33 親は選べない
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その晩は異様な雰囲気のまま就寝した。
御園家はみんなと少し離れた場所で深夜を越えるまで話し合いをしていたようだ。
そして翌朝御園父を除く3人が皆に迷惑と不快感を与えたことに謝罪し改めて一緒に連れて行って欲しいとお願いしていた。
香さんは御園父を背負ってくれていた開さんに今までのお礼を言いこれからは自分が父親を背負い、遙君がお母さんを背負うそうだ。
御園家は自分達から最後尾を付いていくからもし遅れたら置いていってくれて構わないとまで言っていた。
浩志さんや開さんをはじめ皆はそこまで香さん姉弟が負う事はないと言ったが、香さんは御園家のけじめだからと言った。そしてそこまでしないと父には何時までたっても解らないだろうからと。
香さんは何だか晴々した表情でわたしに
「佐藤さん、前に酷いことを言って叩いてごめんなさい。私の事を許さなくてもいいです、ただ謝らせてください。申し訳ありませんでした」
深々と頭を下げてくれた。
「あの、怒ってないし大丈夫です。もし御園さんが嫌じゃなかったら普通に話しかけてもいいですか?」
「もちろん、て言うかそれ私の台詞だよ。私佐藤さんに酷い態度だったし私の方こそ普通に話しかけたら悪いでしょ?」
「そんな事ない、よ?」
こういう状況じゃなかったらわたしの方が断然おかしな奴だという自覚はある。
「ありがとう、これからはよろしくお願いします」
「うん!」
えへへ、よかった御園さんと仲直りできて。御園さんは村崎君にも謝りに行った。
「村崎君、父が酷いこと言ってごめんなさい。いつか必ず本人にも謝らせるので今は代わりに私に謝らせてください。申し訳ありませんでした」
「お前が謝る必要はねーよ。子供が親を選べないのは俺が一番よく解ってる。頑張れよ」
「あ、ありがとう」
御園さんはちょっと目を潤ませてお礼を言っていた。
「では出発!」
先頭の昴さんの号令でみんなが歩き出した。御園父は香さんの手を振り払って背負われるわけではなく自分で歩くようだ。遙君はお母さんを背負っている。
大丈夫かな。
歩きはじめて30分を過ぎた辺りから最後尾にいた御園家が遅れ出した。
どんどん距離が離れて遠くなる。振り返って姿が見えなくなった頃村崎君が
「佐藤、悪いけど紫頼んで良いか?」
「うん、いいよ。紫ちゃんいいかな?」
「うん、大丈夫。お兄ちゃんどこか行くの?」
「ちょっと御園見に行ってくる、離れすぎるとはぐれそうだからな」
「わかった、じゃあこの子貸してあげる」
紫ちゃんはお気に入りのうさぎのぬいぐるみを村崎君に差し出した。
「紫が持ってなくていいのか?」
「ゆかとねこの子繋がってるからお兄ちゃんがはぐれないように連れてって。うさちゃんお兄ちゃんをお願いね」
紫ちゃんがうさぎのぬいぐるみに話しかけると"うさちゃん"はシュタッと右手を上げて村崎君の頭に飛び乗った。
そっか、紫ちゃん人形使いだもんね。こういう使い方が出来るんだ。
「わかった、借りてくな」
紫ちゃんの頭をポンポンするとスルスルと後ろに下がっていった。
わたしもスキルの使い方を工夫する必要あるなぁ、結界とか攻撃を防ぐだけじゃなくてもう一工夫出来ないかな?




