第16話:夢にまで見た再会~アドレア視点~
「僕は…」
イリに会いたい、でも、どうすれば…
「アドレアはイリさんが好きなのだろう?彼女のお陰で君は、生まれ変わった。このまま一生会えなくてもいいのかい?」
「いい訳がないでしょう。僕はイリが大好きで、彼女と結婚したいと思っているのですから。でも僕は…」
「それなら、イリさんを探せばいいじゃないか。君はこの国で一番権力を持っている大貴族、サフィーロン公爵家の嫡男だ。欲しいものを、簡単に諦めるな!ただし、私は協力するつもりはない。自分でなんとかしなさい」
なんとかと言っても、僕はどうすれば…
困惑する僕に、ため息をつく父上。
「もう一度言うぞ、お前は貴族だ。そしてイリさんも貴族だ。お互い貴族なのだから、再会できる方法はいくらでもあるだろう?」
イリは貴族…
「イリは確か、僕と別れるときに“領地に行く”と言っていた。領地を持っているという事は、確かに貴族。という事は、夜会やお茶会に参加すれば、いずれイリにも会える…」
どうして僕は、そんな簡単な事に気が付かなかったのだろう。正直僕は、お茶会も夜会も好きではない。その為、最低限の夜会やお茶会しか出ていなかった。その上、挨拶だけ済ませたら、すぐに帰ってしまう事も多かった。
もしかしたら今まで参加した夜会やお茶会に、イリがいたかもしれないのに…
「貴族なら貴族の出会い方がある。そもそもお前は、次期公爵になる人間だ。もう少し、社交界に積極的に参加しなさい。分かったな」
そう言うと父上は去って行った。
そうか、貴族の出会いの場は社交界だ。僕はこの日から、社交界に積極的に参加した。それと同時に、貴族令嬢についても調べ始めた。
とはいえ、当主の情報はのっているものの、子供の情報まで詳しく書いてある書類は存在しない。専属執事に依頼しても
“旦那様がご自分のお力でイリ様を探させろとおっしゃられておりますので、私が調べる事は出来ません”
そう言って力を貸してくれないのだ。
こんな時、魔力の力を使えたらよいのだが、生憎人探しの力は備わっていない。
その上、我が国には男爵も入れると、かなりの数の貴族がいる。それに何よりも、僕が参加する夜会は、王族や公爵、侯爵など比較的身分の高い貴族たちの集まりなのだ。運が良くて伯爵位までの人間も、かろうじて参加している程度。
イリの自由っぷりから見て、そんな高貴な身分の貴族とは思えない。このままでは、一生イリに会えない。
こうなったら、僕が夜会を開こう。そして、身分関係なく全ての貴族令嬢を我が家の夜会に招待しよう。
とはいえ、一気に招待する事は出来ない。爵位別に少しずつ、夜会に招待する事にした。さらに母上も力を貸してくれ、夜会の手伝いをしてくれる様になったのだ。
母上の手助けもあり、短い期間で夜会を開催する事が出来た。とはいえ、準備等もあるため、1ヶ月に1回がやっとだ。この分だと、全ての令嬢と会うのに、何年かかるかな…
ダメだ、弱気になったら。こうやって地道に行動していれば、きっとイリに会えるはずだ。そう自分に言い聞かせ、夜会を開き続けた。
そしてついに…
やっとイリに会えたのだ。4年ぶりに会うイリは、あの頃よりも美しく成長していた。ただ、相変わらずお菓子に目がないようだ。
そして相変わらず魔力を無意識に使っていた。
ああ…イリの魔力、懐かしいな。嬉しさからつい僕は、イリを強く抱きしめてしまった。魔力を使い、必死に僕から抜け出そうとするイリ。
でももう僕は、昔の僕ではない。僕も魔力を使い、イリの魔力を封じた。魔力を抜きにすれば、体を鍛えている僕と令嬢のイリでは、力の差は歴然だ。
イリは悔しそうな顔をしていたが、ずっとイリに守られてきた僕にとって、それが嬉しかったのだ。
やっとイリに会えた。もう絶対に離さない。




