Outside 1 クリスマスの思い出
本編とは違う番外的なものです。
クリスマスの思い出
「お前バッカじゃねーの? サンタなんているわけねーじゃん」
授業が終わってさて帰ろうかと隣の教室のスイを迎えに行くと、教室の真ん中でスイがクラスメイトの男子に吊し上げをくっていた。
「だって、去年もその前もずっとサンタさんからプレゼント貰ってるよ」
はんべそかきながらも言い返すが、そいつは鼻で嗤って
「そんなのお前のとーちゃんかかーちゃんに決まってんじゃん! 今どき幼稚園生でも知ってんよ!」
「? お父さんとお母さんとお兄ちゃんとはクリスマス会して、その時にプレゼント交換するよ?」
スイが不思議そうに首をかしげると、そいつの顔が歪んだ。
確かあいつは・・・ 記憶の中を探るように思い出す。
『○○君にゲームを貸すと返ってこないから絶対貸さない方がいいよ』とか『○○君にレアカード取られた』とか『○○君は家に遊びに来るとお菓子全部持って返っちゃう』とか余り評判の良くない奴だった。
「何がクリスマス会だよ! バッカじゃねーの!」
ドンとスイの肩を押した。ランドセルを背負っているのでバランスが悪いのでスイはよろけて机にぶつかった。
さらにそいつはスイに手をあげようとしたので俺はそいつの腕を後ろから掴んだ。ついでに軽く捻り上げるのも忘れない。
「!? イテッ!」
そいつは悲鳴を上げて振り返った。そして俺を見ると弱冠顔色が悪くなった。
「スイ帰るよ」
掴んでるそいつを引きずってスイが通れるようにあける。
「そうちゃん・・・」
べそっと泣きながら教室のドアの方に小走りで逃げた。
「イテッ! 離せよ!」
暴れるそいつの膝裏を足で押して膝まづかせると体重を掛けて膝で背中を押さえて身動き出来ないようにした。
「お前スイに八つ当たりしてんじゃねーよ、今度やったらただじゃおかないからな?」
そう言ってから離してやると案の定振り向きざま殴りかかってきたのでヒョイと避けて足を引っかけてやると見事に自爆して床に顔面から突っ込んでいった。
うん、馬鹿だな。
馬鹿は放置してスイを促して教室を出た。
「古谷くん大丈夫かな・・・」
お前なんでいじめられた相手の心配なんて出来るの? お人好しすぎんだろ。
「自分で突っ込んだんだから平気だろ。それよりなんであんなのに絡まれてたんだ?」
「・・・そうちゃん、サンタさんっていないの?」
しょんぼり俺の後を付いてくるスイは自信なさげに聞いてきた。
「全世界の子供にプレゼントを配って歩くじじぃなんて現実的にあり得ない。けど赤い服に白い髭のじじぃじゃなくてもスイだけのサンタはいるんだろ?」
「? 難しくてよくわかんないよ~」
そう言って困った顔をするので
「いるって思ってれば、これからもプレゼントは2つだぞ」
「・・・じゃあ、いた方がいいね」
「だろ?」
俺とスイは顔を見合わせて笑った。
25日の朝枕元のプレゼントを見て俺は
「毎年ご苦労さん」
と呟いた。




