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ぐうたら令嬢は公爵令息に溺愛されています  作者: Karamimi


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第17話:レイリスへの想いが溢れ出す~アドレア視点~

 イリの本当の名前は、レイリスという事も分かった。どうやら彼女は、伯爵令嬢の様だ。


 すぐに伯爵家に向かい、レイリスとの婚約を、そう考えていた時、両親が僕たちの前に現れたのだ。やはり両親は、イリの正体を知っていた様だ。


 両親もレイリスと僕の結婚には賛成の様だが、レイリスの性格を理解している為か、レイリスが僕との結婚を望まない限り、僕たちを無理やり婚約させることはないと、はっきりと告げたのだ。


 確かに父上の言う通り、レイリスの性格なら、何が何でも僕から逃げようとするだろう。僕もレイリスの気持ちを無視して、結婚したいとは思っていない。


 ただ…


 父上の方が僕よりもレイリスの気持ちが分かっています!みたいな感じが、なんだか腹立たしかった。


 それでも僕は、レイリスにアプローチする機会が与えられたのだ。それだけでも、十分嬉しい。


「アドレア、よかったね。やっとレイリス嬢に会えて。話には聞いていたが、あれほどまでに優秀な子だっただなんて。彼女の魅力は、魔力だけではない。持って生まれた才能も大きいだろう。本当にレイリス嬢は素晴らしい子だ。アドレアには勿体ない」


「あなた、あまりアドレアを虐めないであげて。やっとレイリス嬢に会えてよかったわね。あの子、お菓子が好きなのでしょう?今日レイリス嬢が目を輝かせていたお菓子を準備して、しっかレアプローチしなさいね」


 モーレンス伯爵家から帰る馬車の中、父上と母上が好き勝手な事を言っている。


「父上や母上に言われなくても分かっています。レイリスは本当に魅力的な令嬢ですから。それよりも、父上はレイリスが魔力持ちという事を知っていたのですか?」


「ああ、12歳の少女が、いくら体を鍛えていたとしても、あんな大柄な男たちをなぎ倒すなんて信じられなくてな。密かに魔術師に確認してもらったのだよ」


 父上め、そんな事をしていただなんて…


「彼女は私達の想像をはるかに超える優秀さだ。きっとレイリス嬢の噂は、兄上の耳にも入っているだろう。ジョブレスの婚約者にと考えていても、不思議ではないな」


 ジョブレスか…僕の従兄弟でこの国の王太子だ。今までほとんど社交の場に姿を現さず、ずっとベールを被っているなぞ多き王太子。そんな王太子の婚約者選びがもうすぐ始まるとあって、今貴族社会では話題になっている。


 ただあいつは…


「いいか、3ヶ月後には本格的にジョブレスの婚約者探しが始まる。いくら我が家が権力を持っていたとしても、さすがに王族がレイリス嬢に目を付けたら、手出しが出来なくなる。兄上が本格的に動き出す3ヶ月後までに、絶対にレイリス嬢をものにしろ。分かったな」


 父上が真っすぐ僕を見つめる。


「ええ、分かっています。僕はレイリスが大好きなのです。絶対にジョブレスになんて、渡しませんから」


 とはいえ、後3ヶ月しかない。この3ヶ月で、僕はどうやってレイリスの心を掴めばいいのだろう。


 ついそんな事を考えてしまう。


「あなたが今までどれほど努力しているか、私は知っているわ。大丈夫よ、これからは私もあなたに協力するから」


「母さん、あまりアドレアを甘やかさないでくれ!」


「あなたはすぐにアドレアを突き放そうとするけれど、私は母親としてアドレアには幸せになって欲しいの。アドレアはずっと魔力のせいで苦しんできた。そんな苦しみから解放してくれたレイリス嬢と、幸せになって欲しいのよ。それにレイリス嬢をみすみす見逃したら、きっとこの子は一生1人で生きていくわよ」


 珍しく母上が、父上に意見している。ただ僕は…


「母上、気持ちは嬉しいのですが、僕は自分自身の力で、レイリスに選んでもらいたいです。誰かに手を貸してもらってレイリスと結婚できたとしても、それは違うと思うので。精一杯気持ちを伝えて、それでもレイリスに選んでもらえなかったら、その時は諦めます。とはいえ、きっとレイリスは、王太子妃になんてなりたくないと思うので、その時はレイリスと一緒に亡命しますよ」


 公爵令息の地位なんて、僕にとってはどうでもいい。レイリスがいれば何もいらない。レイリスがこの国を出るというなら、僕も出るまでだ。


「さすがに亡命されたら困るが、アドレアもそう言っている事だし、私たちは見守ろう」


「そうね、分かったわ。とにかくレイリス嬢が我が家に来て欲しいと思えるような環境だけは、整えましょう。アドレア、頑張ってね」


「ありがとうございます、母上。レイリスとの幸せな未来の為、頑張ります」


「これを君に渡しておくよ。ここには、レイリス嬢に関する事はもちろん、家族についても書かれている。もう3ヶ月しかないのだ。これくらいはさせてくれ」


 父上がものすごい分厚い書類を僕に渡してきたのだ。


「父上、ありがとうございます。参考にさせていただきます」


 まさか父上が、こんなものを準備してくれていただなんて。なんだかんだ言って、家族も応援してくれているのだろう。


 何よりも、やっとレイリスに会えたのだ。僕がやらなければいけない事は、ただ1つ。しっかり気持ちを伝えて、レイリスに選んでもらう事だけだ。

長くなりましたが、次回からレイリス視点に戻ります。

よろしくお願いします。

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