29 高齢者は心配している
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そもそも山になんか自主的に登ったことない。学校のバス旅行で筑波山と鋸山に登ったぐらいだ。
なので山というものがどういうところなのかよく解っていない。
「なんだかおかしな土地だわね」
そう言ったのは日置さん家のおばあちゃんだった。道無き道を結構な速度で移動している筈なのに御歳77の八重子さんは息も切らさず歩いていらっしゃる。
「何か変なんですか?」
「そうね、わたしと主人は山歩きが趣味だったんですけどね、こんなに静かな山は初めて」
「鳥の声も虫の音も聞こえないな」
そう言えばそうだと御主人の政道さんも仰る。
「木も太くて立派、苔もはえて何十年も経ている感じなんだけどそれはおかしいのでしょう?」
「大陸は菱形だし、ここも切り揃えらた菱形の内のひとつなんでしょ?」
「作り替えられたということにしては全てが育ちすぎてはいないかしら?」
確かに。でも一々思いを巡らしていると頭がボンッとなりそう。
「そこは神様の成せる業ということでそういうもんだと思ってた方がいいですよ。そもそも初めから我々の常識から外れた出来事だったですし」
山田家のおじいちゃん貞治さんが苦笑気味に言う。
「それもそうですね、孫に"きゃらくたーめいきんぐ"とかをやらされたときには何がどうなっているのやら途方にくれました」
「うちも同じですよ、いよいよ現実とゲームの区別が付かなくなってしまって、うちの子はどうなってしまうのか不安になりました」
まったくだと頷きあうのはどうかと思う。
「ところがね、その数字を言われるがまま振り分けたら次の日から体が軽くて驚いちゃったよ」
「そうですね。お若い人は感じなかったかもしれませんが年寄りには顕著に感じましたもの」
「膝は痛くないし、腰も痛くない。頭も物覚えが良くなったしありがたいことだよ」
「私もね、血圧高かったのに平常値になっててたまげたね。こんな状況じゃ薬なんか手に入らないしこのまま落ち着いてくれると助かるんだけどね」
「私達の歳になると大抵何か薬を飲んでますものね。今のところ体調は問題ないのですけど子供達に迷惑はかけたくないですから」
そうか、お歳がいくと色々大変なんだな。ん~何かお手伝い出来ることないかな?
そういえば怪我を治した後に鑑定かけたら状態異常無しとか出たな、健康診断ぐらいなら出きるかも。
「あの、失礼でなかったら"鑑定"をかけてみてもいいですか? 何か異常があれば解ると思うんです、たぶん」
勝手に鑑定かけるのはマナー違反のような気がするのでちゃんと許可を取らねば!
山田のおじいちゃん貞治さんはキョトンと私を見て
「あぁ、そうか。そういうことも出来るんだなぁ。なら夜にでもやってもらおか、体が楽になるなら万々歳だからな」
そう言ってくれた。
「はい! がんばります!」
うん、皆さんの健康維持のため頑張ってみます!




