこんでしまう。
むしろ暴発の仕方が前よりひどくなってる……?
そんな気さえした。
もしかしてだけど……カルト君がこの間倒した絵のザビルビとかのモンスター。倒したってことは魔法が解除されるわけだから、私の中に魔力が戻ってきて、パワー自体はアップされてるのかもしれない。
「だけどコントロールの力は変わらないから、暴発だけが強くなっていってるのかしら」
当てずっぽうの予想だけれど、あっている気がする。
私は苦笑するしかなかった。
「またダメだったの?トリー」
空間から出るとリリカが待っていてくれていた。リリカは魔法で傷を治しつつ、チクリチクリと苦言する。
「うーん……むしろますますひどくなってるような?」
「どうしようもありませんわね。あなたのお母様って優秀な魔法使いだったのでしょう?草葉の陰で泣いてますわよ」
……はっきり言うなぁ、リリカ。
「まあ私にも責任がないわけじゃありませんから、こうして手伝いはしますが……」
リリカは無駄だと言わんばかりにため息をついた。
「……どうすればコントロール力って上がるのかなぁ?」
「そうですわね……」
うーんと2人で首をひねる。
「……そうですわ!」
そしてリリカが何か思いついたようにポンと手のひらを叩いた。
「そもそもまず、その発想が間違っていたのでは?」
「え?どういうこと?」
リリカはいつものごとく、頬に手を当てる仕草をはじめる。私になんて説明しようか考えてくれているみたい。
「……つまりはですね、あなたは半妖なわけでしょう?人間と根本的に魔力の使い方が違うんです」
「あっ!」
確かにそうかもしれない。昔からモンスターは攻撃魔法や得意なものしかやらないものだったと聞く。
「じゃあ攻撃魔法を練習すればいいのねっ」
というかそもそもお花を咲かせる魔法なんてできたってどうするつもりだったんだろう、私は。
「それもそうですが……そもそもあなたは一つ魔法を成し遂げているじゃないですか」
「え?」
リリカはまたため息をついて、人差し指をピッと上げた。
「絵の物質化よ。トリー……」
そういえば最近危ないからと部活は休んでたし、リリカの面倒や魔法の練習や、カルト君もやってきて家を常にきれいにしなきゃいけないとかで忙しくて、全然絵を書いていなかった。
魔力がいくつか元に戻っている今、本当にリリカは思いつきとばかりに言ったようだけれど、案外、できる可能性は高いような気がした。
「きっと今までは想いのようなものが足りなくてできなかったんだわ。意識的に物質化しようと思えばできるようになるわよ、トリー……」
想い。それもあるのかもしれない。確かに部室になるなんて本気で思いながら絵を描くなんてこと、全く記憶にない。
「でも……」
「えぇ。……?」
「何描けばいいと思う?」
そこがちょっと難しいと思った。たとえ物質ができたとしても、それ自身コントロールできるかわからないのだから。下手したらかえって、敵を作ってしまうもの。
「……とりあえず人型は却下として、難しい問題ですわね」
リリカも考え込んでしまう。私たちはまた2人でうーんと首をひねった。




