38 草刈りじゃ~!
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わたし達は今ちょっと途方にくれている。山を降り、森を抜け平地に出たそこに草原が広がっていたからだ。
身の丈約2mの草が視界を覆っている。立ちはだかる草の壁。20cmじゃなくて2mである。一寸先も見通せない。
「船が降りた草原は芝生ぐらいの草丈だったよね?」
何故にこんなに成長しているのかお伺いしたい。誰にだろ?
ある意味山中の方が歩きやすかった。
これをどうしろと? うん、そうだね。草刈りじゃー!
「斬撃飛ばせる者、風刃魔法が使える者縦列整列! 一発ごとに交代する事! 『勝鬨を上げろ!』」
三花姐さんの集団戦闘力Up のスキルが発動すると戦闘職全員が炎のような赤い陽炎に包まれる。
「『真空烈刃!』」
「『斬撃波!』」
「『飛燕!』」
「『風刃!』」
「『鎌鼬!』」
うん、最初はみんな面白がって技名を叫んでいたが20kmを過ぎた辺りだろうか皆無言で草を刈っていた。
ザシュ、ザシュ、ザシュっと刈っていくが大体一回で5m程しか進まない。
「・・・燃やしちゃってもいいんじゃない」
と危ない事を呟くものまで出てきた。
「こんな状況で野焼きしたら煙に巻かれて死ぬのがおちだぞ」
おじいちゃん達に諌められて思い止まってくれる。
そろそろ目的地に辿り着けると思ったのにこんなに遅々として進まないのに苛立っているようだ。
あと100kmは進んだ所に村を作りたいのだが果たしてどのくらいの時間がかかるんだろう。
それでも進むしかないんだけどね。
草原エリアに入ってから一日半ようやくりりさんから進行ストップがかかった。
「海から20km、川から3km地点に到達しました!」
みんなからは歓声とかそんなのはなく、はぁーという大きな溜め息が出ただけだった。
「じゃあ日が暮れるまでに周囲の草を刈っちまおうか」
最年長の山田貞治おじいちゃんが率先して動き始めるとそれよりも若い世代は苦笑いをしつつ動き始める。
ここに家を建てるのか~ はてさて、どの位の広さの草を刈って敷地を確保しなきゃいけないのかな?
とりあえず学校のグラウンド位あればイイのかしら?




